『 FX証拠金取引の現状と自主規制』
『 仮想通貨の資金移動業について』
『 パネルディスカッション・質疑応答』

平成28年11月仮想通貨ビジネス勉強会の様子

カリキュラム及び概要

  • 社員総会開催についてのご案内
     当会代表理事 幸 政司
  • FX取引における規制等について
     金融先物取引業協会 統括役・事務局長 山﨑 哲夫氏
  • 仮想通貨の資金移動業について
     片岡総合法律事務所 弁護士 片岡 義広氏
  • パネルディスカッション・質疑応答
     片岡 義広氏(特別会員:片岡総合法律事務所 弁護士)
     廣末 紀之氏(協力仮想通貨業者会員:bitbank株式会社 代表取締役CEO)
     螺良 靖氏(マネックス証券株式会社)
     増島 雅和氏(当会理事:森・濱田松本法律事務所 弁護士)
     モデレータ:幸 政司(当会代表理事)
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社員総会開催についてのご案内

講師:当会代表理事 幸 政司氏

本日は御二方にご講演頂くのですが、その前に私の方から挨拶並びに今後の運営に関しての報告とお願いがございます。

当勉強会は、仮想通貨ビジネスの国内における健全な発展を目指し、知見集約を行うことを主な活動の目的として運営して参りました。これは、当会のホームページに掲載しております我々の目的でございます。

これまで、法律的な観点、会計的な観点、税務的な観点を中心として、デリバティブや資金決済など、関連するテーマを含めた知見集約と理解の深掘りを有識者の方のご協力を得ながら図って参りました。
また、自由民主党の友好団体にも加盟させて頂きまして、本邦において唯一、仮想通貨の取得時においての消費税撤廃の税制改正要望を与党に提出した団体でもあります。これは自民党の先生方にお会いさせて頂き、直接手渡しをさせて頂きまして、おそらく、取得時における消費税は撤廃されるのではないかと感じております。
今後は、仮想通貨ビジネスの中心となりまして、交換業を現在営んでおられる皆様、仮想通貨に係わるビジネスの展開を目指す皆様、また、取引に参加される一般消費者の方々のお役に立ち、かつ、業界の健全な発展を促しながら、我が国が初めての法律ができるわけですが、本ビジネスにおいて他国の範となれるように更に活動の幅を拡げて行くことが求められております・・・

・・・
次に、金融庁の認定する自主規制機関を目指すためには、一般社団法人、かつ、正会員が仮想通貨交換業者である必要がございます。
ここでの仮想通貨交換業者とは、財務局の登録を受けた仮想通貨交換業者を示すものであり、必ずしも現在の業を行う者を指しているわけではありません。
従いまして、未だ法律が施行されていない現時点においては、自主規制団体の正会員となる各社様がどこになるのか、正確には明示できない状況であります。
しかしながら、自主規制団体を目指す以上、正会員は未来の仮想通貨交換業の登録を受ける会社であることが前提になりますので、当勉強会での正会員の位置づけを暫定的に「現状の仮想通貨交換業者及び現在の会員のうち、来春に金融庁が登録受付を開始する時点で、仮想通貨交換業として登録をする意思のある業者」に変更させて頂きたいと思います・・・

(全体は正会員・特別会員のみ公開)
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FX取引における規制等について

講師:金融先物取引業協会 統括役・事務局長 山﨑 哲夫氏

本日は、FX証拠金取引について、その現状と自主規制についてお話しさせて頂きたいと思います。
ビットコインに関しまして、特にビットコインを仮にデリバティブとしたらという前提が付きますが、FX証拠金取引の黎明期に非常に似ているのではないかというお声が至る所から聞こえてきます。

FXについて、どのようなことをしているのかをお話しさせて頂ければ、自主規制団体として法規制の隙間を埋めていく活動を今後されるというお話でございましたので、ご参考になればと思います。

ただ、私どもの協会としましては、金融商品取引法で仮想通貨のデリバティブ取引がどのような位置づけになるのかというのは、正直、不明であるというのが私共の考え方でございます。

金融商品取引法の第2条第24項に金融商品の定義がございますが、そこでどのように定義がされていくのかというのが今後の関心事だと思います。

日本には大きなインターバンク外為市場とFX証拠金取引のリテール市場の二つの外為市場があります。それを合体させますと非常に巨大な市場になり、これを『拡大外為市場』と私は呼んでおります。
当初、1998年にFX証拠金取引が開始された時には、当然ながら非常に小さい市場でありました。
しかし、現在はインターバンクの市場規模を上回る市場まで成長しておりまして、20年弱でこのような規模となりました。これがビットコインの将来の姿になるかどうかをお考えいただくことが、ビジネス的には皆様の関心がある事と思います・・・

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私共協会が抱えておりますFX証拠金ビジネスに対する今後の課題について述べさせていただきます。その一つが情報の非対称性の改善です。先ほどの損益の開示も投資家にとっての情報の非対称性の改善だと思っております。
正しく情報を投資家の方に伝えるのが、息の長いビジネスに成長する大前提だと思いますので、今後も取り組みたいと思っております。
ビットコインと言うビジネスは始めから情報の非対称性と言うのを意識して、自主規制をして頂ければと思います・・・

(全体は正会員・特別会員のみ公開)
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仮想通貨の資金移動業について

講師:片岡総合法律事務所 弁護士 片岡 義広氏

仮想通貨の私法的性質が話題になっておりまして、新聞では金融庁が仮想通貨を通貨と認定という報道がなされましたが明らかに間違っています。
まず、色々な物事の法概念なのですが、各法律に定めるところに依ります。
これは当たり前なのですが、仮想通貨について各法律に該当するかどうか、それぞれの法律の規定を見て行かないといけません。
それに関して、「ビットコイン等のいわゆる仮想通貨に関する法律問題についての試論」という金融法務事情の論文なのですが、お読み頂くは結構難儀かと思いますので、その結論だけを一覧表にしたペーパーもお配りしております。
今回、改正されました資金決済法でありますけれども、あくまで資金決済法上の仮想通貨の定義に止まるわけではありますけれども、これは定義が為されたという大きな出来事でありまして、消費税の適用除外にするという上でも資金決済法上の定義規定があるので、消費税法上も容易に適用除外にする基礎になったということが言えるのではないかと思います。

ビットコインの場合では、システム全体と財産的価値自体と価値単位、BTC、あとBitsという細かい単位もあろうかと思うのですが、本日問題とするのは、財産的価値としての仮想通貨のことであります。
民法上で「それはなに?」と聞かれると、電磁的記録あるいは電子記録情報としか言いようがないというのが結論ではあります。
改正資金決済法上の定義なのですが、不特定の者を相手方にして支払手段かつ通貨との交換性があるもの、コンピュータで移転可能で電子記録情報であると。
ここから導かれることは、経済的には通貨と同様の機能があるという事ではありますけれども、これは条文上の文言としては出てきません・・・

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仮想通貨のFX証拠金取引も差金決済をするのが通常で、金銭が実際に動いている、あるいは、金銭の準消費者契約という構成がなされているわけではないとすれば、貸金業には当たらないと思います。
色々な行政的な判断もあるでしょうし、法務省ほどには法律の概念に従って正確に解釈をしてくれない傾向がありますので、目下、窓口混乱しているようでありますけれども、このような問題がありますのでご注意いただく必要があると共に、先ほどの為替取引や資金移動業のお金としてもそうですし、貸金業の該当性もそうですけれども、法律構成をきちんと工夫してやれば必ずしも規制に引っ掛かるものではないと考えております。
業法に引っかかって違法な取引になるのかならないのかは工夫次第というところもございますので、ご注意いただければと思うところであります・・・

(全体は会員のみ公開)
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パネルディスカッション・質疑応答

片岡 義広氏(特別会員:片岡総合法律事務所 弁護士)
廣末 紀之氏(協力仮想通貨業者会員:bitbank株式会社 代表取締役CEO)
螺良 靖氏(マネックス証券株式会社)
増島 雅和氏(当会理事:森・濱田松本法律事務所 弁護士)
モデレータ:幸 政司(当会代表理事)

(当会代表理事 幸)
片岡先生のご講演内容につきまして、ご意見、ご質問等がございますか。

(マネックス証券 螺良氏)
先ほどの図の中でAさんがB業者にビットコインを移動させるという話ですが、考えるとビットコインであれば交換業者を通さずに直接渡すという話が多いと思うのですが、その辺りはご考慮されないわけですか。

(片岡総合法律事務所 片岡氏)
色々なケースやパターンがあるかと思いますので、そういうパターンもあるかと思います。ただ、個人間でビットコインを渡す分には、何の為替取引の該当性の問題も起こらないと思います。

(マネックス証券 螺良氏)
では、AさんがB業者に指図をして、Dという個人に送った場合は為替取引になるのですか。

(片岡総合法律事務所 片岡氏)
ならないと思っています。
業者が預かり、その業者が色々やる分には昔の抵当証券取引と一緒でありまして、別にこれは違法ではありませんので、そのような形態もあるのかなと。
交換業者が預かり、交換業者通しで指図に従って実施するような場合のパターンが為替取引の該当性が問題になります。
それでも、最初からAさんからDさんに送るつもりで手伝うというパターンでない限りは、概念上は該当性なしというふうに私自身は思っています。
しかし、金融庁が本当にそのように取るかどうかはわからない部分はあると思っています。

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(当会理事 増島氏)
為替の議論は、概ね片岡先生の議論が法律家的には比較的標準な考え方なのです。役所はどうかというのを含めて、基本的には片岡先生の説に賛成をしているところでございます。

(bitbank 廣末氏)
色々なパターンがあり、お客様が仮想通貨を送金として使う場合はフィアットベースでお考えなので、必ず仮想通貨事業者との交換が出てくるのです。
おそらく論点になるのは仮想通貨同士のものは全く問題にならないのですが、そこにフィアットがベースになるのか、あるいはその中の一連のフローになっているかどうかの二つが論点なので、私も片岡先生の一連の取引にならないように送金をする場合は排除しているのです。
これからビットコインだけではなくて他のクリプトカレンシーを使ったものや、色々なものが登場するのでお話としては非常に複雑になっていく一方ではないかと推測をしています。
事業者としては怖いので、手を出さないようにしています。

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(マネックス証券 螺良氏)
現状、我々は証券会社です。
金融商品取引業者という事で、為替取引は行っていません。
お客様からお金を預かりますが、返すのもお客さんの本人名義の口座にしか返しません。
お客様が指図をして、誰々に振り込んでくれと言うのは受けていない現状の中で、ビットコインを扱った時に「そこまでやるのか」という議論はあります。
ビットコインを現物で預かり、そのお客様が「このビットコインアドレスに送ってくれ」と指図をしてきたときに受けられるのかは議論になっています

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(全体は正会員・特別会員のみ公開)
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