『マスターカードが取り組むブロックチェーン・デジタルアセット』

2024年11月26日に開催された11月度勉強会の当日の様子をレポートする。

『マスターカードが取り組むブロックチェーン・デジタルアセット』では、ユースケースについて、マスターカード社よりアショック ベンカテスワラン氏(ブロックチェーン・デジタルアセット ヴァイスプレジデント)が解説した。

マスターカードは、金融機関と暗号資産Fintechの両方にメリットをもたらすユースケースの実現に注力し、新たな価値を提供している。
ブロックチェーンやデジタルアセットの先進技術を活用し、パイロットプロジェクトとして、決済システムのイノベーションを加速させてきた。この取り組みは、今後の進化を目指す動きを加速させ、未来の決済システムの実現に繋がると期待されている。

・主な取り組み

1)「Cryptoカード/Web3カード」を通じて暗号資産と法定通貨のスムーズな交換を実現

「Cryptoカード/Web3カード」を通じて、暗号資産と法定通貨の交換をシームレスに行える仕組みを構築している。暗号資産を日常の支払いで利用したり、簡単に法定通貨に変換したりすることが可能になることで、暗号資産の実用性が向上し、より多くの人々が暗号資産を身近に感じられる環境を提供している。また、暗号資産やステーブルコイン、そして法定通貨への変換を可能にする新たな決済手段も検討している。暗号資産サービスプロバイダー(VASP)は流動性と運用効率を向上させるとともに、規制に適応した取引フローの実現を目指す。

2)「マスターカードクリプトクレデンシャル(Mastercard Crypto Credential)」ブロックチェーン技術での取引の信頼性を高め、取引をより便利にする認証システムを展開

「マスターカードクリプトクレデンシャル」は、ブロックチェーン技術を活用し、信頼性と利便性を高めた認証システムである。ウォレットアドレスの共有を簡素化する機能を導入し、消費者体験を向上させる。また、パーミッション型の相互作用により、ユーザーの特性に応じた制限付き取引を可能にする仕組みを提供し、パブリックおよびプライベートブロックチェーン間でのシームレスなデジタル資産の交換が実現している。サイファートレース(CipherTrace)のトラベルルール対応ソリューション「トラベラー」を活用することで、国境を越えた取引においても、トラベルルールをはじめとする規制要件を満たす形で安全性を強化している。グローバルなエコシステムにおける透明性と効率性を高め、ブロックチェーン取引のさらなる普及を後押しするものである。

3)「MTN(Mastercard Transaction Network)」による暗号資産およびブロックチェーン上の安全性・高速性の向上とコマースアプリケーションへの対応強化

MTNは、暗号資産やブロックチェーンを含む取引を効率的かつ安全に処理するプログラムであり、次世代の決済エコシステムである。このネットワークは、B2B取引や国際決済の迅速化を実現するだけでなく、複雑な支払いフローや多通貨のリアルタイム決済にも対応している。また、トークン化された資産(RWA)やその他の新しいデジタル商取引モデルにも適応可能な設計となっており、現代の多様なビジネスニーズに対応できる。「信頼」「相互運用性」「ガバナンス」という3つの原則を据え、デジタル資産のトランザクションや新しい支払いフローの運用において高い透明性と信頼性を提供する。

4)銀行中央デジタル通貨(CBDC) や法令順守に則ったデジタル通貨への対応を検討

銀行中央デジタル通貨(CBDC)や法令順守に則ったデジタル通貨への対応も推進している。銀行中央デジタル通貨(CBDC)を含む次世代のデジタル通貨の導入は、グローバルな金融インフラとの統合を目指す重要なステップとなり、規制に適合したデジタル通貨の普及を促進し、次世代の金融エコシステムを構築することを目指している。