『Crypto Crime Report 2023:オンチェーンデータからみる経済制裁と資金流出事案の動向』
『注目のWeb3イベント解説講座 今年来日予定のWeb3企業・プロジェクトを紹介』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2023年3月29日(木) 17:00〜19:00
  • 場所:オンライン配信
  • 第一部(講演) 17:00〜18:00 : 『Crypto Crime Report 2023:オンチェーンデータからみる経済制裁と資金流出事案の動向
    (講演概要)
    ブロックチェーン分析を専門とするChainalysisは、1年間の暗号資産の犯罪動向をまとめたレポート「Crypto Crime Report」を毎年リリースしています。
    本講演では、直近2月に発表されたCrypto Crime Reportのトピックのうち、昨年から日本国内でも特に関心が高まっている、経済制裁と(北朝鮮問題含む)資金流出事案を取り上げ、オンチェーンデータを参照しながら最新の動向を解説します。

    第二部(パネル) 18:00〜19:00 : 『注目のWeb3イベント解説講座 今年来日予定のWeb3企業・プロジェクトを紹介
    (講演概要)
    今年はWeb3関連イベントが各所で開催され、国境を越えた出会いが生まれています。これは日本も同様です。イーサリアム開発者向けのETHGlobal、スタートアップ界隈で名高いIVSが行うIVSCrypto、CoinPostが運営するWebXなどが行われ、世界中から著名企業・プロジェクトのメンバーが来日予定です。
    本勉強会では、Web3関連イベントへ参加したり、Web3企業へ問い合わせを入れたりする時の心理的ハードルを下げられるような情報を提供、Web3への参入の足がかりにしていただけますと幸いです。

    ■ 講演者
    第一部
    重川 隼飛氏 : Chainalysis Japan株式会社 Advisory Solutions Architect

     
    第二部
    各務 貴仁氏 : 株式会社CoinPost 代表取締役CEO

 

第一部 :
『Crypto Crime Report 2023:オンチェーンデータからみる経済制裁と資金流出事案の動向』

重川 隼飛氏 : Chainalysis Japan株式会社 Advisory Solutions Architect
 

(重川)
 Chainalysisは、ブロックチェーン分析を専門とする会社で、ブロックチェーンに記録されているトランザクション情報による、資金の流れの追跡を専門としています。これは犯罪調査に使われ、資金の流出先を追跡します。さらに拡大して、今は暗号資産の交換業者や暗号資産ビジネスを行っていますが、一種のマネーロンダリング対策のモニタリングとして分析する製品も提供しています。顧客は暗号資産事業者や金融機関、法執行機関をはじめとする官公庁です。私は弊社に3年前に入り、日本法人の中で働いています。
 弊社は暗号資産追跡を主としていますが、暗号資産のトランザクション追跡で難しいのは、一種の匿名性の存在です。暗号資産ではブロックチェーン中に取引記録が公開され、通常のウェブサイトで閲覧可能ですが、それを見て実際に資金の動きを追い掛けるのには、かなり苦労します。英数字の羅列に過ぎない取引記録にあるアドレスだけを見ても、個人は特定できません。
 弊社が行っているアドレスのクラスタ化と識別では、まずは無尽蔵にあるアドレスを、同じ組織や人が持っているものごとにひと塊にまとめ、識別の情報を付けます。それによって、この固まりは具体的な取引所のものである、この固まりは悪いもので、ランサムウエアやダークネットマーケットや流出したお金の一部である、ということが分かってきます。Chainalysisはこのようなデータを長期的に収集し、それを使ってお金の流れを追跡します。また、今回ご説明するようなレポートも出しています。それらをいかに可視化するかが課題です。取引所はこのような技術を使って、お金の出どころや出先を見て、リスクのあるつながりや取引をモニタリングしています。

 今回の題材であるCryptoCrimeReportは、Chainalysisが毎年2月頃に出す、最大のレポートです。弊社の事業で大きな割合を占めるのはマネーロンダリング対策や犯罪捜査なので、それに関する内容を扱っています。2023年版は昨年2022年のトレンドを見た上でまとめのレポートで、100ページ強あります。日本語版も間もなくリリースされます。
 CryptoCrimeReportを見ると、制裁、ランサムウエア、マネーロンダリング、盗まれてしまったお金、オラクルの不正な操作による攻撃、ダークネットマーケット、詐欺、新規トークンの価格つり上げ操作などのトピックがあります。
 今回は経済制裁と資金盗難の二つに絞っています。この二つは、国内で、昨年、当社への問い合わせが多かったトピックです。経済制裁について、昨年の外為法の改正は暗号資産に対してもインパクトがありました。これまでの経済制裁は普通の法定通貨に対するもので、暗号資産は明確には入っていませんでしたが、今回の改正で、暗号資産も対象になることが明確化されたので、制裁対象者への送金を止める方法に関する問い合わせが多くありました。他の題材としてロシアの話もあり、トレンドも大きな転換を見せています。
 
資金流出事件というトピックには、ハイライトが二つあります。普通の取引所よりもDeFiのような新しいサービスが狙われるというトレンドが見えています。もう一つは北朝鮮関係です。昨年、北朝鮮が暗号資産を盗んで核開発に使用しているというトピックをメディアでも見かけるようになったことで、一般の関心が高まっています。そのため、この二つのトピックに絞って話します。

・・・

 一方で、DEXは誰でも使えて、口座開設も不要です。また、マイナートークンを流動性の高いトークンに替える場合、それは取り扱いの多いDEXのほうが都合が良いということになります。盗んだものをいったんDEXに持ち込んでからミキサーにかけるのが、最近の常とう手段です。

 ミキサーに関しては、使ってきたものについても変遷があります。このグラフで、2020年の第4四半期以降の動きが分かります。2021年以降はDeFiもありますが、ミキサーもほとんどがTornadoCashを使っています。TornadoCashは先程ご説明したとおり、イーサリアムのブロックチェーン上にデプロイされているスマートコントラクトベースのミキシングサービスです。イーサリアムのブロックチェーンの上に乗っているトークンを処理するとなれば、DEXなどを使って、ネーティブトークンのイーサに替えて、そのイーサをとにかくTornadoCashに入れるという動きがかなり顕著にありました。
 この動きを見た米国当局は経済制裁をかけてTornadoCashをある意味でつぶしました。大胆なサイバー犯罪を行うような彼らの技術なら、公開済みのユーザーインターフェースを通らずにスマートコントラクトのTornadoCashを動かすこともできるはずですが、TornadoCashを通ると汚れたお金のフラグを立てられるので、既に避け始めており、代わりに、他の方法でロンダリングを仕掛けるための別のミキシングサービスを使い始めています。

 2022年には、AxieInfinityというゲーム会社の、何百億円相当の暗号資産が流出しました。まず奪ったイーサをプライベートウォレットに移し、盗んだものの多くをTornadoCashに放り込みます。その後に、イーサを転々と回して、ある時点でビットコインに替えます。その後、ビットコインをその先のミキサーにかけて混ぜてから、最終的に取引所に持って行くという多層的な流れになっています。これが原因で、盗まれたお金のアドレスの一部はLazarusを名指しする形で制裁対象になり、彼らが使用したミキサーも経済制裁の対象になりました。

 捜査当局とChainalysisが協力して、最終的に行き着く現金化のポイントである取引所まで、資金を追跡します。法執行側と取引所が連携できれば、資金の差し押さえが可能で、凍結することで彼らの手に渡らないようにできます。
 最近ノルウェーの警察がFBIと国際協力をして、6000万クローネ、7億8900万円相当の暗号資産を押収しました。最近は特に、北朝鮮の資金流出事件が注目され、米国を中心にマークが強まっています。長いサイクルで考えれば、このようなお金が日本に飛んでくるミサイルの資金源になります。このような連携は必要であり、期待しています。プレゼンテーションは以上です。問い合わせ先も載せた資料は終了後に公表されます。

 

 

講演資料・議事録全文・動画アーカイブは会員専用ページご確認いただけます。

 

 

第二部 :
『注目のWeb3イベント解説講座 今年来日予定のWeb3企業・プロジェクトを紹介』


各務 貴仁氏 : 株式会社CoinPost 代表取締役CEO

 

(各務)
 株式会社CoinPost代表取締役の各務貴仁です。本年、日本でWeb3が注目を集める中で、世界から多くのトッププロジェクトが来ます。今回は日本の事業者全員が参加できるイベントや注目できるプロジェクトやイベントの注目ポイントを紹介します。
 本日のアジェンダです。Web3関連イベントを選ぶ際の基準、注目すべき大型カンファレンスの紹介、一般の方でも参加できるサイドイベントなどを話します。

 弊社はCoinPostというメディアを運営しています。300万PVほどで、日本とアジアではトップのPV数を獲得しています。メディアパートナーなどの取引先企業数が多く、グローバルへのリーチの強い会社で、特に今年は弊社もカンファレンスを展開します。グローバルネットワークを生かして、多くのプロジェクトを集めたカンファレンスを実施予定です。
 CoinPostは設立して6年です。メディア事業を生かした形でブロックチェーンプロダクトの開発、運営、広告のグローバルのP2Pネットワークをつくったり、Web3を活用した福祉事業を展開したりしています。Web3や福祉事業では、障害者の収入を増やせるような事業状況を確立しつつ、行くのが楽しくなるような、Web3ゲームと福祉事業を合わせた事業所も展開しています。
 次は本日の勉強会で解決できる課題や疑問です。まず、カンファレンスの選び方を紹介します。また、日本以外のグローバルのカンファレンスについても補足します。カンファレンスへの参加を検討中の方は参考にしてください。次に、アクティブなWeb3企業かどうかを見極めるポイントや、VCに注目する理由も簡単に補足します。
 弊社は日本の会社ではありますが、1年間に10回ほど、海外に出張し、カンファレンスやイベントに参加、登壇しています。イベントにも良しあしがあり、ある程度のコストもかかります。それで、選別をする上でのポイントやそれがもたらす結果について話します。
 まず基準にするのはイベントの種類です。次に、業界のトレンドが押さえられているか否かです。単純にWeb3というバズワードに乗っただけのイベントではなく、業界トレンドをしっかりと押さえていることが重要です。登壇者や参加者、参加企業がどのようなところに該当するのかという部分もあります。

 イベントの種類を簡単に説明します。この業界のイベントには大きく分けて四つのジャンルがあります。一つ目は総合カンファレンスで、大型のカンファレンスはここに該当します。例えば、グローバルで今、開催しているものでは、CoinDeskが行っているConsensusがあります。TOKEN2049というシンガポールのカンファレンスや、先週終わった、Paris BlockchainWeekもあります。これはブランド系の会社も多数参加するカンファレンスで、欧州でのかなり大きなものです。Web3の企業も入りながら、大手企業も参加しているカンファレンスが、1番に該当します。
 二つ目は技術者向けに特化したもので、主にハッカソンという題名のものが多いです。例えば、今回、日本で行われる、ETHGlobal系の、ブロックチェーン・プロジェクトやブロックチェーン・コミュニティが行うような技術者向けのイベントが2番に該当します。
 三つ目にジャンル特化イベントがあり、NFT系やブロックチェーンゲームに特化したイベントが該当します。四つ目のコミュニティイベントは個人のプロジェクトが開催するイベントで、自分たちのコミュニティが開催するような小さなイベントが含まれます。
 弊社が参加を勧めるのは総合カンファレンスです。総合カンファレンス以外に多くのトッププロジェクトの人たちが来るものはあまりありません。ゲーム企業であれば、日本でのNFTやゲームなどに特化したものへの参加も非常に有意義ですが、日本国内外のトッププロジェクトやWeb3の最先端を知りたいのであれば、総合カンファレンスに参加することを勧めます。

・・・

(司会)
 政治家や当局からは、このようなもののユースケースや社会の実利用の拡大を期待する声をよく聞きます。山古志村DAOのような地方創生などです。そこで、CoinPostの事業の、福祉事業でWeb3に関連する話もあると思います。それらに関する視座や現状について話してください。

(各務)
 福祉分野で特別なことはしていません。Web3では、トークンやNFTを自分で発行するという考えがありますが、そのプロジェクトやシステムを利用した形でのビジネス展開も可能です。その一例が、今回の『Web3×福祉』です。基本的にゲームギルドのようなビジネスで、ブロックチェーンゲームをするには、単にトークンをもらって稼げるだけではなく、それを利用するためのアイテムやキャラクターが必要で、それらをNFTとして購入して始めるものもたくさんあります。その代わりにトークンとして収入が得られ、ある意味で、資産の投資性があります。
 NFT購入やそのような部分を弊社のギルドでカバーし、まず一般の方がブロックチェーンゲームで遊ぶだけの部分をつくります。一方、場所にもよりますが、障害者の工賃が1カ月で1、2万円です。例えば、毎日、箸を詰める仕事が、多くの障害者施設で行われていますが、そのような仕事は魅力性も薄く、その仕事に行くことがつまらないと思うこともあると思います。もしもゲームで遊ぶだけで、その工賃を上回れば、楽しみながらの社会復帰が可能です。加えて、専門知識の部分や何を購入する必要があるかという部分を全てカバーできる環境を提供できる施設をつくれれば、以前よりも多くのお金を楽しみながら稼ぐことができます。
 慣れてくれば、施設に行かなくても、家にいながら生活費を賄える環境にまでつなげられるようなルートをつくることを目指して、施設を運営しています。それがブロックチェーンゲームのメリットです。例えば現在、アベレージで流したときに、時給1000円から1500円程度ならマーケットが一番悪い状態でも可能ですが、それではコンビニバイトと同程度なので、魅力は少ないかもしれません。
 しかし、賃金の安い地域の方や平均賃金をうまく獲得できない障害者などの層に適用すれば、大幅な改善になります。魅力性についても、ブロックチェーンゲームには魅力があります。身体障害者でも、指や手さえ動けば利用できます。技術がさらに発展すれば、手が動かないような障害があっても、新しい形の収入が得られる環境が可能です。
 今後は、ゲーム以外の領域にも幅広く展開します。それと賃金拡大を合わせた施設を展開するものが、『Web3×福祉』です。

(司会)
 そういった具体課題の解決につなげるプロジェクトの積み重ねが業界発展にとって大事かと思います。最後に、視聴者に向けて、一言いただけますか。

(各務)
 本年は、日本が本当に熱い年です。規制面に加え、多くのイベントもあり、日本にいながら、世界のトッププレーヤーに会えます。弊社のWebXも、日本の大手企業や中小企業とWebXのグローバルプロジェクトをつなぐ、また学生とそのようなかたがたをつなぐという部分をテーマに実施します。スポンサーや企業として参加したいという方も幅広く募集しています。
 また、ETHGlobalやIVSについての質問があれば、Twitterやメールアドレス、お問い合わせ欄も含めてお寄せください。弊社のイベントではないところでもサポートします。気軽に連絡をいただきたいと思います。本日はご視聴いただき、ありがとうございました。

 

 

講演資料・議事録全文・動画アーカイブは会員専用ページご確認いただけます。