『協会活動の総括』
『Cryptoasset・web3 2022Year-End Review by JCBA ~web3、NFT、DeFi、暗号資産税制、ステーブルコインの来年の展望を徹底議論!~』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2022年12月14日(月) 17:30〜19:20
  • 場所:「大手町プレイスカンファレンスセンター」 ホールB
  • 第一部(講演) 17:30〜18:00 : 『協会活動の総括
     
    第二部(パネル) 18:00〜19:20 : 『Cryptoasset・web3 2022Year-End Review by JCBA ~web3、NFT、DeFi、暗号資産税制、ステーブルコインの来年の展望を徹底議論!~

    ■ 講演者
    第一部
    事務局

     
    第二部
    小田 玄紀氏 : ㈱ビットポイントジャパン 代表取締役/理事
    斎藤 岳氏 : ㈱pafin(旧株式会社クリプタクト) 代表取締役/税制検討部会長
    白石 陽介氏 : ㈱HashPort 社外取締役/ステーブルコイン部会長
    天羽 健介氏 : コインチェック㈱ 常務執行役員/NFT 部会長
    野田 直路氏 : ビットバンク㈱ 取締役執行役員CTO/DeFi 部会長
    保木 健次氏 : 有限責任 あずさ監査法人 Web3.0推進支援部 部長 金融統轄事業部 ディレクター/ユースケース部会長

    モデレーター
    廣末 紀之氏 : ビットバンク㈱ 代表取締役/会長

 

第一部 :
『協会活動の総括』

事務局

(力丸)
 事務局の力丸です。協会の活動について、2022年の総括をご報告します。2022年は実効性を高めるということが一つの大きなテーマでした。これまで行ってきた提言と要望活動を取りまとめて、実現につなげるということで、2022年は政治や当局としっかりと細かいコミュニケーション、対話を行っていくことを大きく掲げ、強化してきました。政治の面において、暗号資産を推進しているので、活動自体は進めやすかった部分があります。その中で、業界の要望をしっかり伝えていくという活動を行ってきました。
 協会の概要です。2022年、理事に株式会社HashPortの吉田さんが加わり、これまでの交換業者だけではなく、発行体やスタートアップの知見などをいただきながら、理事会を強化してきました。また、アドバイザーを新設して、理事会の中に部会長、リーガルアドバイザーとして2人の先生に入っていただき、強力に事業を推進しています。

 正会員の皆さまについては、四半期に1回、正会員会議を行い、活動報告と意見をいただいています。

 協会は、毎年、期の初めに改善ニーズの把握を行っています。2022年はアンケートを実施しました。それを踏まえて、役割としては会員ニーズの充足、業界課題の解決をしっかり行っています。協会の考えとしては、パブリックブロックチェーン、発行される暗号資産のトークンが根底にあります。世界観としては、パーミッションレスの世界観です。Web3についての考え方についても、そのように考えています。エコシステム全体の環境整備と一般への普及・啓発が協会の活動として存在します・・・

・・・ 

 最後に、メディア掲載です。一般に活動内容をどれだけ伝えられるかというのが一つのテーマでした。1年間で、50本程度の記事掲載があり、ある程度は届けられたのではないかと思っています。協会活動は以上です。

 現在は2022年12月ですが、NFTやトークンの暗号資産該当性、金融法制に当たるかといったことが、年内にパブリックコメント等で行われるかと思うので、しっかり対応していきます。また、税制については、党の税制大綱等が出てきますので、しっかり細部を詰めていくという作業が残っています。ステーブルコインについても、パブリックコメントが2023年の1月ぐらいに出てくるのではないかと思っていますので、その対応もしっかり行っていきます。
 会員の皆さまのご協力なしには部会活動は活発にできません。来年も是非活用いただきながら、一緒に活動いただける仲間を増やしてまいりたいと思います。
 是非来年もご協力いただけますと幸いです。ありがとうございました。

 

 

講演資料・議事録全文・動画アーカイブは会員専用ページご確認いただけます。

 

 

第二部 :
『Cryptoasset・web3 2022Year-End Review by JCBA ~web3、NFT、DeFi、暗号資産税制、ステーブルコインの来年の展望を徹底議論!~』


小田 玄紀氏 : ㈱ビットポイントジャパン 代表取締役/理事
斎藤 岳氏 : ㈱pafin(旧株式会社クリプタクト) 代表取締役/税制検討部会長
白石 陽介氏 : ㈱HashPort 社外取締役/ステーブルコイン部会長
天羽 健介氏 : コインチェック㈱ 常務執行役員/NFT 部会長
野田 直路氏 : ビットバンク㈱ 取締役執行役員CTO/DeFi 部会長
保木 健次氏 : 有限責任 あずさ監査法人 Web3.0推進支援部 部長 金融統轄事業部 ディレクター/ユースケース部会長

モデレーター
廣末 紀之氏 : ビットバンク㈱ 代表取締役/会長

(廣末)
 師走のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。ここにいる方は、JCBAの部会長のかたがたを中心に、ほぼこの方たちで業界の全てを語れるのではないかというほど、業界の発展に多大なご貢献をされているメンバーです。本日は部会の活動や裏話、業界の振り返り、2023年に向けた展望などを皆さまとお話ししたいと思います。
 2022年、業界は大変な状況だったと思います。一方で、先ほど力丸さんからお話があったように、国家全体としてはweb3の進展など、いろいろな前進もありました。
トップバッターは小田社長です。小田社長はJCBAの理事で、日本暗号資産取引業協会の副会長で、業界の隅々まで全て把握されています。2022年、交換業界でいろいろな活動をされたと思います。1年を振り返って、いかがですか。

(小田)
 本当に1年間、いろいろありました。クリプトウィンターといわれますが、個人的には2018年のほうがもっと悪かったというイメージがあります。2018年、2019年はビットコインが35万円まで下がりましたが、現在は230万円程度でとどまっています。一番大きいのが、日本の金融庁の、評価の姿勢が変わったということを感じました。FTXの件があったときに、翌日からほぼ毎日、自由民主党の先生や金融庁などと話をしていました。その際の感覚として、また業務改善命令が各社に来るのではないかと考えていました。金融庁として、既に日本はきちんとしたレギュレーションを行っているということで、われわれとしてはプライドを持っているということを言ってもらえました。それを聞いたときに、業界は問題がないと思いました。2018年を経験している身として、廣末さんはマウントゴックスの前後から経験されていると思います。そこから比較すると、可能性があると思っています。

(廣末)
 感覚的は、本当にマウントゴックスのショックに近いです。とはいえ、当時から比べると業界は大きくなってきています。今、言われましたが、日本も事業者からすると、この規制は何とかならないかと思いましたが、今回、金融庁の株も上がったのではないかと思います。

(小田)
 それは非常に感じています。結果的に、日本があのレギュレーションを行ったことで、今、もう一度、日本はクリプトの世界で可能性があるのではないかという評価につながっていると思います。

・・・

(斎藤)
 今週、税制大綱が出る予定で、われわれの要望が全て通ったというご報告ができるとよかったのですが、残念ながら、そうなりませんでした。具体的には法人税の期末時価評価課税の部分だけが載る見込みです。自社発行トークンに関しては、税制大綱としては三角マークをもらっている状況です。現在、われわれの手を離れている状態ですが、最近、防衛関係の費用で増税するなど、いろいろな話があるので、そういった中で被害がない形で通ればいいと思っています。

(廣末)
 私はほとんど何も貢献できませんでした。税関係は今まで、われわれの業界について、話も聞いてくれませんでした。現在は斎藤さんとコインチェック株式会社の竹ヶ原さんが中心になって、金融庁や税制調査会に、われわれの業界がなぜ大事かを説いて回っています。2022年は機運もあって、われわれの歴史上、税制に風穴が開いたのは初めてになりますか。

(斎藤)
 そうです。われわれは、今まで個人の分離課税の要望だけを出していましたが、2022年の今年、初めて法人税の要望を出しました。廣末さんが言われたように、われわれの努力もありますが、機運ということがあります。いろいろな機運が重なって、法人税に関しては話をすることができました。要望は、おおよそ7月か8月に金融庁に出しますが、今まではそれで終わりだったものが、2022年はそこがスタートになりました。実際にどのように変えていくかについて、金融庁と一緒にワンチームで財務省、主税局に説得に行こうとなりロジックの検討を行いました。この点が最も大きな成果だと思います。

・・・

(白石)
 ステーブルコイン関連はそもそもどう扱えばいいのかという状態で、長らく日本の法律上、浮いていましたが、2022年6月に改正資金決済法が可決されて、法律に載りました。これは非常に大きなトピックスです。法律が6月に可決されたので、ここから1年間かけて、施行までの間、布令やガイドラインを落とすようになっています。2018年、2019年頃にできている資金決済関連の法律は、業界団体とわれわれが密に擦り合わせながら作っていくというよりは、金融庁がある程度、主導してつくっていた部分があったと思います。現在、金融庁は布令やガイドラインを詰めているところで、出来上がった部分から、JCBAに送ってくれています。毎週「明後日までにコメントをください」という依頼をいただいています。ここ最近は木曜日金曜日にドラフトをもらい、土日に読み込み、月曜火曜でコメントを書くということを一か月ほど続けています。ステーブルコイン部会は河合先生、佐野先生、最近はコインチェック株式会社の北田先生も入って、ボランティアで活動いただいていますが弁護士費用に換算したら凄まじい額になると思うほど密にディスカッションを行っています。
 我々が勝ちうる点として、6月に法律ができた段階では、国内発行かつパーミッションのステーブルコインが法律の枠組みでは大きく捉えられています。海外発行トークンをどう扱うかというところは、実はあまり議論されていませんでした。

(廣末)
 もともと法律の内容は、パーミッションレスは無視という感じでした。

(白石)
 この内容を読む限り、パーミッションレスは無理ではないかという内容で出てきていました。そこに対して、そもそもパーミッションレスが重要だという話です。それから、海外発行を抑えることが日本にとって良いことではないという話を、時間をかけて打ち込み続けてきました。これはWeb3の機運がなかったら聞いてもらえなかったと思います。結果的に今、まさに海外発行のパーミッションレスステーブルコインをどれぐらいの細かさで規制して扱うのかというディテールを詰めているところです。現在、少なくとも扱えるようにはなりそうな方向で議論できているのは、ステーブルコイン部会として活動したかいがあったのではないかと思っています。

・・・

(天羽)
 体感的には5周ぐらいトレンドが回ったようなスピードの速さです。2020年6月、コインチェック株式会社としてNFT事業を行うと決めたときですが、当時の市場規模で300億円でした。その1年後、2021年の市場規模が5兆円までになりました。2020年7月に、JCBAの中で、NFT部会をつくって、2021年3月にNFTのトレンドがGoogleのトレンドの検索数で、異常なまでの盛り上がりを見せました。

(廣末)
 この盛り上がりを天羽さんは予想されていましたか。

(天羽)
 結果論で言うと、運が良かったという感じです。当時、ネットメディアにはほぼ出ていませんでしたが、業界の先で動いているプレイヤーの方などは、兆しを感じていました。非金融領域の部分も比較的あるので、アート、音楽、スポーツ、ファッション、いろいろな業界のかたがたがNFTブロックチェーンという手段を使って入ってきて、裾野が広がるというのは非常に良いことだと思います。JCBAとしては、ブームが来たのは2021年4月26日、先んじて動いていたことが功を奏して、翌月にガイドラインを公表できました。これが事業者の参入を促す際に参考になったことでもあるかと思います。

・・・

(野田)
 まだまだ難しいという印象が強いです。2021年、金融庁でDeFiに関わる研究会が立ち上がるという話がありました。それできちんとカウンターパートになっていこうと、JCBAでDeFi部会を立ち上げたという経緯があります。実際、金融庁で研究会が始まったものの、全部ステーブルコインに議論が持っていかれて、DeFiに関する議論が始まりませんでした。

(廣末)
 金融庁も、難しいのでもういいという感じがありました。

(野田)
 最初はそうでした。DeFiとは何なのかは、文脈によってもだいぶ変わってくるので、捉えどころがないという特徴があるのではないかと思っています。ただ、2022年に入って、テラショック、トルネードキャッシュといった事件をきっかけにして、研究会においてもDeFiの議論が始まったのではないかと思っています。ここでDeFiというのは、金融機能を持ったスマートコントラクトと、それを取り巻くフロントエンドシステムといったところではないかと思っています。
 DeFi部会も、それに合わせて今までグレーとされていたDEXの国内における交換業の該当性やそれ以外のDeFiに係る規制の在り方などを提言しようとしてまとめるべく、AMTの福井さんにご貢献いただいて、資料をまとめて、第1版という形で金融庁に持っていきました。提言というと、どのように絞っていこうかというものは見えていないので、時期尚早というので一つトーンを落として、NFT部会が行っていたようなJCBAから公開するガイドラインとして公開するべく、ブラッシュアップしている状況です。

・・・

(廣末)
 Web3は各論に入ると、非常に話の進め方が難しいです。そういうときに、われわれの考えるWeb3はこういうものだと前面に出ていると非常に話がしやすいです。私は何かあるたびに、業界のことを細部に知っている保木さんという人が作った保木ペーパーというものが協会の意見だというふうに使いたいと考えています。これが広がっていくと、Web3の話も進めやすくなるのではないでしょうか。2015年頃から業界に携わられていると思います。保木さんの周辺では、Web3をやりたいので支援してくれないかというご依頼がたくさんあるかと思いますが、どのように対応していますか。

(保木)
 まだ支援など、具体的なことはありませんが、Web3について講演してほしい、勉強会を行ってほしいと依頼があって、今までとは全く違うと感じています。業種も金融の世界だけでなく、事業会社の方、政治家の方など、Web3の話を聞かせてくれと、いろいろな所に呼ばれています。今まで頑張ってきましたけれども、話を聞いてもらえる空気になってきました。

(廣末)
 素晴らしいです。あとは保木さんとしては、それを刈り取るだけという感じの段階になってきていますか。

(保木)
 刈り取りたいけれども、どうでしょうか。今、相談として来るのはトークンビジネスをやりたいのでシンガポールに子会社をつくりますが、会計、税務をどうすればいいかといった内容で、皆、日本から出て行ってしまいます。それを前提に相談してくるので、まだやるべきことは多いです。

・・・

(廣末)
 本日は各部会のキープレイヤーの方たちにご参画いただきました。個別はもちろん大事ですが、ピースが一つずつ形になって、初めて全体のエンジンがかかって加速するようなムードになるのではないかと思います。今、頑張って、一つずつ進めていて、少しずつ芽が出てきています。これがもう少し形になると、今度はこちらに良い影響が続いていきます。そのためには、業界全体として、皆が志を持って、主体的に貢献しようと思って活動することが非常に大事ではないでしょうか。

JCBAは発足以来、業界発展のためにまじめに活動してきました。おかげさまで、2022年は会員も過去最高です。仲間が次々と増えています。大変喜ばしいことだと思います。一部でも紹介がありましたが、部会が立ち上がって、皆が参加して、知見を寄せ合って、われわれの課題を解決しています。非常に良い活動ができていると思います。今後も、いろいろな新しいテーマが出てきますので、皆が主体的に貢献して、仲間をつくって、汗をかいて、業界全体で課題を解決するといった形が理想だと思っています。こういう新しいテーマができるので、JCBAで部会をつくろうと言っていただければ、そういう機会をつくります。部会を見ていると、良い議論が行われていて、自社のためにもなると思います。希望者は参加できますし、やろうと思えば自分で部会長になることもできます。ぜひ、皆で力を合わせて、業界を一歩ずつ活性化させていこうではありませんか。

 

 

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