『税務上の論点整理』
『仮想通貨に関する所得税・付加価値税の問題を考える前提としての理論的側面』
『パネルディスカッション』

bujiness

カリキュラム及び概要

  • 日時:平成28年6月27日(月) 16時10分~18時50分
  • 場所:森濱田松本法律事務所大会議室
  • 仮想通貨と税務に関する論点整理
      仮想通貨ビジネス勉強会 理事 増島雅和
  • 仮想通貨に関する所得税・付加価値税の問題を考える前提としての理論的側面
      立教大学 法学部 教授 浅妻章如氏
  • パネルディスカッション
      金融庁 総務企画局企画課信用制度参事官室信用機構企画室長 黒井哲也氏
      立教大学 法学部 教授 浅妻章如氏
      亜細亜大学 特任教授 廣木準一氏
      特別会員 PwC税理士法人 パートナー 中村賢次氏
      正会員 株式会社マネーパートナーズ 監査役 澤昭人氏
      協力仮想通貨業者会員 レジュプレス株式会社 Co-Founder&COO 大塚雄介氏
      仮想通貨ビジネス勉強会 理事 増島雅和
      仮想通貨ビジネス勉強会 理事 畠山久志
      仮想通貨ビジネス勉強会 監事 濱本明
  • フリーディスカッション・質疑応答
koushi

仮想通貨と税務に関する論点整理

講師:仮想通貨ビジネス勉強会 理事 増島雅和

今回は税務でして、法制としてどのようになるべきか、何の論点が解決されなければいけないのかを、法律の目線でまとめたので共有をさせて頂く。
色々な議論が色々な観点からできると考えており、ここの議論をベースに皆様と意見交換をしたい。

消費税については、資産の譲渡等に該当し課税対象ということ、所得税と法人税はかかることが言われている。どちらについても法改正についての検討をさらにされるべきであり、将来の法改正については必ずしもコミットがされていない状態だというのが政府の立場と理解をしている。
税制の部分について、このようにするべきではないかというのを考えて、どこかに働きかける等々をしないと間に合わないタイミングになる。
制度の立場から前提として忘れてはならない箇所は、仮想通貨という構成があるがビットコインという構成があるわけではない。

法律の中に「ビットコイン」と明記をされることが有り得るかというと、これは一定のハードルがあると考える。ビットコインの中身は変化をしており、政令指定であれ告示指定であれ「ビットコイン」と書くのは、役人としては勇気が要るのではないかと考える。

仮想通貨の税制と構えると、仮想通貨に相当するものは600ないし1000と言われており、仮想通貨の税法上の取扱いの一般的な議論をした時に、ビットコインとそれ以外を分けた議論は必ずしも法制上は容易ではないと考えている。

仮に何かあるとすると、政府が認める仮想通貨とそうではない仮想通貨の議論を間に挟まなくてはならないことになると、一体誰が区別するのか。
ビットコインだけ認めてくれればいいという立場の方も多いが、ビットコインだけとなると何故ビットコインだけなのかという議論を詰める必要があるが、税当局に審査をしてもらい認めるアプローチでいいのか、何か認めるのであればビットコインだけが認めるということは有り得るかもしれないが、本当に法制度として想定をされたものになるのかということである。

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仮想通貨に関する所得税・付加価値税の問題を考える前提としての理論的側面

講師:立教大学 法学部 教授 浅妻章如氏

所得税と付加価値税の問題があるが、付加価値税はご説明頂いた通りで、事業者で仕入税額控除が取れるのであれば、さほど大きな問題ではなかろうと考えられている。一方、事業者でないものが係れば二重課税等の問題が生じてしまう。結局は国税か財務省かどこで決めるかわからないが、そちらが決めることになるだろうと思う。

付加価値税の方は実務的には大変重要だと思うが、所得税の方は譲渡所得か雑所得か、どのタイミングで課税するのかという問題が当然出てくる。どのタイミングで課税するかという問題は、所得概念の話と密接に絡んでいるということである。

現在の所得税法では、利子所得(time value of moneyという経済的概念の利子)については課税し、贈与した場合には贈与者の課税所得から控除はしないということであるため、二種類の二重課税をもたらしている。また、包括的所得概念が、利子に課税し贈与は控除を認めないという形で二重課税をしている。

どのタイミングで課税するかという問題は、資産価値そのものに対して薄く課税し、富の集中を防止して行くというのを所得課税の政策的理念と租税法学では捉えられている。どういうことかということだが、利子に課税すると二重課税がおきるという教科書的な実例がある。

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パネルディスカッション


(金融庁 黒井氏)
仮想通貨交換業を所管する者として、税制をどのように考えていくのかということを主税当局と相談をしながら判断をしていかなければならないと思います。

ご承知の通り8月までには税制改正大綱の日程を出すので、各省庁要望ということを行うわけで、そもそも金融庁が要望するのか主税が自らすべき問題なのかということを含めて交通整理をしなければいけない。

そのうえで、金融庁が仮に要望するとなれば仮想通貨交換業者にとっての問題点があるというスタンスからの要望になると思いますけど、一体何が問題でそれを解決するためにはどのようにすべきなのかということを整理して要望をしていくということになろうかと思います。

ご説明頂いた以外のオプションもあると実は思っておりまして、お話のあった論点以外を含めて、幅広く検討を進めていることころであります。
まだ検討段階でありまして、色々な事業をやられている方、或いは研究頂いている方々の話を踏まえて、我々或いは主税当局等々、どちらが主体になるかはまだ決まっておりませんけれども、整理をしながら良い方向になるように考えていきたいと思っております。

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フリーディスカッション


(マネックス証券株式会社 三根氏)
改正資金決済法ですが、仮想通貨の売買が何も定義されていないもので、レバレッジをかけたものが良いか悪いかも書いていなくて、1倍で買っても良いし保証金取引を売買の形でも良いとは思ってはいるのですが、そもそもレバ取引を許容しているかというところで、許容していない乃至は何倍までというFXにあるような規制がかかることがあるのか、そういう方向性を法案制定の際にご検討をされたことはあるのでしょうか。

(金融庁 黒井氏)
単純に法定通貨との交換のことを民法上で売買と呼んでいるのですね。民法555条の売買と同じ意味で使っています。そういう意味ではレバレッジを想定しているものではありません。
資金決済法で位置付けられている意味合いとして、支払手段として使われている現実があり、マウントゴックスのような事案がある中で、金融庁として規制をかけなくても良いのかという部分があり、そこの部分は一定の現状で出来る中での最低限の規制をかけていくべきではないかということで、そうした利用のされ方に着目して規制をかけているのが資金決済法上の規制です。
投資商品として使われていく場合について、それをどう規制していくのかというのは資金決済法で扱うべき案件ではないので、そうした使われ方を踏まえた規制の在り方というのは、別途、金商法の中で位置付けるか、金商法なのか商先法なのかを含めて交通整理をされていく事柄だと思っております。

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