『世界のブロックチェーン業界ビジネス概観 2019Q1』
『Architecting cryptofinance』

カリキュラム及び概要

 


『世界のブロックチェーン業界ビジネス概観 2019Q1』

株式会社 HashHub CEO 平野 淳也氏

 こんにちは。HashHubの平野です。よろしくお願いします。ご紹介いただきましたように、「世界のブロックチェーン業界ビジネス概観 2019Q1」と題しまして、2019 年、年初時点の業界の overview をします。目次として、まず弊社がどういうことをやっているかを軽く説明させていただきます。そして、2019Q1以前の背景と、業界内のブロックチェーン企業の大手企業、具体的には、Binance、Coinbase、ConsenSys、あとはBitmainも入れようと思いましたが、Bitmainは出てくるデータが少なくて、今回除外させていただきました。2017年の時点で、業界で一番、時価総額が上がっていて、成長していた企業が、今時点でどういった状況になっているか解説したいと思います。他に、今後期待が集まるビジネス領域、具体例には、今まで、仮想通貨、ブロックチェーンの業界で、いわゆるユニコーン企業が出てきたのが、取引所とマイニングのセクターしかありませんでしたが、次はどこのセクターからユニコーン企業が出てくるのか、3領域ごとに説明させていただきます。そして、より創業されたばかりのスタートアップが、今どういった分脈で創業されているのか解説します。本日はどうぞよろしくお願いします。

 まず、われわれHashHubについてですが、ブロックチェーン総合企業として昨年設立した会社です。業界自体には、2014年ぐらいからいろんなことやっておりますが、目立ったものとしては、コワーキングスペース、インキュベーション、投資です。他にもいろんなことやっており、自分たちの自社プロダクトの開発、主に大企業さん向けにコンサルティングを行っています。あとはリサーチ専門の子会社として、d10nLabがありまして、有料でレポート配信してる媒体ですが、今国内でトップのシェアを取っており、法人と個人の会員、それぞれご利用いただいてる次第です。そしてコワーキングスペース、カンファレンスのイベントもやっています。この辺は、去年、HashHubカンファレンスをやったり、Microsoftさんと去年の年末にカンファレンスさせていただいたりしております。あとは、自分たちの自社サービスとして、ライトニングネットワーク関連、ウォレット、マイクロペイメント関連の実証実験などを幾つかの会社と行っております。

 きょうの本題に入る前に、2019年以前の背景を説明します。2018年は一貫して暗号通貨は下落相場でした。下落相場で相場が下落すると、ビジネスも、ユーザーも、暗号通貨、ブロックチェーンへの興味を失い、ビジネスとしてメディア一つ取ってみてもトラクションを失いますし、取引所もボリュームを失います。今、グローバルで見てもトップの取引所以外は、なかなか収入が厳しい状況です。マイニングに関しても、Bitmainが約半分をリストラしているように、ASICをつくっても売れず、採掘も投資をそれ以上増やせず、苦しい状況になっていました。特に、業界はトークン発行や、そもそも自社トークンを保有しており、暗号通貨の価格にレバレッジをかけて経営をしている会社も数多いので、そういった会社がかなり厳しい状況になったのが、2018年でした。今も現在進行形かもしれませんが、これが今期以前の背景です。
 その上で、Binance、Coinbase、ConsenSys が、今、どうなっているのか解説します・・・

 

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 2018年に行われていたトークンでいうと、ご存じのとおり、ほとんどのトークンモデルが機能していないとよく言われています。この業界の資金調達も、トークン建てで行われる資金調達はほとんどなくなっています。一方で、2019年、直近この 1、2 カ月ぐらいは、実はトークン建てのディールが、徐々にまた増え始めています。今なぜそれが起こっているかというと、2018年、2017年に多くのプロジェクトがICOを使ってトークンを発行して、ほとんどのトークンモデルはワークしませんでしたが、1%ぐらいのトークンモデルが、ワークしており、そのワークモデルを参考にして、トークンモデルをブラッシュアップする動きが出始めてます。それが MakerDAOなど、今多少ワークしているトークンモデルの一つで、今、またここに資金が集まり始めていて、このオープンソースのミドルウェアをガバナンスしよう、もしくは、何かしら改善することが考えられています。

 資料はここで終わりです。今回お話ししたのが、2019年Q1時点で、ビジネス概況と、今後ユニコーンになりそうなセクターの解説、そして、最近のスタートアップの傾向を解説させていただきました。ありがとうございました。

(全体のデータは正会員・特別会員のみ公開)

 


『Architecting cryptofinance』

株式会社Crypto Garage Chief Research Officer 仲宗根 豊氏

 株式会社Crypto GarageのChief Research Officerの仲宗根豊と申します。今、ご紹介ありましたように、東京短資という会社から出向でCrypto Garageに来ております。東京短資というのは、非金融の方は聞いたことがないかと思いますが、実は100年以上の歴史があります。金融機関同士のインターバンク市場において、お金の貸し借り、国債の取引、FXの取引、金利デリバティブの取引の仲介、媒介、プラットフォームのようなビジネスを行っている会社です。DGLab にも参加させていただいております。2017年に実は、日本銀行のフィンテックフォーラムで登壇させていただきまして、そのときはビットコインベースのカラードコインを使って、資金貸借のマーケットをどうやるのかを考えていました。そのときのきっかけになったのが、実はこの勉強会です。当時日銀フィンテックセンターの岩下さんにお会いし、お話しをさせていただいて、そこからの経緯でこういったことになりましたので、とても感謝しております。趣味はダンスと数学と、あと体が柔らかくなることが趣味です。

 アジェンダとしては、会社の紹介を簡単にさせていただきまして、そのあと、SETTLENETという、規制サンドボックスの案件を紹介させていただいて、その後、P2P Derivativesを紹介させていただきます。

 動画に大体説明してもらいましたが、一つずつあらためてシェアすべきことはシェアいたします。ここは先ほど動画で示したとおりです。デジタルガレージと東京短資のジョイントベンチャーで始まりまして、Blockstreamがジョインする形で、今3社の合弁会社になります。Blockstreamというのはご存じの方も多いかと思いますが、ビットコインコアをオープンソースで開発していく、スーパースターたちが集まってできたような会社とでもいいましょうか、ビットコインコアの現存のコードの6割、7割はこの人たちによって書かれたとも言われております。
 変遷は先ほどのとおりです。SETTLENET というプロダクトが規制サンドボックス案件として1月にローンチをしました。
 あらためて、私ども、もともと東京短資という金融機関が入ってるということもありまして、金融工学とブロックチェーンの技術、この二つのエンジニアリングを掛け合わせて、P2Pで行う新しい金融インフラストラクチャーを設計していきたいと頑張っております。ですので、私どもは、取引所ではありませんし、マーケットメーカーでもなく、リクイディティー・プロバイダーでもなく、いわゆるテック企業、アーキテクチャー企業です・・・

 

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 ここにFund Transaction、CETs(Contract Excution Transactions)、Closing Transactionと書いており、後ほどブログで発表させていただきますけれども、こちらから誰でも、トランザクションの詳細について確認することができます。Blockstreamのブロックエクスプローラーで確認したスクリーンショットがこちらになります。これがFund Transactionという形で、上がCrypto Garageで、下がBlockstreamで一つのFund Transactionに入れます。このFund Transactionを今度インプットとして、CETsのそれぞれの勝ち負けに対応するトランザクションをあらかじめ作成しておいて、Oracleが配信したレートのコントラクトだけが有効になります。今回はこれで配信してレートが5032 になったので、そこで有効になった CETs がこちらになります。これを配信して、自分のウォレットに送る形になります。ざっくりとこのような流れです。

 Challengesと最後に書きましたが、P2P デリバティブのチャレンジとして、現在DLCですとか、Liquid CT/CAというプロトコルを使っておりますけれども、今後もプロトコルとしては ConfidentialTransactions、Confidential Assetsですとか、Lightning Networkですとか、Scriptless Script等リサーチしております。Instruments としてはフォワード、オプション、IRS、insurance はどうなるのかチャレンジしております。Underlying に関しても、技術的にはどんなものでも可能となっていきますので、Currencies、Equities、Fixed Income、Commodity、Real Estate ですとか、その他もろもろ、どういったものが適しているのかリサーチしております。

 そのような形で、仮想通貨ビジネス協会ということで、もしかしたら非金融の方たちも多いかもしれませんが、今の時点では、金融取引のユースケースとして始まってきています。私もまだ金融取引として発展させる取り組みを頑張っているところですけれども、こういった P2P、インターネットの上にできてくる金融システムとしては、そちらもデジタルコンテンツですとか、インターネットのサービスだとか、そういったものと非常に親和性の高いシステムになってくると思います。私ども自身はテック企業で、アーキテクトでしかありませんので、何かご一緒にディスカッションできる機会がありましたら、是非させていただきたいと思っております。以上です。ご清聴ありがとうございました。

(全体のデータは正会員・特別会員のみ公開)