『UASF及びBCC分岐対応について』
『VALUについて(コンセプト・運用について)』

カリキュラム及び概要

  • UASF及びBCC分岐対応について
     ビットバンク株式会社 廣末 紀之氏
  • VALUについて(コンセプト・運用について)
     株式会社VALU 小川 晃平氏

 


UASF及びBCC分岐対応について

講師:ビットバンク株式会社 廣末 紀之氏

 ご記憶に新しいと思うのですが、先日、ビットコインの分離騒動がありました。こちらは3年間ぐらいの長い伏線がありまして、8月1日前後に色々な問題が顕在化をしました。
 伏線にあるのがビットコインのスケーラビリティ問題です。
 以前から課題になっていたのですが、ビットコインのブロックチェーンは理論上、10分間に7トランザクションしか認証することができません。
 今はマルチシグも使われており、事実上、秒間3、4件の処理能力しかないので、目指しているビザ・スケールまで持っていくためには使えないという議論が以前からありました。
 そこに対し、色々な解決手段がコミュニティから提案をされ、この2、3年間は動いてきたのです。
 仮想通貨特有の構造により意思決定者がいないので、皆さんが好き勝手なことを言います。
ある立場では良い事を言われているのですが、ガバナンス不在という特有な構造が問題を非常に複雑化して長期化させていたと思います。
 結論としては良い形で落ち着いたのですが、議論の過程の中では色々な特有の難しさというのが露呈したのではないかと思います。

 この2、3年で色々な伏線のお話をしたのですが、どのような流れかを、今一度、おさらいを含めてご説明差し上げたいと思います。
 2015年あたりから、ビットコインが便利だということで、色々な方々が登録して利用者が大きく増えていきました。
 それによりトランザクションが増大することとなり、ネットワークのスケーリング問題が活発化してまいりました。
 まず、2015年8月15日にビットコインXT方法論というブロックサイズを大きくする提案が行われました。
 “XT”は2年の間にブロックサイズが倍増していくというハードフォークの話です・・・

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 今回、非常に勉強になりましたので一連の対応をまとめてみたのですが、良かった点としては、結果として継続的な敵対的フォークが実現せずに、顧客事故が起こらなかったのです。
 それから、JCBAの加盟企業間での情報共有ネットワークを構築することができ、今でも11月のハードフォークに向けた情報交換や対応の協議をしようと継続をしています。
 このような情報交換ネットワークができたので、これからも色々なイベントが起きた時には各社で協力しながら情報交換をすることで、より顧客の安全性が保全できる仕組みに一歩近づいたのではないかと思います。

 交換事業者は金融庁管轄下に入るわけですが、情報共有や対応方針の協議を一体となり実施していなければなりません。
将来、色々な問題が起こると思うのですが、完璧なものではなかったかもしれませんが、リスク回避における官民一体の実践的なことができました。
 事業者と官が一体となって業界の健全性の問題やお客様の資産保全等を同じ目線で動くことができ、このような経験を通じて業界の質の高いネットワークができればいいと思います・・・

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 金融庁からも業界で同じような対応をして、同じようなアナウンスをしてほしいと言われるのですが、海外でも業務をされているとリスクに対する考え方の感度が違うので、このようなところは課題を残したと思います。
 ただ、このようなことを通じて対応の精度が上がり、業界として質の高い対応ができればいいと思います。
 これからもJCBA加盟企業との情報交換や議論を重ねながら、将来のイベントに対して適切に対応ができればいいのではないかと思います。

(全体は正会員・特別会員のみ公開)

 


 

VALUについて(コンセプト・運用について)

講師:株式会社VALU 小川 晃平氏

 VALUのミッションは、人の価値を発掘し、高めることをしており、俗に言うICOに分類されてしまうのですが、あまりICOをしている意識はなく、ビットコインを利用して人の価値を評価するところをどのように実現していくかを目指しています。
 僕自身の経歴としては、システムデザイン・マネジメントを卒業した後に、グリーという会社に入社しました。その後、サンフランシスコに赴任し、色々な開発をしてフリーランスになりました。
 グリーを辞めたときに3年間頑張ったのだからサラリー評価が上がってもいいだろうと思って辞めたのですが、辞めた瞬間にクレジットカードの信用が落ちたところに疑問を感じていたところ、株式会社PARTYと出会い何かブロックチェーンをやられていたので、何か面白いことをやろうという話で始まったのがVALUです。
 そもそも資金調達をしたいのではなく、人を正しく評価したいことや、フリーランスになった瞬間に社会的信用が落ちることをどうにかしたいという思から始めました。

 新しい評価経済について、日本の有名な漫画家さんとお話をしまして、社会的信用や保険周り、ローン周りは正しく評価されないとのことでした。
 これだけ仕事を頑張っているのに、大企業に勤めていたほうが実はよかったという問題が結構あるところで、評価経済というところ目指したいと思っております。
 VALUとは、ビットコインを通じて支援するのですが、なぜビットコインを採用したかというと、グローバルや地方を問わず、直接支援できるところがいいところかと思います。
 VALUというサービスは、海外の人に使ってもらう準備を進めており、その際になぜ円でやらないのかと伺うのですが、やはりグローバルに展開しようと思うときに、ビットコインを使うほうが圧倒的にメリットが高いのです・・・

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 今後の予定としては、iPhone化やAndroid化を行います。また、BTC送付機能や自己表現を多彩にする動画配信機能、API公開等、海外展開は北米と中国がメインになると思いますが、早ければ年明けあたりには出たいと思います。
 今後の開発の可能性としてAPIを適用する話をしているのですが、誰かVALUを利用して保険を作ってくれないかと思っています。
 僕のVALUの時価総額が5,000万円だとしたら、その金額を何かうまく算出して保険をブロックチェーン上で誰か作ってくれないかなと、僕の時価総額が幾らであれば採用したらいいのではないかという判断基準、VALUを利用したセカンダリーマーケットが出てきてくれたら嬉しいと思います。
 もう一つやりたいと思っているのが、資金調達ができなかった法人やプロジェクトへの横展開をやりたいと考えています。
 例えば、NPO法人は価値を算出するときに分厚いフィナンシャルと、多くの資料を作る必要があるのですが、結局、誰も見ないと、誰も興味を持たないから価値が付かないと言われていて、そのようなものに対してトークンセールスを利用していけたらいいと考えています・・・

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 今、色々な制約を発表していますが、あの制約も本来は要らないと思っています。
 僕たちが色々な制約を付けるのは、元々金融や株に興味がない人たちをターゲットにしているので、金融のプロフェッショナルの方がどうしても優位に立ってしまうのです。
 そのため、裾野を広げるために色々な制限を付け、変なミスが起こらないようにしているような状態です。
 そこから徐々に裾野が広がり、皆の金融リテラシーが高まって行けば徐々に制約を取り払っていきたいとは思うところです。
 ただ、それが本当にできるのかどうかも分からないですし、実際本当の制約がどこまでの制約を持って行けばいいのかもよく分かりません。
 それをどのように今までの株式市場や米相場の市場価格が決まってきたのかをご存知の方がおられたら、ご教授いただければと思っております。

(全体は正会員・特別会員のみ公開)