『資金決済法/金商法改正法案担当弁護士に聞く~暗号資産、セキュリティトークンの実務上の重要ポイント~』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2020年6月29日(月) 17:20〜19:10
  • 場所:オンライン配信

※オンデマンド映像については、会員ページよりご視聴いただけます。

 


『資金決済法/金商法改正法案担当弁護士に聞く~暗号資産、セキュリティトークンの実務上の重要ポイント~』

(幸)
 皆さま、本日はお忙しい夕方の時間にありがとうございます。2020年6月度JCBA勉強会を開催させていただきます。本日はご案内のとおり、直近まで金融庁に出向されていらっしゃいました弁護士の先生方にお集まりいただきまして、会員の皆様が今これからビジネスを行う上で重要なポイントを法案作成目線からいろいろとお話しをしていただきたいと思います。先程案内ございましたように、JCBAの新理事体制が決まりました。会長は昨年に引き続き、ビットバンク株式会社代表取締役の廣末さんにお願いすることになりました。最初に廣末さんから、新体制の抱負についてひと言述べていただいた後に勉強会を始めます。それでは、廣末さん、よろしくお願いします。

(廣末)
 皆さま、こんばんは。先週6月26(金)に社員総会が行われまして、前期に引き続き会長の任をお受けいたしました、ビットバンク株式会社の廣末と申します。我々JCBAの前期の活動としましては、税制改正要望に加え、5月1日に施行されました資金決済法/金融商品取引法の改正を見据え、デリバティブ、カストディなどに関するさまざまな要望を取りまとめて、少しでも産業の発展に貢献できるよう尽力をしてまいりました。今回の法改正で、できること・できないことの大枠の方向性が見えてきました。しかし本日の勉強会のテーマにも関連しますが、まだ実現できてない事業領域は多く存在すると考えています。今期につきましては、これらの法改正を踏まえて、一つでも多く我々ができることを増やして、会員の皆様方と協力をしながら、昨年以上に精力的に活動してまいりたいと考えています。法制度でまだ曖昧なところ、色々なテーマ、疑問があると思いますが、私どもは業界の中では一般社団法人としては最大の組織グループでございます。皆様積極的に声を上げていただいて、分科会などを通じて、皆で声を上げることで、一つでも多くの可能な領域、実現できることを増やしていければと思いますので、皆様方の積極的なご参加をお願い申し上げます。以上、ご挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(河合)
 アンダーソン・毛利・友常法律事務所の河合でございます。本日のモデレーターを務めます。よろしくお願いいたします。本日は、先ほど事務局よりご説明がありましたとおり、今回の5月1日施行の資金決済法改正法、金商法の改正法、それからこれらに関連する政府令や、ガイドラインの立案に深く関与されてきて、最近それぞれの法律事務所に出向から戻られた3人の先生方、片岡総合法律事務所の佐野先生、森・濱田松本法律事務所の増田先生、それからアンダーソン・毛利・友常法律事務所の奥田先生、この3人の先生方に、それぞれの特にお詳しい分野についてこちらで用意した質問と皆様のご質問に答えていただこうと考えております。そして事業者からは、シンプレクス株式会社の尾関さん、JCBA会長・ビットバンク株式会社代表取締役の廣末さんに入っていただいております。尾関さんと廣末さんについてはもう皆さんよくご存じだと思いますので、3人の先生方から順に自己紹介を簡単にお願いします。

(佐野)
 河合先生、ありがとうございます。ご紹介に預かりました、片岡総合法律事務所の佐野と申します。
 2017年の4月から2020年の3月までの3年間、監督局の金融会社室という所と、フィンテック・モニタリング室、そこで暗号資産交換業者さんたちの監督を3年間させていただきました。もともと資金決済法の改正があったとき、2度目の改正があったとき、といろいろ見させていただき、そこで私自身得るものが多かったです。2回目の改正法の中では暗号資産交換業部分と暗号資産デリバティブの部分の事務ガイドライン改正や監督指針改正をさせていただきました。本日はそういった知見を含めて、皆様方のご質問にうまく答えられるように頑張りたいと思っております。よろしくお願いします。

(奥田)
 ただいまご紹介に預かりました、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の奥田と申します。私は、2018年の4月から2020年の5月末まで、金融庁の市場課という所で暗号資産交換業等に関する研究会の準備に携わっており、その後の金商法と金商法の政府令改正に携わっておりました。2年間、その研究会から金商法の改正まで通して携わっておりました。いろいろと勉強させていただいたところも多く、本日はその経験を生かして皆様からの質問に答えさせていただければと思っております。担当していた分野は、暗号資産デリバティブです。どうぞよろしくお願いいたします。

(増田)
 こんにちは。弁護士の増田と申します。森・濱田松本法律事務所に所属しております。2018年7月から、奥田さんと同じく、金融庁市場課の専門官として勤務させていただきまして、暗号資産交換業等に関する研究会の準備や法律政府令の改正に携わっておりました。私の主な担当分野は、セキュリティトークン関係でございました。最近、弁護士ドットコムさんの『BUSINESSLAWYERS』で、STOに関して連載を始めさせていただきました(https://www.businesslawyers.jp/articles/783)のでご覧いただければと思います。いろいろと事前にご質問等もいただいていて、どこまで明解に答えられるかは分からないですけれども、皆さまのご期待に沿えるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

・・・

(河合)
 なるほど。ありがとうございます。ここは様々な見解が出てきて議論が進むといいですね。
 「電子記録移転権利に関する規制は非常に厳しいところもあると思いますが有望な市場に育つのでしょうか。そのような事例はありますか」という質問が来ています。これは当局というよりも、個人的なお考えとして、如何でしょう。

(増田)
 立法時から、かなり様々なご意見をお寄せいただいたと理解しております。
 正直な話、内部のかなり上のクラスでも推進派と規制派が様々で、どちらの方向で議論を整理すべきかは、下々の我々としては結構大変でした。
 打ち出されているメッセージとしては、明らかに、積極的に育成するというメッセージが発せられていないのは事実だと思います。
 他方で、禁止をするのではなく、今回、セキュリティトークンに関して言えば、流通可能性が高まるものについては、その前提で規制を課していこうというのが基本的なアイデアとして研究会報告書で出てきています。
 個人的な印象としては、当局は、まずその規制に準拠した形で、例えば大企業のようにある程度安心できる主体から実例が複数出てくることを期待していると思います。先ほど申し上げましたように、現に金商業者からの具体的な相談があれば応じている実態もありますし、「相談には来てほしい」という話もお伺いしています。
 そのように実際、その技術面や法制度面をある程度整理したうえで相談案件として持ち込めば、基本的に歓迎されると思っています。折角このような制度を作ったのであれば、具体的なユースケースが増えてほしいと考えている人は、少なくとも課長補佐クラスのような現場では結構多いと思っています。

(河合)
 そうですよね。苦労して作ったのに使われないのは寂しいですよね。
 私も、厳しいなりに法律ができたので、皆さん参入意欲はあるのかなと思っています。ただ、大企業中心の動きにはなっていると私の目にも見えています。ですので、特に発行体側で頑張ってやってみようという人が出てくるといいと思っています。
 それと、対抗要件の話は、金融庁の守備範囲では全然なく法務局マターという感じでしょうか。

(増田)
 ひと言でいってしまうと、おっしゃるとおりです。実体法に手を付けるというのが基本的には難しいという前提で、あとは時間の問題もありました。
 私は、本来であればこういう状況にもなってきて、社会的実態が現れつつあるので、法務省とも協議する場を設けたほうがいいのではというお話を内部でしたことはあります。
 諸外国に目を向けると、リヒテンシュタインはブロックチェーン立法のようなものを作って、民法の上書きのようなことを一部行ったと担当者から聞いたことがあり、そのように実体法の整備を随時進めている国も出てきています。ですので、もしかすると内部で議論しているのかもませんが、法務省での議論の進展には期待したいなと思っています。

(河合)
 分かりました。ありがとうございます。
 こちらで準備したものは以上です。尾関さん、廣末さんに限らず、パネル相互間でご質問あれば出していただければと思います。大丈夫でしょうか。

(廣末)
 結構、専門的な話が多くて、脳みそが疲れるぐらい満足です。

(河合)
 ありがとうございます。

(幸)
 登壇者の皆様、本日はありがとうございました。視聴者の皆様、長い時間ありがとうございました。このディスカッションは、会員様にはご覧いただけるよう配信いたします。もう一度お聞きになりたい方は、協会のホームページからご覧ください。それでは皆様、ありがとうございました。

(一同)
 ありがとうございました。

(全体のデータは正会員・特別会員のみ公開)