『ブロックチェーン分析会社Ellipticのデータから読み解く、暗号資産の取引種別及び不正利用の透明性 ービットコイン、イーサリアム、ERC-20、DeFiー』
『エルサルバドルのビットコイン法定通貨採用から考えるデジタル資産の法制』
カリキュラム及び概要
- 日時:2021年7月29日(木) 17:00〜19:00
- 場所:オンライン配信
- 第一部(講演) 17:00〜18:00 : 『ブロックチェーン分析会社Ellipticのデータから読み解く、暗号資産の取引種別及び不正利用の透明性 ービットコイン、イーサリアム、ERC-20、DeFiー』
第二部(パネルディスカッション) 18:00〜19:00 : 『エルサルバドルのビットコイン法定通貨採用から考えるデジタル資産の法制』
※2部については非公開となります。
■ 講演者
第一部(講演)
盛本 マリア氏 EllipticJapan株式会社 マネージャー
第二部(パネルディスカッション)
増島 雅和氏 森・濱田松本法律事務所 パートナー
福井 崇人氏 アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士
佐野 史明氏 片岡総合法律事務所 弁護士
(モデレーター)
廣末 紀之氏 ビットバンク株式会社 代表取締役 CEO
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 会長
『ブロックチェーン分析会社Ellipticのデータから読み解く、暗号資産の取引種別及び不正利用の透明性 ービットコイン、イーサリアム、ERC-20、DeFiー』
盛本 マリア氏 EllipticJapan株式会社 マネージャー
(盛本)
皆さま、本日はご参加いただきありがとうございます。今回のテーマは、弊社はブロックチェーンを解析している会社なので、そういう会社が日々どういうような調査をしてるのか。今回はFATFに提出したデータがあるので、それを見ながら、なぜAML/CFT対策が必要なのかをデータからご理解していただきたいと考えております。
まず、簡単に私のご紹介です。私はEllipticJapan株式会社のマネージャーの盛本マリアと申します。少しバックグラウンドをお話しししますと、もともと新卒ではリース会社で金融を少し学んだ後に、広告代理店でデジタルコンサルタント、ベンチャー企業でDXコンサルタントを経て、去年の4月にEllipticJapanのマネージャーとして従事しました。
本日お話しする内容は、私が実際に調査したものではありません。Ellipticはロンドンの会社で、ここに映している本社にデータを解析するエキスパートや、規制当局と話をするようなエキスパート、金融機関のコンサルティングをするようなエキスパートがいるので、彼らの調査内容や考察を基に共有したいと考えております。
交換業者の方はもしかしたら弊社のことをご存じの方も多いかと思いますが、交換業以外のところについてはなかなか話す機会がないと思いますので、アジェンダとしましてはまず弊社の紹介を簡単にさせていただきたいと思います。
次のトピックとしては、今月の上旬にFATFの2回目の12カ月レビューが公表されましたので、FATFがどういうガイドラインを敷いてたのか。そのガイドラインに従って、各国はどれくらいAML/CFTの対応ができたのかというレビューを行われました。そのレビューの結果についてお話ししたいと思います。
今回のレビューでは1点、前回のレビューと少し違うところがありました。FATFも暗号資産という新しい業界に対してどのようにAML/CFTの規制をかければいいのか、いろいろと検討している段階です。ですので弊社などのブロックチェーン解析会社に調査依頼をかけました。調査依頼をし、例えばPtoP取引等にどのように規制をかければいいのかという結論を導いています。実際にブロックチェーン解析会社がどのようなデータを提出したのかを、三つ目のトピックとして共有させていただければと思います。
業界全体の関心としてDeFiの領域は非常に注視されているかと思いますので、これからDeFiという領域がどんどんと拡大していくにつれ、AML/CFTのリスクが例えばどういうところに存在するのかも最後に少しご共有できればと思っております・・・
・・・
次の調査事例としては、直近7月です。イスラエル政府が80以上のハマス関連の仮想暗号資産のアドレスを押収したとニュースになりました。そもそも、そのアドレスにどれぐらいの資金が入っていたのかを弊社で調査し、データとして出してニュースになっています。
右側はブルームバーグのニュースです。先月の勉強会でKrakenの千野様からアメリカの規制当局について説明があったかと思います。これは、そのFinCENやSEC、SFTC、OFACが2009年にビットコインが誕生してから各事業者がハッキング被害などで利用された不正な資金をどれだけ押収したのかを統計的に見たデータです。実は、2009年のビットコインが誕生してから2700億円が押収されていまして、特に米国証券取引委員会、SECにほぼ押収されているというデータを出しています。
最後に、皆さん恐らくDeFiについて非常に関心が高い分野だと思います。もともとDeFiは去年の時点だとUniswapが人気な分散取引所として出てきました。今、人気な取引所はAaveやCurveFinance、レンディング系が並んでいる状況です。そもそもDeFiは誰も管理者がいないのが特徴的なので、そのプールにトークンを入れるときにKYC(KnowYourCustomer)、顧客確認のプロセスがなく、そういう規制が全くされてない領域です。
このDeFiの領域にAML・マネーロンダリングのリスクがどれくらいあるのかというと、非常にそのリスクはあると考えていただいて問題ありません。例えば、去年の8月にあったKuCoinのハッキング被害が300億円ほどでした。この資金が分散型取引所に流れてしまったことが分かっています。左の棒グラフを見ていただくと、Uniswapにほぼ流れていったことが分かり、ある程度マネーロンダリングのリスクが非常に高い領域にはなってきています。
ただ、ブロックチェーン解析会社からすると、DeFiは全てチェーン上に記録されているので追跡可能な事項です。トレースできる内容なので、今後DeFiに関してもブロックチェーン会社がいかにマネーロンダリングのリスクを担保できるかによって、DeFiの市場が拡大していくのではないかと考えています。
国内ではまだDeFi分野は、特に事業としてそこまで拡大はしていないかと思いますが、例えば、DeFiのトークンを交換業者が扱いたいときに、ブロックチェーン会社がどういった取り組みができるのかを一緒に相談しながら規制当局に話しをしに行き、透明性、安全性やリスク管理についてのお話をすることが出来ます。
Ellipticはこういったように、ビジネスデベロップメントの志向の非常に強い会社なので、ぜひ一緒にビジネスをつくっていきたいって思っていただいた方はご連絡ください。例えば、「こういったような情報が欲しい」というお問い合わせをいただければできる限りの努力はいたします。今後とも、そのビジネスパートナーとして伴走できればと思っております。ありがとうございました。
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