「2022年度税制改正に関する要望書」について
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(所在地:東京都千代田区、会長:廣末紀之、略称:JCBA、以下当協会)は、税制検討部会(部会長:斎藤 岳)が中心となり、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(会長:蓮尾 聡、以下JVCEA)と共同で、暗号資産に係る2022年度税制改正要望書を取りまとめましたのでお知らせいたします。
当協会は、自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」にて業界団体として唯一参加し毎年要望を行って参りました。 2022年度税制改正にあたり当協会と、暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAは、昨年に引き続き両協会の会員である暗号資産交換業者及び暗号資産関連ビジネス事業者により税制改正が求められる事項を共同で整理いたしました。
暗号資産市場の活性化、関連産業の発展を期して、下記のとおり要望いたします。
■要望骨子
暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。
■暗号資産に関する税制の課題
2020年以降、海外では伝統的な金融機関や機関投資家による暗号資産投資への参入が拡大、暗号資産の時価総額及び取引金額は引き続き世界的に増加を続け、他の金融商品と同じく有用な決済手段および資産クラスとしての利用が確立されつつある。そのような中で①税務申告促進の必要性、②税の公平性や制度内の整合性、③海外との競争力確保、という観点で申告分離課税が必要不可欠であると考える。
①税務申告促進
暗号資産の仕組みや取引の特殊性を鑑みると、利用者による適正な税務申告によって捕捉性を高めることが税の徴収において重要であると認識している。しかし、現状税制では暗号資産による利益は一律の税率でないこと、また申告の有無に関わらず前年度の損失繰越ができないことなどが、利用者による適正かつ積極的な申告の促進を妨げていると思料する。②税の公平性や制度内の整合性
2020年の金融商品取引法や資金決済法の改正により、暗号資産の法規制上の位置づけに重要な変化があった。業界団体による自主規制も行われ、利用者保護や業界全体の健全化も進んでおり、他の金融商品と同じく有用な決済手段および資産クラスとしての利用が国内外で確立されつつある。このような暗号資産の金融商品としての法規制上の位置づけや、他の金融商品の枠組みの中で暗号資産の派生商品が生じている現状を鑑み、他の金融商品との税制度における整合性・公平性を担保する必要があると考えている。③海外との競争力確保
暗号資産を利用した資金決済分野の革新やブロックチェーン技術の応用による経済社会の高度化に備え、原則キャピタルゲイン課税とする主要国の暗号資産税制との乖離を縮小する必要がある。■要望にあたり実施した取り組みについて
現状の税制から分離課税にすることにより懸念される税収への影響に対して一般の暗号資産投資家の方々を対象にした暗号資産税制に関するアンケート調査を実施。1万人を超えるアンケート回答よりデータ分析を行い、増収効果と申告分離課税導入の有効性を示した。
併せて、他国の税制と比較をすることでそれらと劣後しない環境整備を提言した。
また、暗号資産の多様で革新的な側面の理解促進・投機の道具というイメージの払拭を目的にユースケースに関する昨今の事例や海外動向について整理をした報告書を添付した。(ユースケース部会作成 2021年7月29日公表)
内容の詳細は、下記をご覧ください。
■資料
・2022年度税制改正要望書の公表にあたって(PDF)
・「2022年度税制改正に関する要望書」(PDF)
・添付1.「暗号資産」のユースケースに係る第一回報告書(PDF) ※ユースケース部会作成
・添付2. 暗号資産の税務申告と税制改正要望に関するアンケート調査結果(PDF)
・添付3. 暗号資産の各国税制比較表(PDF)
・添付4. 暗号資産の税務申告と税制改正要望に関するアンケート調査結果に基づく分析結果(PDF)
■プレスリリース
プレスリリースはこちら(PDF)