『DeFi,NFT,GameFiの次に来るトレンドの種は何か』
『【大臣官房Web3.0政策推進室・法律家・実務家 座談会!】日本のWeb3.0 を切り拓く展望と課題』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2022年9月26日(月) 17:00〜19:00
  • 場所:オンライン配信
  • 第一部(講演) 17:00〜18:00 : 『DeFi,NFT,GameFiの次に来るトレンドの種は何か
    (講演概要)
    2020年にはDeFiサマー、2021年にはNFTサマー、2022年にはGameFiがトレンドになりました。相場環境が芳しくない中、次のトレンドは見えていませんが、その可能性があるものを把握し事前の種まきを行う事を目的として説明を行います。
    具体的には、Move系の新興チェーンを加えた各L1やL2チェーンの動向、SBTも加えたDIDのトレンド、ステーブルコインのトリレンマ等を取り上げる予定です。

    第二部(講演) 18:00〜19:00 : 『【大臣官房Web3.0政策推進室・法律家・実務家 座談会!】日本のWeb3.0 を切り拓く展望と課題
    (講演概要)
    暗号資産・NFT等のトークンを活用して新しいサービスとユーザーの関係性を構築しようとする取り組みが「Web3.0」という概念としてグローバルに広がっています。我が国においても骨太の方針の閣議決定でそれらの環境整備に向けた取り組みが本格化し、本年7月には経済産業省の省内横断組織として「大臣官房Web3.0政策推進室」が設置されました。今回の座談会では、Web3.0政策推進室の浅野大介室長をお迎えし、法律家、実務家の目線を交えながら本邦のWeb3.0発展における展望と課題について議論します。官民一体となってこの分野の発展を進めるうえで、業界に何が求められるか、示唆を得られる機会とします。)

    ■ 講演者
    第一部
    城戸 大輔氏 : 株式会社HashHub HashHub Research マネージャー

     

    第二部
    (パネリスト)
    浅野 大介氏 : 大臣官房Web3.0政策推進室長(兼)経済産業政策局 産業資金課長
    増島 雅和氏 : 森・濱田松本法律事務所 パートナー
    吉田 世博氏 : 株式会社HashPort 代表取締役CEO / 当協会理事
    (モデレーター)
    廣末 紀之氏 : ビットバンク株式会社 代表取締役CEO / 当協会会長

 

第一部 :
『DeFi,NFT,GameFiの次に来るトレンドの種は何か』

城戸 大輔氏 : 株式会社HashHub HashHub Research マネージャー
 

(城戸)
 よろしくお願いします。まず、自己紹介をさせてください。株式会社HashHubでリサーチ部門の事業責任者、マネジャーをしています城戸大輔です。14~15名程度の小さなスタートアップですので、リサーチの方向性、中長期のプランの策定、マーケティング、法人の皆さまへのセールスやリサーチの執筆など、全般的に行っています。
 HashHubは9月にブランドの変更をしています。ブランドデザイン、ロゴデザインを変更し、新しいロゴと色合い、デザインになっています。
 HashHubは全部で三つ事業があります。Web3のリサーチレポートであるHashHub Research、暗号資産の資産形成サービスであるHashHub Lending、暗号資産に特化したさまざまなスタートアップの方に入居いただいているコワーキングスペースの三つです。この中で、特にHashHubResearchの法人さま向けプランについて簡単に紹介します。
 法人プランでは、毎月25本以上、最新の暗号資産関連のレポートを配信しています。もう3年以上続いており、1100本以上のアーカイブがあります。こちらで情報収集や学習、NFT、DeFiなどの最新のトレンドをキャッチアップできます。この他に専門的なサポートがあり、Slack上で随時Q&Aを行っており、リサーチャーやエンジニア、アセットマネージャーがお応えしています。また、スポットコンサルティングも行っていて、月に1回程度ウェブ会議での壁打ちもしています。このような内容を網羅して、月に8.3万円で導入可能ですので、皆さまどうかご検討ください。業界のかたがたには好評をいただき、70社以上に導入されています。

 では、本題である『今後暗号資産市場に出てくるトレンドは何か』についてお話しします。まず、過去のトレンドについて振り返りを行い、その動きから今後何がトレンドの種になるのか、時系列に沿って説明します。
 まず、こちらはイーサリアムの価格のチャートです。2022年9月末現在で、暗号資産は残念ながら下落傾向にあります。期待が持たれていたTheMergeの影響もそれほど寄与せず、TheMerge前の8月中旬に2000ドル近辺の高値を付けて、そこから下落傾向となり、現在の価格は1300ドル程度にとどまっています。
 ここで、チャートから過去のトレンドを復習していきます。
 
まず、最初にあったのが2018年のバブルの高値で、1400ドル程度を記録しています。その後、3年間程度下落相場が続き、2020年6月に始まったのがDeFiサマーです。このDeFiサマーでは、Compoundというレンディングプロトコルがガバナンストークンをローンチしました。これがDeFiサマーの始まりで、その後Uniswapが過去の利用者に可及的なエアドロップを行い、そのUniswapに対してそのプログラムをコピーしたSushiswapというプロジェクトが出てきました。このSushiswapにより、このプロジェクトに流動性提供をした者にガバナンストークンを配るというVampireAttackが行われ、Uniswapの流動性をSushiswapが吸収しました。その他にも、DeFiの利用を最適化するYieldaggregatorであるyearn.financeが出てきて、トークン価格が一時ビットコインを超えるくらいの上昇を見せました。また、YamFinanceというプロジェクトが出てきて、多くのTDLを獲得したにもかかわらず、1日でトークンの価値がほとんど無価値化するなど、非常に盛り上がりがありました・・・

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 もう一つ、GitcoinPassportも注目されています。Gitcoinはオープンソースの開発者のサポート、コミュニティーの育成のためのサービスです。Gitcoin上では、オープンソースのプロジェクトに対して、経済的な支援ができる仕組みになっています。他にも、フリーのソフトウエア開発者に向けてハッカソンを開発してスポンサーする仕組みがあります。WalletconectやDeFiantなどのDeFiに特化したメディア、イーサリアム2.0のクライアントであるPrismaなど、業界内で有名なプロダクトも過去に支援を受けています。このGitcoinを支援する著名な人も多く、VitalikやConsenSys、Uniswapなどが支援を行っています。
 そのGitcoinが提供するDIDがGitcoinPassportです。GoogleやFacebookのようなWeb2アカウントやENS、POAPと呼ばれるNFTのようなWeb3のID的なものを集約するものになっています。どのように実装しているかというと、Gitcoinにユーザーが寄付をしていきます。その寄付の狙いとして、エアドロップが欲しいというものもあります。これから有名になって大きくなるプロトコルにあらかじめGitcoinで寄付をしておくと、トークンとして返ってくる可能性があります。さらに、このGitcoinPassportに自分の個人情報を登録すると、Gitcoinがマッチングで寄付額を大きくしてくれるというメリットがあります。これを狙って、ユーザーはGitcoinに寄付をし、GitcoinPassportにIDを登録して寄付を大きくする、そのようにしてGitcoinPassportはユーザーの個人情報を収集して、GoogleやFacebookのシングルサインオンの代わりとしてGitcoinPassportが使える、そのような仕組みです。

 ここまで、Cosmosや用途アプリ特化チェーンとしてSeiやdydx、投資が多く集まっているMove系のものをレイヤー1として挙げました。DeFiでは、伝統金融にあってDeFiにない仕組債を導入するCegaやAaveArcといった機関投資家をDeFiに入れるプロトコル、ステーブルコインでいうとトリレンマを解決するものやDID、その代表的なものとしてWeb5やGitcoinPassportを説明しました。このあたりが、次のトレンドの種になるものとして、可能性があるのではと考えています。
 このようなほぼ全てのリサーチをHashHubで網羅しています。法人プランでは、この辺のリサーチをしているリサーチャーが事業提案や新しいビジネスについてアドバイスもさせていただきますので、ぜひご検討いただければと思います。
 私からの説明は以上です。

 

 

講演資料・議事録全文・動画アーカイブは会員専用ページご確認いただけます。

 

 

第二部 :
『【大臣官房Web3.0政策推進室・法律家・実務家 座談会!】日本のWeb3.0 を切り拓く展望と課題』


(パネリスト)
浅野 大介氏 : 大臣官房Web3.0政策推進室長(兼)経済産業政策局 産業資金課長
増島 雅和氏 : 森・濱田松本法律事務所 パートナー
吉田 世博氏 : 株式会社HashPort 代表取締役CEO / 当協会理事
(モデレーター)
廣末 紀之氏 : ビットバンク株式会社 代表取締役CEO / 当協会会長

 

(廣末)
 
本日は、日本のWeb3を切り拓く展望と課題というテーマです。日本でも徐々にWeb3というキーワードが盛り上がり、実際にいろいろな形に見えてきているところも多いのではないかと思います。自民党でも今年はWeb3の推進ということが、骨太の方針などいろいろなペーパーにも書かれ、Web3をキーワードに国家の経済戦略を推進していこうという機運があります。本年7月には、経済産業省の中に、大臣官房Web3政策推進室が設置され、いよいよ官民一体となって産業を育成していこうという機運が盛り上がっている状況です。
 本日は、業界を代表する皆さまがたで、Web3について議論をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 まず、経済産業省がどのようにWeb3を捉えているのか、この推進室がどのような目的を持って活動されていて、どのような設置の背景があったのか、浅野室長にこのあたりをお聞きできればと思っています。

(浅野)
 私は幾つかのポジションを兼ねています。産業資金課長としては、産業、社会の資金の循環、まさに投資やお金の流れそのものの仕組みをどう作り直していくのかが、私の最も大きなテーマです。産業革新投資機構という官民ファンドを所管しており、そこでのベンチャー投資やプライベートエクイティ、事業再編投資を大きい仕事としています。事業その非常に大きい仕事の一方で、暗号資産という世界がもう一つのお金の流れとして非常に大きな存在感を放っています。
 しかし、それなりに資産運用をしている人たちであっても、そのような怪しいものに手を出してはいけないと思っている人たちのほうが、多分相当多いと思います。何のことかよく分からず、アクセスしている人たちの数は相当限られています。ただ、ここに流れ込んできている人材を見てみると、GAFAをはじめ、Web2の世界や金融の世界でのチャンピオンから人がたくさん流れてきています。今、表面に表れているものは、ゲームやNFTの取引、文化経済系、エンターテインメント系の話、それに加えてDeFiの世界ぐらいのことに見えますが、もっと大きい地殻変動を起こす可能性は十分あるのだろうと考えられ、それに備えなければいけません。
 大臣官房は全部局を取りまとめる組織として、各部局横断で、何をしなければいけないのか。経済産業政策局は税制・会計、ファンド法制、金融の制度周り全般について金融庁や財務省に注文し、改革をウォッチしていく部局です。商務情報政策局と商務サービス政策局は現業を持っている部局です。まずは文化経済系が多くなります。経済産業政策局はフィンテックも見ています。このような体制でまずざっと洗ってみようという話が始まって約2カ月、そのような状態にあります。

(廣末)
 私もこの業界に入ってから10年近くになりますが、日々進化し、言葉も難しいです。まず現状のマップを理解するのが大変ではないですか。

(浅野)
 本当にそうです。私の前のポジションがサービス政策課長だったので、スポーツのNFT関係の話ぐらいは見ていました。しかし、レイヤーがプロトコルのほうに近づけば近づくほど、何を言っているのか最初分かりませんでした。ただ、日本は今、このような事業を起こせる環境にないという非常にプリミティブなところで、うまくいっていない状態です。その証拠に、多くのスタートアップがシンガポールやドバイなどに行ってしまっている現実があります。一方で、この世界にいる人たちの中には、日本に住めるのであれば住みたいという人たちもそれなりにいますから、ポテンシャルがある中で、極めてもったいないと思います。日本人が外へ出ていくのは、私はいいことだと思っていますが、日本でできないから出ていくというのは良くありません。いろいろな事業環境整備を早急にしなければいけないと思っています。

(廣末)
おっしゃるとおりです。経済産業省は推進側であり、トップの室長がそのような課題意識を持っていただいているのは、われわれの産業からすると、とても心強いです。

(浅野)
 いろいろ知れば知るほど、大きい話だと思います。最初私はGameFiの世界、NFTの取引の市場など、このあたりの文化産業系の話だろうというぐらいに思っていました。稼げる産業として、これからそちらにシフトしていくのは間違いありません。それも大事ですが、よりいっそう構造的なインパクトを与えていくのは、DAOというものの考え方だと思います。Web3の話が突きつけている意思決定のメカニズムは、割とまだ理念的な、抽象度の相当高い議論をしているところがあるとはいえ、相当レベルの高い方たちがこの業界に流れ込んできているので、その理念が実現し、働き方、組織の在り方、イノベーションの起こし方など、いろいろなものが大きく変わり、社会の意思決定の在り方全般に影響を与えていく可能性は十分にあるだろうと思っています。

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(増島)
 ディシジョンメーカー、ローメーカーの部分が理解していただけない問題があります。塩崎先生や平先生などの若い先生がたは柔軟で理解なさり、一生懸命されるのですが、上のところで理解できないと言われてしまいます。ここは根本的な課題です。全力を出します。
 言い続けたら、本当にいつになるのか、ここが根本的な課題です。早く動くのは若いリーダーだと思います。ここがどうにかなると、いろいろできるのですが、ここをどうにかする方法がなく、構造的にどうすれば勝てるのかが分からない世界が日本だろうと思います。でも期待します。

(浅野)
 言い続けるとしても、アンチやアナロジーではないリアルな言葉、固有な言葉を皆で作っていくことだと思います。アンチやアナロジーではないWeb3をどう説明するか、それはひたすらユースケースの可能性を説き続ける以外にないと思っています。

(廣末)
 JCBAでもそのようなものは作りたいと思っています。浅野室長、ぜひいろいろお知恵をいただければと思います。

(浅野)
 一緒にぜひ言葉を作っていきたいです。

(吉田)
 プロダクトを作る人が評価されるようなカルチャーというところは一つあるかと思っています。概念だけ打ち出して、では実際に皆が触れるプロダクトは何があるのか、という方は結構います。まずプロダクトを実際に作って、それを動かしていく人を皆で応援をしていく、その中でいろいろな問題が明らかになってくると思います。そして、それを率直に語る場がしっかりと生まれ、皆がどんどんプロダクトを出して、その中で新しい可能性、問題点が見つかっていくといいと強く思っています。そういったチャレンジャーが増えていくようなカルチャーになっていくといいと思います。

(廣末)
 ありがとうございます。この話をすると、1時間ではとても語りきれません。言いたいこと、変えなければいけないことが山ほどあります。本日は、経済産業省Web3推進室ができ浅野室長が強い味方であることがよく分かりましたので、官民一体となって推進していこうということで、締めさせていただきます。

 

 

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