『Dencunアップデートを超えたEthereumの現在地点』

第一部『Dencun Updateと今後のマイルストーン等についての解説』

・鈴木雄大 Fracton Ventures株式会社 Co-Founder

第二部『パネルディスカッション』

・鈴木雄大 Fracton Ventures株式会社 Co-Founder
・西山 祥史 SBI VCトレード株式会社 事業戦略担当/アナリスト


■ 第二部抜粋

(鈴木)
Fracton VenturesのCo-Founderをしています鈴木です。

(西山)
SBI VCトレード株式会社で事業戦略担当とアナリストをしている西山です。

(鈴木)
20分程度でEthereum Dencunアップデートの話をします。ニュース等があったように、先月、Ethereumの非常に大きなアップデートが起きましたが、取引所関係の方以外は、中身られてないと思うので、今回はこのテーマを話すことにしました。
イントロです。私はFracton Venturesを運営していますが、これはCryptoのネイティブなアクセラレーターです。今後はDAOと一緒にアクセラレーションプログラムを通じて、日本やアジアのプロトコルを育てていこうと思っています。DAOに関連してはDAO TOKYOというイベントも開催しています。
早速Dencunアップデートの話に入ります。Ethereumのハードフォークアップデートには地名が付けられることが多く、過去にも上海などの地名が付いています。今回もその流れでDencunアップデートが実施されました。Ethereumのハードフォークや大きなアップグレードでは伝わりにくい情報が多いです。それは、コンテクストになる前提条件が多く、事前情報が必要だからです。その上でEthereumがアップデートする理由をキャッチアップするのは難しいと思います。
皆さんのレベル感が分からないところもあったので、今回はLayer2の説明から入ります。Ethereum Layer2という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、これはいわゆるL2です。本当に多くのチェーンがそのようになってきているのですが、これを説明します。

・・・

(西山)
本年第1四半期の価格上昇率を見ると、市場ではDencunアップデートが最も注目されていて、Layer2が伸びるという予想でしたが、2024年の1月から3月末までのアメリカ基準の第1四半期でパフォーマンスが最も悪かったのがLayer2の通貨です。
各色がセクターごとの通貨の伸び率ですが、トップの青色の線がMemecoinsです。その次がRWA、Layer1で、一番下の緑色の線がLayer2です。これは何を意味するのでしょうか。
一つに、一般的にLayer2が多くなり過ぎたことがあります。企業側の選択において、多くの型ができてしまい、どれを選べば良いのか分からなかったり、Layer2を上場している取引所が少なかったりするという問題があります。
Layer1の通貨は自分のチェーンがあるので、それを使って営業できるという強さがあります。それで現段階では、SolanaやAvalancheを代表とする通貨の値上がり率が良いのだと思います。ただLayer2の通貨はEthereumの基盤があるという利点があります。それでもこのダウンパフォームは意外でした。いかがですか。

(鈴木)
Layer2はガバナンストークンで、ここが違っています。Layer1トークンはガス代として使われることが多いです。例えば、Solanaのソルはガス代で使うときには必須なので、ソルを買うところから始めることは、Solanaを使う上での必須条件ですが、Layer2のArbitrumではアーブトークンは不要です。ArbitrumやOptimism、Baseなどのガス代はラップしたイーサを持っていくだけでいいのです。ですから買いから入る人は相当の信者です。それでトークンプライスには現れにくいと思います。
一つ特徴的だと思っていることがあります。Layer1と比較は出しませんが、Layer2にはもうかっているチェーンがあります。Arbitrumでは、Arbitrum DAOを月に約3ミリオンのシーケンサーフィーを受け取っているという報告があります。シーケンサーフィーはバリゲーターではありませんが、バリゲートを簡素化したもので、ブロックチェーンでトランザクションが来たときに並べ替えを行い、順番をラベルしてからL2にバッチで送ります。このプレーをするだけです。今、ArbitrumDAOに回って入ってきている報酬が月額4億円だと聞いています。
ですからL2のトークンはダウンパフォームしていますが、潜在力はあります。入ってくるお金で何をするかは、この人たちのガバナンストークンで決まります。そのように見ることもできます。ただチャートにきついです。Memeconinsが異常に高過ぎて、他のものが見えません。1000パーセントは桁違いです。

・・・

(事務局)
セキュリティーはイーサリアム自体の基盤としてのセキュリティーですか。

(鈴木)
そうです。Ethereumのチェーンをひっくり返せない能力という意味だと捉えてください。複雑化しているように見えますが、できるだけ面白くキャッチアップしてほしいです。本日のようにたとえを交えると、解像度が上がり、理解しやすくなります。字面はカタカナばかりで難しいですが、西山さんの話のように高速道路に例えるような形で解釈を置き直すことができます。また詳しい人に、何に例えられるかという質問を投げると理解度が高まると思います。
私はEthereumが大好きな派閥なので、L2の未来にベットをしていますが、非常に面白くなっています。多くの組み合わせでさまざまなチェーンがつくれるようになっているので、見たことのないチェーンや技術が次々に生まれて、しかも誰でもつくれるようになっています。最近は月額課金で自分のチェーンをつくれるサービスがあります。そのようなレベル感になっているので、ぜひキャッチアップしてください。
この先にDeFiやDAOという世界があるので、できるだけ遠くならないようにその入り口をキャッチアップしてほしいです。

(事務局)
西山さん、最後にお願いします。

(西山)
Web3を押している国は、エルサルバドルを除けば、主要国では日本と香港だけで、世界から非常に注目されています。エイゲンレイヤーも含め、ブロックチェーンは世界共通規格で動いています。日本でも、南米でも、アフリカでも同じ言葉で同じものについて話しています。ここが非常に強いところです。日本は特にコンテンツが強いので、共通規格の中でもオタクのパワーを出せば勝っていけると思います。

 

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