『暗号資産業界総決算スペシャル!交換業者代表座談会』
『民間発行二層構造デジタル通貨DCJPY(仮称)について』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2021年12月21日(火) 17:00〜19:00
  • 場所:オンライン配信

 

第一部 : 『暗号資産業界総決算スペシャル!交換業者代表座談会、一年の振り返りと2022年の展望~NFT、新規上場等業界の動向、取引所ビジネスのこれから~』

廣末 紀之氏 ビットバンク株式会社 代表取締役CEO
小田 玄紀氏 株式会社ビットポイントジャパン 代表取締役社長
蓮尾 聡氏 コインチェック株式会社 代表取締役 社長執行役員
千野 剛司氏 クラーケン・ジャパン 代表
幸 政司 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 専務理事

 

(幸)
こんばんは。2021年12月になりました。今年最後の勉強会になります。例年のことですけれども交換業者の方、特に理事の方に集まっていただいてぶっちゃけトーク座談会をさせていただきます。全く打ち合わせしてませんので色々とお聞きするかもしれませんが、お答えが難しい場合は結構ですし、逆に皆さんがたの間でおたくは実際どうなのというご質問があれば聞いていただいていいです
し、逆に視聴者の方から質問をいただいてもいいと思います。ぶっちゃけトークでいきたいと思っております。
まず最初に振り返りと来年の展望についてです。勉強会の案内の掲載順にお聞きします。今年1年のこの業界を振り返って、短い言葉で表すとどう感じられたかをお聞きしたいと思います。

(廣末)
今年は、去年の年末からの流れを引き継いで活況だったと思うので、今年は久々に活況の『活』という漢字一言で表したいと思います。今年は非常に良かったと思います。一方で非常に疲れました。

(小田)
一言でいうと、『再生』だと思います。ちょうど 6 月頃に『再生』という本を出させていただきました。弊社は2年前に不正流出・ハッキングが起こって大変な時期が続いていたのですけれども、ちょうど1年前に新システムに変わって、そこからいろいろなお取り決めをさせていただいて、本当に再生の可能性がようやく見えてきたかなと思っています。

((蓮尾))
われわれも非常にいい風を感じながら新しいことに取り組んできた1年だと思っています。一言で表すのは少し難しいのですけれども、いろいろな風も吹いたおかげで新しい局面に入ったという感じはしています。去年までと今年、この時点で見えている将来の景色はだいぶ違うなという感じがしてまして、ここからわれわれも業界としていろいろなことができるのではないかなというふうに思っています。

(千野)
私は一言で言うと『盛り上がる海外、眠りから覚めない日本』と感じました。他のお三方がいい風吹いているとおっしゃってたんですけど、日本のポテンシャルってこんなものじゃないよねと。もっといろいろ面白いことができるよねというところで、海外とのギャップをかなり感じてしまった1年というふうに総括をしました。

・・・

(幸)
ありがとうございます。
協会から皆さんにお知らせが2点あります。一つは長年の犯罪捜査協力の貢献から、今月10日に警視庁から協会に感謝状をいただきました。皆さんのおかげです、ありがとうございました。それからもう一つ、INATBA(International Association for Trusted Blockchain Applications)という、EU中心に立ち上げられたブロックチェーン基準策定委員会と当協会は MOU 契約を結ばせていただき、今後国際協力を行っていく予定です。
最後に皆さんから一言ずつ、来年の展望などお願いします。

(廣末)

まだまだ本当に課題は山積みですが、これからクリプト業界は、先ほどのメタバースなど、IT分野に向けて関わりが深くなってきます。是非クリプトの業界だけでなくいろいろな所と連携を取って新しいユースケースを作り、業界が発展して関わる方みんなが喜べるといいと思います。JCBA の器も皆さんで活用して連携しましょう。よろしくお願いいたします。

(小田)
弊社は「明日をもっと新しく」というコンセプトを掲げています。そのコンセプトに基づいて来年はいろいろな取り組みをしたいと思っています。本日始めに触れていただいたように、ビックボス 新庄剛志さんが弊社のアンバサダーになりましたので、その意味でも新しい風を来年は吹かしていきたいと思っています。

(蓮尾)

まだクリプトのユーザーが人口の4パーセント程度と非常に少ない中、取り組むべきことはたくさんあります。デジタル経済圏をもっと作っていかなければいけませんし、オープンで本当にパブリックな新しい世界をつくっていかなければならない中で、様々な規制等をどのように乗り越えていくのか皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ぜひビッグボスの力もお借りして壁を越えられるよう頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(千野)
われわれクラーケンはグローバルで現在90銘柄ほどの暗号資産を扱っていますが、ほとんどが日本で取扱いできていない状況です。これらのものが国関係なく、全ての人々が同じものを扱える状態をわれわれは目指しています。それを実現するために、来年もいろいろと活動していきたいと思います。JCBAはいろいろな業界の方に参加いただいていることが強みだと思います。議論を盛り上げて、いろいろなステークホルダーの方とコミュニケーションを取っていくことが必要です。来年も幸さんはじめ、皆さん、ぜひ頑張っていきましょう。お願いします。

(時田)
ありがとうございます。この後2部で、先日発表した DCJPY(仮称)というデジタル通貨の講演をします。まだ法整備されていないステーブルコインの議論など、乗り越えなければいけないものがたくさなります。これを業界がいい形で乗り越えられるかどうかという意味では、来年は非常に大事な年です。そういう中で、当社もお役に立てる取り組みを成果として出したいと思っておりますし、やはり業界がもっと広がるようにしていきたいです。このトークンで取引をしてウォレットできちんと資産を保管している技術は実質暗号資産交換業者しか扱っていないと思います。これから可能性のある技術を既に身をもって実証しているという意味では、この業界はもっと認知・評価していただいていいのではないかと思います。そういうことをきちんと訴えていくのも必要かと思いますので、みんなで頑張っていければと思います。よろしくお願いします。

 

 

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第二部 : 『民間発行二層構造デジタル通貨DCJPY(仮称)について説』

時田 一広氏 株式会社ディーカレット 代表取締役社長

 

(時田)
改めましてよろしくお願いします。本日この 2 部で貴重なお時間いただきましてありがとうございます。
先日11 月24日に、現行法で実現するデジタル通貨の「民間発行二層構造デジタル通貨」を発表しました。デジタル通貨フォーラムという活動も併せてご紹介させていただきます。
このDCJPYという方式を進めた「デジタル通貨フォーラム」の概要です。もともと当社は、日本においていろいろなトークンを交換できるデジタル通貨を実現したい。その中間である法定通貨がデジタル化すれば、この世界は一気に広がるだろうと考えていました。
また、デジタル通貨を発行することそのものが目的ではなく、これをどう活用して今の社会の決済インフラや社会化問題など、何を解決するのかということを議論する場所がほしく、2020年6月に「デジタル通貨勉強会」を立ち上げました。これは日本におけるデジタル通貨実現の見通しをつけることを目的に始めました。昨年11月に最終報告を公表しております。
その段階でこの二層構造のデジタル通貨というモデルを示し、その後「デジタル通貨フォーラム」という形で発展しました。このデジタル通貨フォーラムは、デジタル通貨の設計開発・実証実験を進めることと、技術的な課題だけではなく様々な標準化やデータのガバナンス、プライバシー、KYC/AMLといろいろな視点の議論を行っています。

また分科会ではデジタル通貨の活用という視点で議論していただいています。電力、小売、STOなど、いろいろな業種、業態のかたがたがに主体的に議論をしていただいています。
推進体制として、座長には当初から元日銀決済機構局長の山岡様に官民横断の議論を主導していただいて、非常に深く広い議論ができています。今年度から元金融庁長官の遠藤様にシニアアドバイザーになっていただいています。
アドバイザリーボードには森・濱田松本法律事務所の増島先生にも入っていただいています。この分野において非常に見識、関係の深いかたがたにアドバイザーになっていただいます・・・

 

・・・

 最後のページです。CBDCとの違いをよく聞かれます。CBDC に関して、私たちからコメントしづらいことをご了承ください。CBDCは日銀さんからいろいろな情報が出てますので、正確にはそちらを参照ください。基本的にはその CBDCであっても、民間発行のデジタル通貨であっても、企業や個人が利用する上での要件、またユースケースは、そんなに変わらないと思います。どちらがどう取り組むべきなのかということに関しては、利用者が必要なシステムについても恐らく技術的にはほぼ同じであろうし、また求められる信頼性だとか、また求められる機能というものも大きくは変わらないだろうと想定しています。CBDCがどういう形態で発行されるか、われわれの想定ですが、中央銀行である日本銀行と日本の民間銀行が経由して一般の個人、法人のかたがたに銀行のサービスを提供する構造だと思います。

 CBDCの発行形態は、ここにあるように三つぐらいの組み合わせだと思っています。今もお金の在処は現金が銀行に置いてあります。電子マネーであろうが、違った形で発行されてるものも、やはり銀行に置いたものをベースに発行されています。こういった構造から考えると、その現金と銀行にあるお金をどうデジタル化していくのかということを考えてみてもいいんではないかと。CBDCが一般利用型で、一つのブロックチェーンで仲介銀行もそれに習い、企業、個人もそれに習うという方法が一つある。これは私の個人的な見解だということをご了承いただきたいですが、本当に現金がなくなるような世界が来ると、こういう方式で実現する可能性は想定できます。一方、中央銀行と銀行の関係を整備すると、今ここは日銀当預と日銀ネットでつながっています。また民間銀行を通して、企業、法人に提供されてる機能というのはこれらと異なっています。これは直接中央銀行がダイレクトにつながるのではなく、必ず仲介が入るのであれば銀行が預金をベースにデジタル通貨を発行する可能性があるという考え方です。かたや日銀さんが発行するかもしれないCBDCをどう位置付けるかというと、中央銀行と銀行の間のホールセールCBDCといわれているようなものと、民間銀行が発行するデジタル通貨という二層構造の組み合わせっもありうると思います。またホールセールCBDCを発行しなかったとしても、今の日銀当座・日銀当預における中央銀行含めた銀行の間の決済は続くと思いますから、先行して民間銀行が発行する世界はあると思っています。今の段階でわれわれが、民間銀行との間で二層構造デジタル通貨を発行したとすると一番右のモデルになります。裏側の仕組みはすぐには変わらないという想定があるとすれば、民間銀行が発行する手法は十分に今すぐ実現できる方法だと考えています。このような整理で、いずれCBDCが発行されたときも、われわれの民間銀行から発行されるものはCBDCと共存できると思っています。共存の仕方は今の段階でコメントはできませんが、推測としては現実的に可能だと考えています。

 またスライドにはありませんが、金融庁の分散型金融研究会で議論されてるようなステーブルコインや、既に米国で普通に使われているドル建てのステーブルコインとは、今の我々が発行するものは現行法で実現する点で異なります。
私の説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

 

 

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