FATFの改訂ガイダンスに関するパブリックコメントの募集と意見提出について

FATFの改訂ガイダンスに関するパブリックコメントの募集と意見提出について

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会

 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(会長:廣末 紀之)では、FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」に伴い、会員のみならず一般より広くパブリックコメントを募集し、FATFへ意見提出をいたします。

1.FATF(金融活動作業部会)[1]は、2021年3月19日付で「仮想資産及び仮想資産サービスプロバイダーに対するリスクベースアプローチに関するガイダンス」の改訂ドラフト(以下「改訂ドラフト」といいます。)を公表し、意見公募手続を開始しました[2]。意見提出の締め切りは4月20日18:00 UTCです。
 
2.当協会は改訂ドラフトの内容を精査中ですが、改訂ガイダンスでは、例えば次のような点で重要な改訂が提案されています。
     

①仮想資産及び仮想資産サービスプロバイダーの定義の拡大解釈
 改訂ドラフトは、仮想資産(我が国では「暗号資産」と定義されています。以下「VA」といいます。)及び仮想資産サービスプロバイダー(我が国では暗号資産交換業者と定義されています。以下、「VASP」といいます。)の定義の拡大解釈を提案しています。
 この拡大解釈によれば、VASPにはマルチシグを使用した場合に秘密鍵の一部を保有する者や、スマートコントラクトやDappsの開発・運営に関与する事業者、ライトニングネットワークのノード運営者など、これまで必ずしも規制対象と考えられてこなかった広範囲の暗号資産関係者が規制対象として含まれる可能性があります。また、VAにはステーブルコインのほか、ノンファンジブルトークン(NFT)も含まれる可能性が示唆されています。

 

②ピア・ツー・ピア取引への規制
 FATFは、ピア・ツー・ピア取引(P2P取引)はFATF勧告の明示的な対象ではないとしていますが、P2P取引をAML/CFTの観点からリスクが高いものと評価しています。この対策として、FATFは、P2P取引におけるリスクがP2P取引のML/TFリスクが許容できないほど高い場合という限定を付しつつも、例えば、VASPが非ホスト型のウォレットとの間の取引を許容する場合、加盟国はVASPのライセンスを拒否することもできるとしています。

   

③トラベルルールの義務内容の拡張
 改訂ドラフトは、従来VASP間でのVA送金取引のみを対象としていた顧客の個人情報の収集及び送金側VASPから受取側VASPに対する個人情報提供義務(「トラベルルール」)の内容を拡大し、VASPから非ホスト型ウォレットへのVA送金及び非ホスト型ウォレットからVASPのVA送金にもトラベルルールが適用されるとしています。また、トラベルルールを履行する際の手続に関し、顧客スクリーニングの手続や取引先VASPのデューデリジェンス手続などが詳細に記載されています。                                                         

               
            
3.当協会としては、改訂ガイドラインの内容が確定した場合には、過剰な規制導入につながり、決済利用を含めた暗号資産の適法な利用ひいては暗号資産業界の健全な発展に支障をきたすおそれが高いと考えております。今後、改訂ガイダンスの内容をさらに精査の上で、FATFに対して意見提出することを予定しています。

4.当協会からFATFへの意見提出にあたっては、利用者等の関係者の皆様からもご知見をいただけますと幸いです。
 ご意見のある方は、後述の提出方法をご参照のうえ、当協会までご意見をお寄せください。締め切りは、4月7日(水)15:00とさせていただきます。

 なお、皆様からご意見をいただいた場合でも、当協会の意見に反映しかねることも想定されます。FATF宛に直接意見をご提出いただくことも可能ですので、予めご了承ください。なお、当協会宛にいただくご意見は、日本語でも英語でも問題ありません。
 当協会からFATFに提出した意見については、後日公表させていただく予定です。
 ご理解、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 [1] FATFとは、マネー・ローンダリング対策における国際協調を推進するために設立された政府間会合であり、テロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進にも指導的役割を果たしています。
 [2] https://www.fatf-gafi.org/publications/fatfrecommendations/documents/public-consultation-guidance-vasp.html

■募集期間
 2021年3月30日(火)〜2021年4月7日(水)15:00 まで
   提出期限が4月20日のため、早めの送付にご協力いただけますと幸いです。
  スケジュールの都合上、提出内容を事前に確認いただく期間は設けておりません。

■提出方法
資料2.意見提出フォーム(xslx)を記入のうえ、下記提出先までメールにて送付願います。
 ●資料
  1.FATFの改訂ガイダンスに関する意見提出について(pdf)
  2.意見提出フォーム(xslx)
  3.FATF「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス案」仮訳(pdf)

  ※和訳は参考資料であり、正確性を保証するものではございませんので、ご意見提出等の際には原典をご参照いただけますようお願いいたします。

 ●提出先
  件名を[ FATFガイダンスパブコメ提出]とし、氏名、会社名、メールアドレスを記載のうえ、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 事務局 pr@cryptocurrency-association.org まで送付願います。 

■参考資料
 1.FATF「Public consultation on FATF draft guidance on a risk-based approach to virtual assets and virtual asset service providers」(原文)
 2.金融庁:FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」の公表について

本件に伴う、プレスリリースは下記よりご確認ください。