BUSINESS LAWYERS連載「NFTと法 第3回 NFTアートと著作権法の関係」


当協会の特別会員「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」リリースの引用となります。


【連載】NFTと法 第3回 NFTアートと著作権法の関係

はじめに

 第1回でもご紹介した「NFTアート」とは、唯一無二のユニークなデータを作成できるNFTの特性を活かし、デジタルで表現したアート作品の保有者の履歴等をブロックチェーン上で記録したアート作品をいいます。

 キャンバスなど物理的媒体に表現したアート作品(以下「リアルアート」といいます)は、美術的表現の価値に加えて、「原作品はこの世にただ1つしかない」という希少性が価値を高めているという側面があります。しかし、リアルアートは有体物であるがゆえに、時の経過による物理的な劣化や、流通のスピードや流通範囲の制約などの問題点があります。

 他方で、デジタル媒体に表現されるアート作品(以下「デジタルアート」といいます)は、物理的な経年劣化はなく、流通性はきわめて高いものの、複製が可能であることからリアルアートに比べて希少性が低いとされてきました。

 「NFTアート」は、リアルアートの希少性と、デジタルアートの流通性を兼ね備えたいわばハイブリットのようなアート作品といえます。近年、「NFTアート」市場は急速な盛り上がりを見せており、従来はリアルアートやデジタルアートの場面で活躍してきた著名なアーティストも、多数「NFTアート」作品を発表しています。

 しかし、「NFT」や「NFTアート」の法的性質、すなわち何に対してどのような権利が発生するのかについては専門家の間でも確立した見解がまだありません。

 このような状況を踏まえ、第3回では、「NFTアート」に関する法的論点および実務上の留意点について、主に「リアルアート」との対比で考察していきたいと思います。

 本稿では、まず、「アート」を保護する著作権法について、ポイントを簡潔に整理します。そのうえで、第4回は以下の簡単な事例を題材に「リアルアート」に対する著作権法のルールと比較しつつ、「NFTアート」の法的課題を検討します。そして、第5回では検討結果を踏まえ、「NFTアート」の流通を促進する「NFTアートプラットフォーム」のルールのポイントを提案します。

記事全文は下記よりご確認ください。