『グローバル・日本市場におけるSTOのトレンドと展望』
『Web3ハブとしてのシンガポールの現在地と今後の展望』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2022年10月31日(月) 17:00〜19:00
  • 場所:オンライン配信
  • 第一部(講演) 17:00〜18:00 : 『グローバル・日本市場におけるSTOのトレンドと展望
    (講演概要)
    2017 年に米国で生まれたSTO(ブロックチェーンを利用したデジタル証券)は、全世界で急速な成長を見せ、近い将来資本市場を置き換えて行くと考えられています。日本でも一昨年法律が整備され、事例が急速に増えています。
    本セッションでは、世界トップレベルのSTOプレイヤーであるSecuritizeの経験、視点から、STOの概要、仕組み、プラットフォームを紹介し、海外・日本の事例を交えながら、STOの現状、未来についてお話しします。

    第二部(講演) 18:00〜19:00 : 『Web3ハブとしてのシンガポールの現在地と今後の展望
    (講演概要)
    インターネットの時代には、情報は瞬時に世界を駆け巡るようになりましたが、多くのビジネスは国単位で展開されてきました。
    しかし、web3の時代には、トークンはもちろん、NFTもそのほとんどが最初から国境を越えて取引されます。コロナ禍の間にも、何十、何百の日系プロジェクトが、国際都市のシンガポールやドバイに拠点を移しました。なぜ、皆シンガポールやドバイを目指すのか、そして、その後、どのような問題にぶち当たり、克服してきたのか、さらに、日本も含めた今後の各国のweb3ハブの覇権争いはどうなっていくのか、弁護士、そして投資家の目線でこれまでに得たナレッジを共有できればと思います。

    ■ 講演者
    第一部
    小林 英至氏 : SecuritizeJapan株式会社, Country Head,Japan
    森田 悟史氏 : SecuritizeJapan株式会社, Tech Consultant

     

    第二部
    森 和孝氏 : 弁護士法人 One Asia/One Asia Lawyers
    シンガポールオフィス パートナー弁護士

 

第一部 :
『グローバル・日本市場におけるSTOのトレンドと展望』

小林 英至氏 : SecuritizeJapan株式会社, Country Head,Japan
森田 悟史氏 : SecuritizeJapan株式会社, Tech Consultant

 

(小林)
 それでは、小林と森田で、STOについての話をさせていただきます。
 簡単に自己紹介をします。私は現在SecuritizeJapanのカントリーヘッドをしています。米国で大学、大学院を出て、その後ウォールストリートのMerrillLynchに新卒採用で入社し、しばらくコーポレートファイナンスに携わっていました。その後は投資銀行、金融業の業務が長く、2年半ぐらい前にSecuritizeJapanに入りました。現在、一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)の理事も拝命しています。

(森田)
 私はSIerからブロックチェーン技術の専門企業であるBUIDLに2018年に入り、そこからブロックチェーン関連のプロジェクトをいろいろさせていただきました。2019年末から株式会社BUIDLがSecuritizeの配下に入りましたので、そこから日本展開を推進しています。

(小林)
 本日は、まずSTOとはどのようなものかをおさらいします。その後、Securitizeの話をします。Securitizeは業界でもかなり先進的なポジションにいますので、そこを見ていただき、STOとはどのようなものか、どのように進みそうか、という感触を得てください。

 それでは、簡単にSTOについてのご説明です。右側の考えられるユースケースからいうと、STOは全ての資産、証券、キャッシュフロー等で、法律によって定義されるものではなく技術によって定義されるものであると考えています。有価証券はもちろん、不動産やアートなど、いわゆる資産は有形のものもあり、無形のものもあります。全ての価値のあるものはトークン化が可能であると考えています。
 左側は、もう少しがっちりした定義です。ブロックチェーン上での有価証券あるいはその価値を表象したものです。投資家と発行体が安全に直接つながることが可能な技術です。投資家と発行体は、取引所や証券会社など、いわゆる金融機関等を通してつながるのが今の定形ですが、そうではなく、技術的には直接つながることが可能ということです。
 投資家のメリットとして、これまでなかったような案件に投資が可能になります。また、中間のコストが極小化されることにより、それを両サイドで分けることで、より魅力的なリターンが可能になります。それから利便性です。取引所が開いているかに関係なく、24時間、365日、市場や取引にアクセスできます。
 発行体のメリットは、管理の簡素化、調達コストの魅力化、小口化による投資家層の拡大です。また、単にファイナンス、資金調達だけではなく、顧客ロイヤルティプログラムとの連携がより容易になってくるような展開も考えられます。

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(森田)
 セキュリティートークンの暗号資産と異なる特徴として、秘密鍵を紛失してしまった人の救済、悪い人がいたときに止める、といった機能を必ず備えてなければいけません。管理者サイドがパブリックブロックチェーン上スマートコントラクトに向かってその操作をすることが必要になります。そのため、非常に高権限の秘密鍵を持って管理者操作を行うことになり、高権限の鍵は管理が非常に大変になります。これについては、階層型にマスター鍵、管理者鍵として、管理者鍵が全部なくなっても、マスター鍵で取り戻せるようにし、管理者鍵も相互にけん制しあって、マルチシグで複数の署名が集まらないと操作ができないようにしています。管理者鍵の管理方法も、ソフトウエアウォレットからHSMのような安全な管理も提供していて、これも発行体で選べるようになっています。
 パブリックブロックチェーンでは、手数料が非常に高くなってしまい、運営が非常に大変になるケースがよくありました。その対応として、いろいろなパターンを用意しています。暗号資産交換業では当たり前ですが、管理者サイドで投資家のトークンを預かっているときは、Aさん、Bさん、Cさんは一つのウォレットに入っていて、画面から見たときはきちんと分かれて見えるようにしています。しかし毎回ブロックチェーン上のトークンの移転をしていると、非常にガス代がかかってしまいますので、その辺の管理は柔軟に行えるようにしなければいけません。そこでのセキュリティー対策は、プラットフォームでしっかり提供しています。投資家自身がオンチェーン管理できるパターンも用意しています。しかし、全てこの形であると移転の際に毎回ガス代が必要になってしまいます。これをハイブリッドにして、発行時は一番左側の形にし、投資家が自分で手数料を負担してオンチェーンに引き出したい際にはそれが行えるようにしています。
 今まで自分が株主であることを証明して特典を得るための株主名簿の共有は大変なものでしたが、自分の意志で証明できる新しいユーザー体験に繋がります。

 ビジネス的なところの特徴など、いろいろご説明しました。パブリック型、パーミッション型、それぞれメリット、デメリットがあり、ニーズに応じて使い分けられるように選択肢を用意しています。現状、日本ではパーミッション型、プライベートコンソーシアムの利用が進んでいますが、グローバルではKKRのような会社がパブリックブロックチェーンを使っているケースもあり、ニーズがどこで変わってくるか分かりません。われわれは適切な選択肢を用意して、日本においてもグローバル動向にきちんと付いていけるように提供できればと思っています。

(小林)
 最後に、やや宣伝めいた話をさせていただきます。Securitizeは実績があり、暗号資産やブロックチェーンに関して何となく怖いというものに対して正面から取り組み、コンプライアンスあるいはSECの登録を積極的に行って、基本的にはルール内できっちり事業を行っている企業であることは重要かと思います。
 そもそも論として、ブロックチェーンあるいはSTOは、オープンで民主的なシステムをつくるという発想ですから、当然ですがグローバルであることです。プラットフォームについては、単にトークン化できるだけの話ではなく、全体のエコシステムをカバーし、利用者のフィードバックに基づいた利用しやすいシステムができています。また、日本においても、きちんとしたサービスができる体制もあり、実績もそれなりにできていますので、今後もこのようなディスカッションの際には、できる限りのお力添えをさせていただける立場にあるかと考えています。

 

 

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第二部 :
『Web3ハブとしてのシンガポールの現在地と今後の展望』


森 和孝氏 : 弁護士法人 One Asia/One Asia Lawyers
シンガポールオフィス パートナー弁護士

 

(森)
 では、Web3全般のハブといわれているシンガポールの現状、ここまでの状況と今後の展望について、お話しさせていただきます。

 まず、少しだけ自己紹介をします。弁護士法人OneAsiaという法律事務所で活動しています。弁護士法人OneAsiaは日本では4拠点、海外では東南アジアを中心に11カ国で事業展開をしており、海外進出やM&Aなど、幅広く対応しています。私はシンガポールに7年ほど前から来ています。シンガポールはデジタル、フィンテックに非常に強いこともあって、フィンテックの対応を主にしていましたが、2017年頃からのICOのブームや2019年頃からいろいろな取引がシンガポールで始まったことから、去年くらいから主にNFT、GameFiなどのWeb3関連の対応をしています。
 クライアントの状況は2~3年前から多様です。最近ではICOはほとんど見かけなくなりました。日本でトークン発行をするのが税制等の理由から難しく、シンガポールを選ぶ方が多いです。青色のNFTGameやXtoEarnが多くの割合を占めています。また、DeFiやPaymentのサポートもさせていただいています。

 本日のテーマはシンガポールの状況です。今年の初めくらいまでは、シンガポールはとても動きやすいということを、かなり明るいトーンでお話しさせていただいていました。しかし、Terra/LUNAショックとして今年の5月11日の夕方、ステーブルトークンの暴落がシンガポールを舞台として起こってからは、消費者保護を強めていかないといけないという風向きになってきています。依然として良い部分はありますが、絶対にシンガポールがベストチョイスかというと、ケース・バイ・ケースになってきています。
 かつ、どこかの国一つを拠点にしているプロジェクトは最近ほとんどなく、複数の国の良いところを利用しながら事業展開していくプロジェクトがとても増えてきています。そもそもWeb3の業界は、グローバル前提のプロジェクトが多いですから、コアメンバーが複数の国に住んでいる企業も多く、シンガポールで全てを完了させようとするプロジェクトはそれほど多いわけではありません。シンガポールの良いところを利用していく流れになっています。
 しかし、この4、5年は日本からスタートアップをはじめとする起業家がシンガポールにたくさん移住してきて、こちらのコミュニティーも非常に大きくなってきています。もちろん、とても流動的で、同じ人がずっといるわけではありませんが、母数として非常に大きくなっています。

 日本の問題点として、トークン発行全般に交換業ライセンスが必要、法人が保有するトークンは期末にみなし課税される、DeFiやPlaytoEarnなどの新たな分野の規制に関して非常に不明確、トークン関連事業を行うと会計監査が行き詰まる、金融やテクノロジーの社会全体のリテラシーが低い、国際人材が少ない、とされていて、海外に拠点を求めているところが多いと一般的にいわれています。
 2020年頃までは、若く優秀な起業家がシンガポールに次から次へと来ていました。それを追うように、2021年頃からは、いわゆる大企業も、シンガポールに関連するビジネスがある場合に拠点を出していくところが増えてきていて、われわれに相談が来るところの規模感も、大企業が増えている状況です。

 本日は、シンガポールになぜそれほど多くの企業が来たのかに関する基礎情報をざっとお話しして、まだ明るい頃の規制はどのようなものだったのか、そして引き締めがある現在、また今後どうなっていくのかをお話しできたらと思います

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 シンガポール政府はどのように考えているのかが分かるコメントを二つご紹介します。
 このHengSweeKeat氏は元副首相で、首相になる予定でしたが、年齢を理由に首相を辞退された方です。この人が副首相だった頃にお話ししています。「Web3.0はまだ生まれたばかりで、完全に定義されるには至っていない。私たちは、熱狂的な支持と批判的な懐疑を公平に見てきた。暗号資産は、特に多くの人々の関心を集めている。以前は、その驚異的な成長とより高いリターンのために、そして最近では、TerraLunaの暴落ために。Web3.0にアプローチする方法は、オープンマインドを保つことだ。傲慢さと疑惑のベールの両方を突き破り、潜在的な変革の基盤となる技術を理解する必要がある。大切なものを無用なものと一緒に捨て去ってはならない。」と、規制は評価するけれども、国としてそこを全体的にネガティブに捉えているわけではないという感じです。

 SopnenduMohanty氏は、金融庁のフィンテックのトップの人です。「ブロックチェーンで出願された特許等の知的財産の数は、2番目のAIよりも10倍と圧倒的に多い。つまり、最も優秀な人たちがこの分野に注目しているということだ。そして、彼らは未来を変えようとしている。」と、規制で消費者を保護しないといけないけれども、非常に期待しているというようなことをTOKEN2049というイベントでお話ししていました。

 シンガポールは、今までWeb3でハブになってきて、その地位はかなり強固なものでしたが、規制しても集まってくるという状況に置かれ、それが異様な熱気を生んでしまって、いろいろな事件にもつながっています。最近は消費者保護に重きを置いた規制が行われていますが、その根底では産業をつぶすことは考えていないだろうと思います。でも、そのバランスの取り方が難しく、行ったり来たりしているような状況にもなっています。今後に関しては、次の選択肢としてドバイ、香港、ポルトガルなどがあると思いますが、結局いろいろなところとの綱引きで、今後も変わっていく状況です。この1カ月でも規制が大きく変わっていっている状況で、3カ月前がどうだったかは、ほとんど意味のない情報になっています。ですから、常に最新の情報のアップデートが必要であり、われわれもそれに貢献できるように、できるだけの情報を公開していこうと思います。

 

 

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