『ビットコインのウォレットとは?』
『NEM / mijinのブロックチェーンが創る世界』

カリキュラム及び概要

  • ビットコインのウォレットとは?
     合同会社ジャノム 日向 理彦氏
  • NEM / mijinのブロックチェーンが創る世界
     テックビューロ株式会社 朝山貴生氏



 


ビットコインのウォレットとは?

講師:合同会社ジャノム 日向 理彦氏

今回はビットコインのウォレットとは何か、ウォレットの種類が世の中にはたくさんあるのですが、技術的な詳細について解説させて頂きたいと思います。

まず、ビットコインのウォレットと言われた場合に様々なウォレットの種類があるのですが、ブレインウォレットやハードウェアウォレット、シングルシグ/マルチシグ、ホット/コールド、決定性/非決定性のような話など、色々なものがあります。
このように非常にたくさんのウォレットの種類があり、この中には初めて聞くようなウォレットの種類もある方が多いのではないかと思うのですが、このような様々なウォレットの違いをきちんと理解して頂いて、他の方に説明できるようになるのが今日の講演の趣旨となっております。

そもそもビットコインのウォレットとは何かという話をさせて頂きます。
ウォレットの定義は何かと聞かれた時に、きちんと答えられる方は多くないと思っておりまして、例えば「Mastering Bitcoin」というビットコインの技術者向けの優れた教科書があるのですが、それを見てみますとウォレットの定義が日本語版の92頁目に書かれておりまして「ウォレットは秘密鍵の容器」と表現されています。
「ウォレットは秘密鍵の容器」だけでは何のことだか分からないと思うので詳しく説明させて頂きますと、そもそもウォレットは誰かが厳密な定義を決めているわけではありません。
一般的に「ウォレット」が指し示すものとして「秘密鍵・公開鍵(アドレス)の管理」「トランザクションおよび電子署名の作成」「ブロックチェーン上のデータの参照・書込」の3つのような機能がセットとなったシステムやアプリ、ソフトウェアをウォレットということが多いです・・・

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次に、ウォレット種別の見分け方という話に移らせていただきます。
今まで十種類ぐらいの例を見てきたと思うのですが、実際にその利用されているビットコインウォレットはどの分類に当てはまるのかと言うと、複数に当てはまります。
基本的にビットコインのウォレットは、今まで紹介してきましたウォレットの仕組みを複数組み合わせて作ることをするようになっているからです。
そうしますと、自分の使っているウォレット会社で問題は発生し、ビットコインがなくなってしまうようなことが起きないように、ご自身の使われているウォレットがどのような構成で作られているのかをきちんと把握しておく必要があると思います。
ここからは幾つか有名なウォレットの例を挙げまして、それがどのような仕組みの組み合わせでできているのかを紹介させていただきたいと思います。

最初に、公式版クライアントのBitcoin Coreです。
これはフルノードのホットウォレットになっております。
昔は非決定性だったのですが、最近、決定性ウォレットに移行したようです。
また、基本的に使われるのはシングルシグです。
マルチシグも機能的としてはAPIが全く使えなくはないのですが、基本的にはシングルシグです。
これはSatoshi Nakamotoさんが最初に論文を書いたのとほぼ同時期に作ったもので、これ自体がリファレンス実装かつ仕様書みたいな扱いになっていまして、最も重要なコードとなっております・・・

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具体的に注意すべき点ですが、まず一つはコールドウォレットの電子署名環境がインターネットに接続されていると、その秘密鍵をマシンに入力してしまうとコールドではなくなってしまうので、電子署名環境は基本的に完全オフライン環境として作りましょう。
入金用のウォレットはホットウォレットだけではなく、コールドウォレットを使うことができます。
マルチシグの参加者は管理者を誰にするかという話をきちんと決めないといけません。
秘密鍵の保管場所ですが、例えば一つのオフィスの金庫に全部入れておくということをすると、水で流さてしまう可能性がありますので、基本的には物理的に違う場所に置くというような対策を検討されたほうがいいと思います。
また、秘密鍵はパスフレーズをかけて保護することもできますので、このようなことも検討されるといいと思います。

最後のまとめですが、一口にウォレットといっても二十種類以上の様々なウォレットがあります。
色々と細かい違いはあるのですが、一番気を付けないといけないことは、秘密鍵はどこの場所に保管されているのかに注意をしなければいけません。
たくさんのウォレットの種類があるのですが、どのウォレットが一番いいというのは基本的にはなく、利用シーンや扱うコインの数量によって、これがいい悪いというものがありますので、それぞれのウォレットの形式のメリットとデメリットをよく見て、比較検討して最適なウォレットを選ぶ、もしくは必要な場面において複数の種類のウォレットを使い分けて運用を行うということが必要になると思います。

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NEM / mijinのブロックチェーンが創る世界

講師:テックビューロ株式会社 朝山 貴生氏

ブロックチェーン、金融の観点からいきますと台帳の再発明、技術的な正しさを無視して概念的に見ていただきたいのですが、データベースは全てのデータがリニアに処理されます。
これで発明されたのは、ブロックというページ単位の処理される技術です。
ビットコインを説明した方法は、その暗号を使ってページ単位、ブロック単位で前のページに基づいたのり付け、次の語録を付けると、それを繋げて行くのがブロックチェーンなので、中のデータに前後関係ができたというのが台帳の技術です。
よく間違えた表現をされるのは、ブロックチェーン技術はビットコインに採用されたのが初めて採用された技術だと。
あたかもブロックチェーンというものがあって、ビットコインはそれで作られたように思われるのは全く間違いでして、ビットコインで発明したP2Pの台帳技術がブロックチェーンだというのが正しいです。

技術というのが色々とありまして、メリットをまとめてみました。
非中央集権化(Decentralization)が中央管理者のいない状態で処理できるものを作ると。
ビットコインもそうですが、地理的にネットワークが分散しているため実質上のゼロダウンタイムシステムです。
分散型データベースと何が違うのかという話があるのですが、地理的分散しても整合性が保たれます。
色々な仕組みで改ざんにも非常に強いです。
物によりますが、ビットコインは透明性も作りました。
恒久的で書き込むと消えないという特徴があります・・・

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仮想通貨全体の技術とブロックチェーン技術の概要を駆け足で見て頂いた上で、NEMが何をしているかというのを見ていただきたいと思います。
NEMというのはブロックチェーン技術が特殊でして、その上に自身のプライベート経済圏を再現する技術となります。
先ほどのトークンエコノミーと一番比べやすいのが証券化なので、並べて書いてあります。
証券化というのは、既存の各国の法律に基づいて色々なアセットを金融商品にしていた証券会社が販売するという、例えばアイドルや映画は資金調達をする場合がありますが、非常に複雑なプロセスを得て行います。
ところが、我々の世界であれば、人が投資してくれるのであれば場を作って販売を開始できます。それぐらいの技術イノベーションです。

トークンを作る方法ですが、一つ目がビットコインのブロックチェーン上でもう一つプレイヤーを作り、そこにアセットを作るという技術があります。
一例でCounterpartyとEthereumです。
これはどういうことかと言いますと、エンジニアに契約を書かせ、違反ができない状況においてブロックチェーンでトークンを作って資金調達をします。
我々、NEMがやっていることは、標準でアセットを定義できる機能を作りました。ビットコイン上に乗っかっているわけではなく、コントラクトをわざわざ書くわけでもありません。それをプロトコールレベルで定義できるように作りました・・・

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よくブロックチェーンのどれが良い悪いという話もあるのですが、各プロジェクトにそれぞれ用途の色というのがあります。
Ethereumであれば全て自由に書けますが、まだ実用はできないかもしれませんし、Rippleであれば金融機関間の支払いでは適しているかもしれないが、先ほどのようなビジネスモデルには向いてないかもしれません。
この先、そのような理解が進んでいきますと、複数のプロダクトがそれぞれの特徴をもって違う分野で活用されていくと思っています。
我々がNEMとmijinで目指しているのは、プライベート経済圏をこの上に乗せてそのまま動かすという思想の元で作っており、この四つに分かれていますのはビットコインから生まれたブロックチェーン技術のメリットを踏襲して作られているというのが特徴です。

既にこの技術の実用性は高く、NEMで資金調達をするようなプロジェクトがどんどん出てきています。
最近、やっとICOという言葉が新聞とかに取り上げられてくるようになりましたが、ますますこのような技術を使った資金調達とビジネスモデルの構築というのはできている。
この先、仮想通貨とトークン、ブロックチェーン技術を使ったビジネスは密接ですので、そのような先の絵を理解して頂いた上で、デジタルアセットや希少性を持たせた技術のベースになっているということを理解頂きたい。
NEMは新鋭ではございますが、市場には徐々に評価されてきているということで、この先に仮想通貨取引所の運用を検討されている方はお取り扱いいただきたいということを伝えて、NEM側の人間としてお願いさせていただきたい。
ありがとうございました。

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