『NFTマーケットプレイス「tofuNFT」から見るNFTグローバル市場とマルチチェーン概況および日本市場の課題』
『金(ゴールド)に連動する暗号資産 Zipangcoin 概要』
カリキュラム及び概要
- 日時:2022年2月28日(月) 17:00〜19:00
- 場所:オンライン配信
- 第一部(講演) 17:00〜18:00 : 『NFTマーケットプレイス「tofuNFT」から見るNFTグローバル市場とマルチチェーン概況および日本市場の課題』
第二部(講演) 18:00〜19:00 : 『金(ゴールド)に連動する暗号資産Zipangcoin概要』
■ 講演者
第一部
沼崎 悠氏 株式会社COINJINJA Co-founder&COO第二部
加藤 次男氏
・ 三井物産㈱ コーポレートディベロップメント本部 理事
・ 三井物産デジタルコモディティーズ㈱ 代表取締役社長
・ 株式会社デジタルアセットマーケッツ 取締役
西本 一也氏
・ ㈱デジタルアセットマーケッツ 代表取締役社長
稲富 史朗氏
・ ㈱デジタルアセットマーケッツ システム統括部長※第二部については講演動画・資料は非掲載となります。
第一部 :
『NFTマーケットプレイス「tofuNFT」から見るNFTグローバル市場とマルチチェーン概況および日本市場の課題』
沼崎 悠氏 株式会社COINJINJA Co-founder&COO
(沼崎)
株式会社COINJINJAの沼崎悠です。グローバル展開のご紹介がありましたが、2017年から暗号資産アプリ『コイン相場』をはじめ、2、3年ほどは国内で事業展開していた暗号資産系の事業者となります。昨年からNFTマーケットプレイスの『tofuNFT』の運営を開始しています。
本日のコンテンツですが、最初に、tofuNFTが何かというお話をします。2番目に、2021年にNFTマーケットにどのようなことがあったのか、3番目に、本年の最新動向、4番目に、マルチチェーンで見るNFT市場のお話、そして、最後に5番目として、日本市場における課題についてお話しできればと考えています。
tofuNFTは、顧客の暗号資産やNFTは全く預からず、基本的にチェーン上でのスマートコントラクトで全て動くdecentralizeなNFTマーケットプレイスです。パーミッションレスであるため、基本的にどのようなNFTも取り扱い可能です。われわれが選ぶのではなく、ユーザーがリストを希望するものは何でもリストし、売買が可能となっています。スライドには『fullfeatured』と書いてありますが、2次流通売買時のユーザーロイヤルティー機能、オークション、ローンチパッド機能等、NFTマーケットプレイスに求められる機能は基本的に全て備えています。2022年2月22日時点のユーザー数グローバルランキングにおいて、tofuNFTは7位辺りにランクされています。入れ替わりが激しいランキングであるため、おおむね5位から10位辺りに入っていると捉えてもらえればよいかと思います。
tofuNFTの概要です。特徴としては、現時点で26種程度のチェーンに対応しています。今後も増やすため、間もなく30種程度になる予定です。これだけのチェーンに対応しているNFTマーケットプレイスはそうそうありません。大手のOpenSeaであると3種のチェーン対応であり、他のマーケットも同様です。EthereumVirtualMachine、EVMに対応しているチェーンに関しては、基本的に全て対応していく方向で、サイドチェーンやレイヤー2を展開しています。サイドチェーンではBSCや、レイヤー2であるとArbitrumが最も大きいと思われますが、それらのチェーンではナンバーワンのマーケットとなっています。他の主要サイドチェーン、Avalanche、Fantom、Polygon、レイヤー2でも、OptimismやBOBA等もありますが、この辺りでもトップスリー以内であり、Metisに関してはナンバーワンとなります。
ユーザーの97パーセントは海外であり、3パーセントが国内の状況です。Ethereumであるとユーザー数の7割程度がアメリカになるかと思われますが、他のチェーンではその割合が異なり、直近であるとタイが最も大きく、ブラジル、インドネシア、トルコ等も主要ユーザーとなります。フィリピンやシンガポール、最近では韓国も多く、アジア圏に寄っている傾向があるといえます。
tofuNFTの運営開始は2021年10月で、最初はBinanceSmartChain、BSCからスタートしています。BSCは名称が変わり、現在はBNBチェーンとなりますが、本日は分かりやすいよう便宜的にBSCと言っておきます。扱っているものは、国内にあるマーケットプレイスとは異なり、CollectiblesやGameFi、DeFi等、NFTプロジェクトが展開するNFTが中心となります。つまり、個人のクリエイターが出品するようなマーケットではありません・・・
・・・
最後に、日本市場における課題についてお話しします。ここまで、CollectiblesやDeFi、GameFiの話をしてきましたが、グローバルのNFTマーケットを構成しているのはそのような存在です。ただ、現状の日本で考えてみると、グローバルで流行しているような、クリプトネイティブな文脈で作られたNFTはほぼ存在しません。極端に言えば、グローバル市場の1000分の1程度の規模でしょう。CryptoPunksの累計売上は2500億円以上となりますが、国内発NFTでは売れたとしても1億円程度になります。NBATopshotを代表とするプロスポーツ等、IP絡みの市場シェアは数パーセント程度であり、ほとんどがクリプトネイティブで作られたNFTが市場を形成しています。この残りの九十何パーセントにリーチできていないのが日本のNFT市場といえます。
何が問題かというと、NFT自体の規制というよりは、NFT市場、クリプト全体を取り巻く周辺環境がよくないと見ています。例えばGameFiを日本でリリースしようとすると、ガチャ問題があるため、ゲームアイテムのNFTは販売しづらいでしょう。ガチャができないかどうかはまだ決まっていませんが、法律的にどのように捉えられるかは不透明でやりづらい状況にあります。PlaytoEarnのゲームを作ろうと考えた際も、必須であるガバナンストークンの発行にまつわる税金問題があります。
Collectiblesを出そうと考えても、同様にガチャ問題があり、グレーなラインにあるため、普通の企業であればやりにくいでしょう。DeFiのNFTは、交換業問題があるため、DEX自体が日本で運営できません。DEX以外のDeFiプロダクトとしてネイティブトークンがありますが、こちらも発行できません。マルチチェーンの展開が加速していますが、日本の場合はホワイトリストによる上場問題があります。取引所の出金先としてLayer2が実装されていない問題もあります。これらの課題を一つ一つつぶしていき、クリプトネイティブなNFTを作れる環境を実現できなければ、NFT関連の法規制等をしたところで解決せず、日本におけるNFT市場の拡大にはつながらないのではないかと考えています。
海外市場へアクセスして成功した国内NFT事例として、RTFKTのファウンダーBenit0が日本NFT市場に降臨し、ARアーティストのアサギ氏の作品であるkawaiiskullを購入した事例があります。それまで国内で販売していた半年間で18ETH、約500万円の売り上げだったものが、1日で692ETH、約2.5億円の売り上げになりました。圧倒的に市場規模が大きい海外NFT市場へのアクセスは、成功へと導く重要な要素といえます。
マーケットプレイスを運営しているtofuNFTの視点から言うと、ガバナンストークンの問題のみではなく、エコシステム全体の規制について検討しなければ、日本におけるNFT市場の醸成はされていかないだろうというのが率直な感想です。また、日本起点でNFTを考えると、それはNFTではないため、海外起点で考え、なおかつ日本でもできるようなNFTを考えるのがよいのではないかと考えています。
以上で私からの講演を終了します。何かあれば、スライドの連絡先までお問い合わせください。Twitterでも構いません。ありがとうございました。
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