2018年3月度勉強会の様子を公開しました
2018年3月に開催された勉強会、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」の様子を公開いたしました。

カリキュラム及び概要
- 日時:2018年3月28日(水) 17時00分~19時10分
- 場所:森・濱田松本法律事務所 16階
- 「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」
「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(公開草案)
PwCあらた有限責任監査法人 檜垣 寛氏 - ライトニングネットワーク
株式会社キューブシステム 小渕 周氏

「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」
「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」(公開草案)
PwCあらた有限責任監査法人 檜垣 寛氏
「資金決済法における仮想通過の会計処理等に関する当面の取扱い」は去年の12月6日に案が出ており、過去の勉強会で別の者が話をさせていただいておりますが全体の説明をさせていただきます。
仮想通貨に関する規制動向ですが、2014年にマウントゴックスの破綻という事件が起こり、利用者保護の必要性やマネロン、テロに利用させる危険性があるのではないかということです。
サミットでも話が出ていますが、各国は仮想通貨交換業者に対して登録制や免許制を課すべきではないか、マネロンやテロ資金供与規制を課すべきではないか、日本では世界に先駆けまして資金決済法が改正され、仮想通貨の交換業者に対する規制がなされました。
改正の骨子としては、仮想通貨の定義がなされたことや仮想通貨交換業者の定義、登録制が導入されたことです。また、その他の業務に関する規制や業界団体に関する規制、罰則等が決められ、昨年の4月に改正資金決済法が施行されました。
法令や会計、監査の流れになりますが、資金決済法の交付が2016年6月で、改正資金決済法が2017年4 月に施行されました。その後、仮想通貨交換業者の登録がなされ、金融庁のホームページによりますと2018年3月7日現在で16社が登録済みということになり、登録申請をしている会社があります。
会計のほうでは、会社の会計処理がばらばらになって困るのではないかということで、会計ルールの審議が昨年の3月頃から始まりまして、昨年の12月6日に企業会計基準委員会(ASBJ)から「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」案が出ました。
2月6日までパブリックコメントを募集し、そのコメントを受けて多少の修正が入り、3月14日に最終的な「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」が公表されたという流れになります・・・

・・・
第27項の収益認識に関する実証手続の例示について、実証手続は監査法人が監査をするときに行う手続のことなのですが、これが収益認識に対する実証手続ですというのが書いてありまして、内容については見ていただきたいと思います。
第28項が仮想通貨の実在性に対応する実証手続の例示となり、第29項が仮想通貨の評価に対応する実証手続の例示になります。
これらについては監査法人が行う手続なので別に覚える必要はないのですが、このようなことが行われますよということを気にしておいていただけたら良いかと思います。
逆にいうと、我々の手の内が公表されてしまったかもしれませんが、このような監査手続をしますというのが書かれています。
これは公開草案に書かれていますので、一度、原文を読んでいただけたらと思うのですが、そんなにたくさんあるわけでもないので目を通していただいて、コメントある方はパブコメを出していただけたらと思います。
以上が「仮想通貨の会計処理に関する当面の取扱い」と「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」の説明になります。
(質問者1)
通常の監査法人様の監査コストのボリューム感で、同規模会社のFX会社や証券会社を1と仮にした場合に、この財務諸表監査を実行する場合の監査コストは、大体、幾つぐらいのイメージでおられますか。
(PwCあらた有限責任監査法人 檜垣氏)
難しいご質問ですが、仮想通貨特有のブロックチェーンは今までなかったものなので、監査手続は確立されてないことから結構な工数がかかると思うのです。
また、仮想通貨の取り扱いの種類が多いとブロックチェーンの種類も違う場合があると思いますので、そのような仮想通貨の取り扱い種類が多いと工数が増えるという感じがありますので一概には難しいです・・・

「ライトニングネットワーク」
株式会社キューブシステム 小渕 周氏 ライトニングネットワークはビットコインの先進的な技術になり、ビットコイナーと呼ばれるビットコインを愛好している人たちやビットコインのコアデベロッパーなどが、ビットコインのスケーラビリティ問題というトランザクションの詰まりを解決するために作られたものになります。
ライトニングネットワークのイメージを掴んでいただき、参考文献の場所を記載させていただいたので、ライトニングネットワークについて深く知っていただければと思います。
本題に入る前に前提知識のビットコインの抱えてるスケーラビリティ問題を説明させていただいた 後に、ライトニングネットワークのマイクロペイメントチャネルの話をさせていただきたいと思います。
ビットコインの送金については、ビットコインを誰から誰に幾ら送付したという情報が取引情報としてトランザクションデータに記録されています。
UTXO(Unspent Transaction Output)と呼ばれるトランザクションの中に含まれるアウトプット部分の未使用の部分がありますが、これは二重使用されないようにブロックという新聞みたいなものに載せることにより、このUTXOは使用済みだということを知らせるような仕組みになります。
ビットコインではブロックを生成する際に、Proof of Work(PoW:作業証明)により改ざんを防止する仕組みです。
マイナーは多くの電気代をかけてHash計算を行うこと(マイニング)により、ブロックを生成してるわけです。
ブロックの生成報酬は1ブロック当たり12.5BTCがもらえるわけなのですが、最初は50BTCで4年に1回ぐらい半減期というものがあり、現在は12.5となっています。また、次回は2020年にブロック生成報酬が6.25BTCになるという仕組みとなります。
マイナーがもらえる報酬はブロック生成報酬だけではなく、ブロックに含まれているマイナーへのトランザクション手数料を合算したものをもらうことができますので、12.5BTCにトランザクション手数料を加えてもらうことができる仕組みになります・・・

・・・
ライトニングネットワークの場合は、ネットワーク上の任意の参加者同士がペイメントチャネルを開いてなくても、資金の送金は可能になります。
本日の例はシンプルにするために、1人からは一つのチャネルを開いてるようなイメージでしたが、一つのノードからは複数のノードにチャネルを貼ることができます。
昨日の時点でのノード数は1,000を超えていますので、ノードから貼られているチャネルの数は2,300を超えている状況になります。
よく誤解されるのが、ライトニングネットワークは大金を持つ人がノードを立てて、チャネルのデポジットをする額を多く入れて、太いチャネルを貼るようなハブが出てきたときに、銀行みたいな中央集権のパワーを持つようになり、ビットコインのような分散的な仕組みではなくなるのではないかという心配をされていました。
今のところ、分散したようなネットワークが形成されており、どこかに集中することはしていないと思います。
集中して多くののチャネルが貼られてるノードもあるのですが、小さいノード同士も繋がっておりますので、チャネルを多く貼られてるような巨大ノードを経由しなくても、小さいノード間を通っていくことも可能になっています。
(質問者2)
要はオフチェーンのレイヤーで行われるペイメントについて、全てマイクロペイメントと定義されているという理解で宜しいでしょうか。
(株式会社キューブシステム 小渕氏)
そうですね。
技術的な定義になりますと、細かな送金もマイクロペイメントチャネルの中で送金できるという説明になると思います・・・
