『海外暗号資産ヘッジファンドに聞く!リアルな米国機関投資家のビットコイン投資の実態~なぜビットコインか?どのような投資をするのか?』
『ブロックチェーンが内部統制に与える影響 COSOレポート解説 内部統制の強化と新しいリスクへの対応』

カリキュラム及び概要

  • 日時:2021年1月28日(木) 17:00〜19:10
  • 場所:オンライン配信
  • 第一部 17:00〜18:00
    (録画配信 講演&パネルディスカッション)
    「海外暗号資産ヘッジファンドに聞く!リアルな米国機関投資家のビットコイン投資の実態~なぜビットコインか?どのような投資をするのか?」

     
    Part1.講演 17:00-17:40
    ・Steve Lee 氏 (李承根)
     BlockTower Capital、Head of Asia-Pacific、Investment Director

    Part2.パネルディスカッション 17:40-18:10
    パネリスト
    ・Steve Lee 氏
    ・小田 玄紀氏 ㈱ビットポイントジャパン 代表取締役
    ・河合 健氏 アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業 パートナー

    モデレーター
    ・藤本 真衣氏 ㈱グラコネ代表取締役、株式会社 withB 創業者・顧問

    ※ 1部講演については動画、資料、議事録の公開はございません。

  • 第二部 18:10-19:10
    (ライブ講演)
    「ブロックチェーンが内部統制に与える影響 COSOレポート解説 内部統制の強化と新しいリスクへの対応」

     
    ・野根 俊和氏
     有限責任監査法人トーマツ 金融事業部 パートナー
    ・小笠原 啓祐氏
     有限責任監査法人トーマツ 監査アドバイザリー事業部 マネジャー
    ・真藤 直観氏
     有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー

 


「ブロックチェーンが内部統制に与える影響 COSOレポート解説 内部統制の強化と新しいリスクへの対応」


・野根 俊和氏  有限責任監査法人トーマツ 金融事業部 パートナー
・小笠原 啓祐氏 有限責任監査法人トーマツ 監査アドバイザリー事業部 マネジャー
・真藤 直観氏  有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー

(司会)
 第2部は『ブロックチェーンが内部統制に与える影響』と題しまして、有限責任監査法人トーマツより、野根様、小笠原様、進藤様にお話しいただきます。それでは野根様、よろしくお願いいたします。

(野根)
 それでは、監査法人トーマツの野根と申します。本日は勉強会のほうにお話しさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。本日はこちら、今、映させていただいております、COSOから昨年の8月に出ましたブロックチェーンと内部統制のガイドラインについての解説をさせていただきます。こちら、ガイドラインそのものは、COSOのホームページから無料でダウンロードできますので、後ほどご参照いただければと思います。また日本語の参考訳を、弊法人で作成し、ホームページに掲載しております。日本語で参照されたい方はぜひこちら、ご覧いただければと思います。
 まず、最初に、簡単に本日の講師の自己紹介をさせていただきます。私は野根と申しまして、監査法人トーマツの金融事業部におります。主に暗号資産の監査をさせていただいておりまして、そのノウハウを生かしまして、暗号資産交換業の会計監査や交換業登録の支援のアドバイザリーといった業務を担当しております。デロイトトーマツ内にはコンサルティング会社などいろいろな会社がございまして、それぞれみんなフィンテックの業務の担当がおります。そこでフィンテック推進というチームを組成してトーマツグループ横断で連携してフィンテック業向けにサービスを提供することを推進する役割も担当しております。
 では次、小笠原さん、お願いします。

(小笠原)
 トーマツの小笠原と申します。よろしくお願いいたします。私も野根と同様、暗号資産交換業の会計監査ですとか、ブロックチェーン関連のご相談に乗らせていただいております。JCBAでは最近、NFTの部会に参加させていただいており、その分野でいろいろと力になれればと思って活動をしております。よろしくお願いいたします。

(真藤)
 お世話になります。監査法人トーマツの真藤と申します。私は野根や小笠原とともに、監査を多く担当しておりまして、他にもシステム関連のアドバイザリーですとか、コンサルティングを進めております。こちらのセキュリティ部会のほうにも参加させていただいておりますので、本日はいろいろとご質問いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(野根)
 それでは本日、「ブロックチェーンが内部統制に与える影響」と題して説明させていただきます。紹介しました監査とアドバイザリーと、ITの専門家、3名で担当させていただきます。まず初めにですが、お約束ですけれども、こちら、原文が英文でございまして、お話しさせていただく内容は講師の翻訳ということでご了解いただきたいと思います。また講師の発言は私見でございますので、その点についてもご了承いただきたいと思います。

 本日はまず、最初にCOSOの内部統制のフレームワークをご存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単に概要を説明します。その後、今回の本題でございます、COSOが出したブロックチェーンの内部統制のガイドラインについて、内容を説明させていただきます。
 COSOのガイドラインについて、2008年にJ-SOXの導入時にご担当された方はよくご存じだと思います。もともとCOSOとはどういうものかというと、80年代に米国で粉飾決算が多発したときに、米国でトレッドウェイ委員会(不正財務報告全米委員会)が立ち上がりました。そこで87年に「不正な財務報告のレポート」が上梓されました。こちら、内部統制のレポートの上梓されたのが右のようなもので、その中で内部統制の重要性や評価基準の必要性がよく強調されました。このトレッドウェイ委員会の勧告に対して、それを支援する組織、その内部統制の評価基準を作る機関として立ち上がった団体がCOSO(Committeeof Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)でございます。
 この右側に示しています立方体はCOSOキューブと呼ばれています。これを作るにあたってCOSOという団体は、各、米国のCFO、大手企業のCEO、CFOに面談調査、実地調査、意見聴取を行い、実務的な内部統制のガイドラインを作る整理をし、92年に公表しました。その後、いろいろな環境の変更を取り込んで、2013年にも一度、改訂されています。先ほど申しましたように、日本のJ-SOXは2008年に始まりましたけども、こちらもCOSOのフレームワークを参考にして作られています。

 COSOのいう内部統制とはどういうものかというと、こちらに定義を書いてございます。基本的に内部統制は、組織の構成員によって実行されるもので、業務、報告、コンプライアンスという三つの目的を達成するための、それを合理的に保証するためのプロセスと定義されています。COSOのガイドラインは、下のキューブの形で表されています。上の三つの業務、報告、コンプライアンスの三つの目的を達成するためには、この下の横軸、「統制環境」「リスクの評価」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング活動」の5つの構成要素をうまく回すことによって、組織が効率的で適切な運営ができるというものを示したガイドラインになっております。
 その「統制環境」「リスクの評価」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング活動」の五つの構成要素を簡単にご説明いたしますと、一番重要といわれているのが「統制環境」です。内部統制の重要性とか、期待される行動基準に関するトップの気風をいかにうまくつくるかについてのガイドラインが記載されております。それから「リスクの評価」については、リスクの識別、リスクの管理方法の考え方といったものについてのガイドラインになっております。「統制活動」については、統制をうまく実際に実行させるための方針や手続きをどのように構築するかという点のガイドラインが示されております。「情報と伝達」は、内部統制の目的達成や遂行について、その情報がどういったものが重要で、その伝達をどのように行っていくかという、その方法についてのガイドラインになっております。「モニタリング活動」は日常的な評価や独自的評価をいかにつくっていくかを示したガイドラインになっております。
 このそれぞれの構成要素をCOSOの中では分解しています。全部で17の原則になっています。この17の原則を全て達成すれば、内部統制がうまく回るという形で説明がされております。統制環境で5つの原則。リスク評価で4つの原則、統制活動で3つ、情報伝達で3つ、モニタリング活動で2つ、全部で17の原則です。これらを重要な内容として、それぞれの原則がいかに達成できるか、実際のCOSOのガイドラインの中身では、それぞれについて多くの視点と、それに対応した参考となる説明になっています。
 日本語版はCOSOのホームページでも購入できますが、日本語の場合は、日本公認会計士協会の出版局からCOSOのガイドラインが出ております。全部で200ページ程の内容で、ここの17の原則をいかに達成するかというガイドラインが示されております。

 本日は、この17の原則につきまして、これをいかにブロックチェーンに適用するかというガイドラインが昨年の8月に出ましたので、こちらについて説明をさせていただきます・・・

・・・

(小笠原)
 こちら、最後の構成要素で「モニタリングへの影響」になります。最後のモニタリングの部分はまとめのような形になっております。最初のブロックチェーンに関するメリットの黒ポチは、まさしく今、説明さし上げたような他のテクノロジーとコラボレーションすることによって、モニタリングという面でもブロックチェーンを利用したメリットを享受することができると書かれております。
 右に書かれてる新たな脅威やリスクの部分も、先ほど申し上げた他の技術を使った対応策。あとは分権化、中央的な仲介機関の欠如に対して、第三者的な評価機関の利用によって対応するという内容が書かれております。
 最後に一つ、スライドを付け足させていただいております。「人材獲得に関する課題」という部分です。実は今までのほとんどの各構成要素の課題部分で、ブロックチェーンに精通した人材を獲得することは困難であるという課題が挙げられています。本日勉強会に参加されている JCBA の会員の担当者の皆さまにおかれましては、まさしくブロックチェーンの専門人材だと思います。そういった人材の、人材市場における市場価値や希少価値は、非常に大きなものはあるという意味で一つ勇気づけられる部分です。あともう一つはブロックチェーンという技術を拡張して、ビジネスを広げていく部分では、もっともっと仲間をつくっていかないといけないという課題感があると思います。まさしくこういった COSO レポートというツールを使いながら、そういった仲間を増やしていくとか、このJCBAの活動としてこういった人材獲得に関する課題を解決していくような、裾野を広げる活動をしていけると、非常に有意義と思っております。その点、ぜひ今後もこういったJCBAの活動で皆さまと手を取り、協力をしていけたら、大変ありがたいと思っております。

 というところで締めさせていただこうかと思い、この人材獲得に関する課題は最後に回させていただいた次第でございます。ちょうどいい時間になって参りましたので、「結論と次のステップ」というスライドございますが、こちらは冒頭に説明をさせていただきました想定する利用者ごとの次のステップについてレコメンドがされております。こちらの説明は割愛させていただこうと思います。
 以上、ブロックチェーンの内部統制というCOSOのレポートに関しての概要説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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※1部講演については動画、資料、議事録の公開はございません。