『ビットコイン価格が60000ドルを超え、非常に盛り上がっている暗号資産市場のなかで、マイニングは今どうなっているのか!?』
『ブロックチェーン分析と暗号資産におけるマネーロンダリング対策』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2021年3月29日(月) 17:00〜19:25
  • 場所:オンライン配信

 


『ビットコイン価格が60000ドルを超え、非常に盛り上がっている暗号資産市場のなかで、マイニングは今どうなっているのか!?』


・ 紺野 勝弥氏 : The Bitfury Group 日本代表 / ㈱ディーカレット 暗号資産事業グループ グループヘッド

(司会)
 よろしくお願いいたします。それでは第1部は『ビットコイン価格が60000ドルを超え、非常に盛り上がっている暗号資産市場のなかで、マイニングは今どうなっているのか!?』という題名で、紺野様にお話しいただきます。それでは紺野さん、資料共有をお願いいたします。

(紺野)
 よろしくお願いします。紺野と申します。1年ぐらい前に、こちらのJCBAで理事を務めておりまして、今回、マーケットが盛り上がってる中で、幸さんからお声掛けをいただきました。本日はマイニングについて、お話をさせていただきます。

 本日のアジェンダです。「1.マイニングとは」、「2.マイニング収益性のエコノミクス」、
「3.現在のマイニング環境」の三つの構成でお話をいたします。まずは、「1.マイニングとは」からスタートします。マイニングというと、ここにいらっしゃる皆さんは大体、クリプトのビジネスのことをご理解されてる方ばかりなので、あまりこのスライド自体が意味をなさないかなと思います。通常、いろいろなマイニングに投資をしたいというかたがたとお話ししていると、大抵の方は、ゴールドラッシュ時代のマイニングをイメージされてる方が多いです。やはりこういった形で、昔、ゴールドラッシュの時代に、リーバイスを履いて、ツルハシやスコップで、まさに実際のゴールドを掘っていた、まさにマイニングの時代をイメージされます。ただ、当然ながら今は全く違って、現代のマイニングはこういった、超高性能サーバーのデータセンターを作って、それをオペレーションして、計算力、ハッシュパワーを生み出し、ブロックを掘り、ビットコインの報酬を得るのが現代のマイニングです。

 このマイニングをする人、「マイナー」が果たしている役割は非常に大きくて、まさにビットコイ
ンのProofofWorkのブロックチェーンエコシステムを安定化させる承認作業をしている人たちがマイナーです。これらの人々が、まさにこのビットコインのブロックチェーンネットワークを支えている、このデジタル資源社会における社会インフラを担っているような、そういう役割を果たしています。そういったマイナーのうち、最初にブロックをマイニングした人に対しては、新規発行―今は1ブロック当たり6.25ビットコインですね。600枚換算でいうと、3600~3700万円ぐらいの報酬―プラス、送金手数料を積み上げたものが、最初にマイニングに成功した人に支払われるという仕組みになっています・・・

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 マイニング投資のいい点は、普通にビットコインを購入すればいいという投資家の方もいますが、やはり価格が下落したときのエクポージャー・リスクがあまりに高いです。そのため、マシンに投資して少しずつ掘る。もちろん価格が下がると当然マイニングリターンも下がりますが、一方で、ネットワークのハッシュレートのディフィカルティーが2週間に1度調整されて、価格が下がると難易度が下がります。ですので、掘れる枚数が増えて、将来的に価格が上がったときに、より複利で効いてきます。そういう意味では、ビットコイン価格に対してダウンサイドのプロテクションが非常に強い投資案件になっている点が、このマイニング投資の一番最たる特徴です。安定的にビットコインの枚数を増やせる、希少性が上がってくるビットコインに投資する上では、積み立てと並んで非常にいい投資の仕方だと思っております。

 駆け足になりましたが、マイニングに関しての、本日のご説明です。ご理解いただけなかった点も多々あるかと思いますが、少しでもマイニングにご興味を持っていただいた方が増えてくださったら光栄です。様々な企業の方々とマイニングに関してお話ができると非常に嬉しく思っております。ありがとうございました。

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『ブロックチェーン分析と暗号資産におけるマネーロンダリング対策』


■ 講演者
重川 隼飛氏 : Chainalysis inc. セールスエンジニア

■ パネリスト
重川 隼飛氏 : Chainalysis inc. セールスエンジニア
千野 剛司氏 : クラーケン・ジャパン代表
廣末 紀之氏 : ビットバンク株式会社 代表取締役 CEO

(重川)
 それではあらためまして、本日はありがとうございます。Chainalysisの重川と申します。まず、私はこのChainalysisに入ってほぼ1年経ちます。まず会社の簡単な紹介からさせていただければと思います。

 Chainalysisという会社は、一言で言うとブロックチェーン分析を専門としている会社で、ブロックチェーン分析をするためのソフトウエアの販売や、その専門調査を行っている会社です。

 そもそも「ブロックチェーン分析とは何か」というのが本日のトピックです。暗号資産の取引を、ブロックチェーンの情報を見て解析していくと、例えば暗号資産が悪いことに使われてしまったときに、どこからお金が流れて、最終的にどこに行き着いたのかが分かります。そういった情報を基にして、事件解決のための手掛かりをつかんでいく。そういうことを主に事業としている会社です。

 最初に弊社の成り立ちをお伝えします。まずアメリカのニューヨークでできた会社で、最初はソフトウエアを売ることよりも、主に法執行機関へのブロックチェーン分析を用いた捜査協力を行っていました。日本にかつてマウントゴックスという取引所があり、2014年に大規模なビットコイン流出事件がありました。それの公式調査をアメリカの法執行機関と行ったところからまず入っています。当時は何もツールがなく、オープンソースのツールだけだったのですが、そこから実績を積み上げながら、ソフトウエアの開発・提供をし始めて、実績を積み上げてきました。最初は法執行機関との協力から始まって、次第に暗号資産取引所や規制当局等と協力し、この暗号資産におけるマネーロンダリング対策という分野においてこういった活動によって独特な地位を築いてきた会社です。恐らくこの勉強会のご案内にも実は少し記載してありましたが、弊社もどんどん資金調達をしていて、直近ではまたシリーズDの資金調達を行って、今評価額20億ドル相当のいわゆるユニコーンと呼ばれる評価額10億ドルを超えたスタートアップの会社として今、認知されている会社になっています。日本は去年、正式に日本法人を立ち上げて拡大をしようとしています。私自身は冒頭に申し上げたように入社して1年ぐらい経ちます。営業にも関わっていますが、営業以外の技術的な観点が主な役割です。

 本日のトピックです。アジェンダは大きく3個に分けています。最初の部分は、まずこの「暗号資産の特性とブロックチェーン分析」そのものについてのご紹介になります。そもそもブロックチェーンを見て何が見えてくるのかという話です。それを踏まえた上で、次がその「暗号資産のマネーロンダリング・リスクと法規制」。結局この暗号資産に関わるロンダリング・リスクが何なのかというお話しと、どういう取り組みが必要なのかというお話です。最後に、国内事案でこういうものも見えてきましたというお話と、それを踏まえての一種の問題提起・提言です。結局、どういったことを行う必要があるのかを最後に少しさせていただく流れでお話ししたいと思います・・・

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 ですので、これのまさに裏返しで、こういった改善をしていくためには、官民共にブロックチェーン上のデータ分析をして、疑わしい取引やエンティティについて認知をしていただく必要があると思っています。規制当局側からすると、データを見た上でリスクの実態を把握してもらい、問題のあるサービス等に速やかに措置を行う。また、どういったリスク対応をするべきなのか明確な指針を当局側で出してほしいと思っています。一方で、交換業者のかたがたに対しては、取引リスクの判断のノウハウを付け、リスクのある取引やエンティティについて原因を把握する。また、疑わしいものが見つかった際には、積極的に当局に情報共有を行っていただきたいと思っています。このように、少しずつ全体のレベルの底上げをしていけば、このブロックチェーンの透明性を最大限活用した形でリスクの対応ができ、暗号資産自体のビジネスの健全性や安定を業界として確保できます。

 ということで、プレゼンの最後です。まとめると、このブロックチェーンにはある程度の匿名性や分析の難易度はありますが、逆に透明性はポイントで、この利点を活用すれば誰でもブロックチェーン上で何が起きてるのかが分かります。その上で、マネロン対策は国際的に業界全体で取り組まないと効果が得られないので、日本を含む各国が法規制を行って対抗する取り組みを行っています。ただ、このブロックチェーン分析は暗号資産に特異な部分で新しく、テクニカルな部分でもあるので、普及しているとは言い難いです。ですので、ここのノウハウや知識を付けていただいて、暗号資産の特性を踏まえた対策を行っていただく必要があると思います。

 以上で私の発表を終わりたいと思います。ありがとうございます。


パネルディスカッション

(幸)
 重川様、ありがとうございました。今のお話を受けて、本日は海外の暗号資産交換業者の会員の代表として、クラーケンの千野様。そして国内の暗号資産交換業者の代表として、廣末様に参加していただきます。まず千野様から、海外の交換業者の取り組みについてご説明をしていただけますでしょうか。

(千野)
 承知しました。
 「クラーケンの”強固な”コンプライアンス体制」と書いているのですが、いろいろとご指摘をいただけますと幸いです。クラーケンはグローバルで業務をしている会社でして、設立は2011年です。現在、グローバルで1,500名程度の従業員がいます。利用可能な国は、当然サンクション対象国を除き、190カ国程でお使いいただいています。顧客は大体580万人程度。預かり資産は3兆円程度です。暗号資産の数は56種類、法定通貨は7通貨を扱っていて、グローバルでもそこそこ規模のある取引所だと思っています。このクラーケンが現状行っていることを軽くまとめてきました。クラーケンでは特に高度なリスクと見なされる取引に注目をして、モニタリングを行っています。全て網を掛けて、重箱の隅をつつくようなことは、とても業務が回りません。ですので、ある程度リスクアプローチで、高リスクなものを決めた上で、そこにリソースを重点的に投下して、モニタリングをしています・・・

(幸)
 ありがとうございます。ベストプラクティスという言い方をするならば、JCBAがすなわち、この業界でそれを担うべき組織ではないかと思っています。この辺り、廣末会長は日本が今後取り組んでいく姿勢について現状を踏まえていかがでしょうか。

(廣末)
 先ほど、重川様がご説明されたことは本当にそのとおりだと思います。私の感覚としては、この辺の対策は各社で結構取り組んでいる認識ですが、スキルレベルやナレッジが個社にあって、業界全体での共有・インプルーブするためのフレームなどの取り組みがまだ足りないと思っています。国内は、いろいろな事件を経て業務改善があり、本業の攻めがまだ足りず、今はそちらに重点があるフェーズだと思います。ただ、当然、守りの重要性も理解しており、弊社も、ツールやマニュアルなど様々な面で高度化するプロジェクトを走らせて、日々、議論をしています。これらを各社で知恵を寄せ合ってプラクティスを共有するまでは実現できていません。自主規制の中でも、例えばツールの使い方一つにしても、義務になっておらず各社によってばらつきがあります。この辺りのフレームを作り、千野さんがおっしゃるとおり、ボトムアップで自主規制などに落とすことは必要かもしれません。

(幸)
 重川様、先ほどはありがとうございました。ウタトリに関して、金融庁からJAFICに行くとのことでした。JAFICから御社に技術的な問い合わせはあるのでしょうか。

(重川)
 直接来ることはないです。ただ、実は話しに行ったことはあります。ですが、現実問題として警察当局側も対応できる人材が限られています。こういったツールを持っている部署もスキルのある人も限定的です。当局から回りまわってそういう所へ行くわけですが、ただ、そこがきちんとこのデータに基づいて、全体を見られているかというと、話した印象としてはまだ改善の余地はあると思っています。

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