『Ethereum 2.0 の概要』
『「暗号資産の管理」に係る意見書について』
『「セキュリティトークン規制に関する提言書」について』

カリキュラム及び概要

 


『Ethereum2.0の概要』

株式会社 LayerX 中村 龍矢氏

(中村氏)
 ご紹介に預かりましたとおりLayerXの中村と申します。最近のEthereumコミュニティーおよびEth2.0の概要について発表します。LayerXはブロックチェーンの開発を2つ行っており、開発のコンサルティングのチームと、もう1つは、ブロックチェーン関連の研究開発をしているチームがあります。私は研究開発の方にいますが、テーマが主に3つあり、セキュリティーとプライバシーです。セキュリティーのチームの方がいろんなプロトコルのセキュリティーの検証で、最近はEthereum2.0のコントリビュートをやっています。もう1つのプライバシーチームの方は、ブロックチェーンのユースケースにおける秘匿化、匿名化のいろいろな技術の研究を行っていて、主にこのZeroChainという秘匿送金ブロックチェーンの開発をやっています。最近の研究テーマとしては、コンセンサスプロトコル、Proofofstake、シャーディングなどです。昔はもっとプロトコルというよりも、プログラムのセキュリティーをやっていて、スマートコントラクトの検証や、Vyperをご存じの方、どれくらいいるか分かりませんが、そういった新しいスマートコントラクト言語の開発のコントリビュートをやっていました。そして、最近ありがたいことにEthereumFoundationのグランドプログラムに、日本企業として初めて選んでいただきました。
 また、私は論文を書いておりますが、Ethereumは、研究開発をEthereumリサーチというオンラインのフォーラムでやることが多いです。そこに投稿し、いろんなカンファレンスに登壇して、Ethereumについて伝えております。最近は長崎のCSSという国内の学会に行き、Ethereumの界隈の問題についてお話しました。
 本日のアジェンダは、大阪でのDEVCONの報告と、それに付随してEthereumのコミュニティーが最近やっていること、メインはEthereum2.0の概要、それからどういう影響がビジネス的にあるかお話しします。

 まずDEVCONに行った人はどれくらいらっしゃいますか。数%という感じですけれども、DEVCONとは、Ethereumの年に1回の世界大会みたいな感じです。Ethereumに関係している研究者開発者はほぼ全員来ます。そして、EthereumFoundationがやっている唯一のイベントでして、Ethereum以外のコミュニティーにもオープンですので、例えばBitcoin、Polkadot、ZCash、Cosmosの人たち、あとは学者の人、今年はLibraのトークもありましたが、そういう会です。そして、今年はなんと日本、大阪のATCホールで開催されました。毎年オリンピックみたいに場所が変わっていますが、去年は私も行きましたがチェコのプラハで行われて、その前はメキシコのカンクーンでした。なので、今年日本での開催は、日本のコミュニティーにとって非常にラッキーでした。EthereumFoundationの今ビジネス側のトップが宮口さんという日本人の方ですけれども、本当にこの方の甚大な努力によって、日本開催が決定しました。参加人数は正確な数字わかりませんが約3000人と聞いております・・・

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 時間も無くなってきましたが、どう情報を集めればいいかということで、技術的なアップデートは結構情報源があります。ここに挙げてるような大本の仕様はGitHubにありますし、あとは最近のアップデートを出してくれるような人もいます。ただ、技術を追わずにビジネス的な影響だけを考慮するのはほぼ絶望的な状況です。当然ながら技術者しかいないので、なかなかそこまでは情報がありません。また、日本語で情報を得ようとするのは100%無理です。日本人でインターナルにいる人がいませんので、日本語の情報はすべて遅れているか間違っている、と言っても過言ではありません。
唯一Twitterで追うのは多少可能だと思っていて、EthereumFoundationの公式のTwitterのアカウントとか、あと一応ブログがEthereumFoundationであって、大きなアップデートの場合はたまにこのブログが更新されます。それからEthereum2.0のコアリサーチャーであるVitalik、DannyRyan、JustinDrake、あとはもう手前みそですが私も入っています。私はコアではありませんが、こういった人のTwitterを見ながらキャッチアップするのがいいのかなと思います。
 駆け足になりましたけれども、以上です。何か質問あればお願いします。ありがとうございました。



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『「暗号資産の管理」に係る意見書について』

有限責任あずさ監査法人 保木 健次氏(カストディ部会部会長)
LVC株式会社 永井 幸輔氏(カストディ部会副部会長)

(保木氏)
 ただいまご紹介にあずかりました、私があずさ監査法人の保木と申します。よろしくお願いいたします。

(永井氏)
 私が副部会長でLVC株式会社の永井と申します。本日はよろしくお願いいたします。

(保木氏)
 本日はJCBAの分科会として今年の6月に立ち上げた、カストディ部会のほうで議論を重ねて取りまとめた、暗号資産の管理に関わる意見書についてお話をさせていただきたいと思います。こちらは既に公表されておりますので、ぜひご確認いただければと思います。内容的にはほぼ意見書に沿った形になっております。意見書の内容について、かいつまんで私のほうからお話をさせていただき、余った時間で質疑応答とさせていただければと思います。

 まずこの暗号資産の管理といいますか、カストディ部会を立ち上げて議論を始めた背景になります。ご存じのように資金決済法が改正されて、他人のために暗号資産の管理をすること、いわゆるカストディ、預かるだけの業務についても仮想通貨交換業、今でいうと暗号資産交換業のライセンスが必要になったことが挙げられます。これによって、これまで業規制の対象でなかった人たちが業規制の対象になる可能性があるというところで、一体どういうことをやれば暗号資産交換業に該当するのかというところを明確にしたいというところと、全体として、実態を踏まえた利用者保護と健全な市場の発展の、バランスのとれた制度整備に資することを目的として、関係者に集まっていただき、意見書を取りまとめております。
 範囲というところですけれども、本意見書の対象としては改正資金決済法に規定する暗号資産の管理、いわゆるカストディ業務を対象としておりまして、そこのところに他の法律に特別な規定のある場合を除くということで、他の法律に特別規定のある場合もカストディ業が営めるということになりますので、そこは含みます。ただしこのあと、暗号資産の定義のところで、金商法にいってしまっている電子記録移転権利、これも元は暗号資産と言えなくもないですけれども、こちらを預かる業務については本意見書の対象外とさせていただいております。暗号資産の管理という業務を対象にしておりますので、カストディ業者を対象とはしておりません。と言いますのも、既に交換業をとられてる方が預かる業務、こちらも当然この意見書の対象に入ります。それから暗号資産の管理と言ってる場合は、資金決済法が適用される業務というふうに位置付けて、カストディ業務と一般的な言い方をした場合は、暗号資産の管理に該当する業務に加えて、その周辺に適用されるような類似の業務を含むということなので、このカストディ業務と暗号資産の管理、実際に適用される業務との境を、明確にしていきたいのが一つ目の論点になっております。
 まず提案の骨子のところで言うと、大きく四つ、その他の論点を除くと四つ挙げさせていただいております。一つは先ほど申し上げた暗号資産の管理の範囲です。カストディ業務の中で一体何が暗号資産の管理に該当するのかについて意見を述べております。それから暗号資産の管理の方法、あるいは、いわゆるホットウォレットとコールドウォレットについて、何がホットウォレットで、コールドウォレットであり、コールドウォレットと言ったときの預かり方はどういうものなのかというところ、ここについて意見を述べさせていただいております。そして、取り扱い暗号資産の範囲について、端的に申し上げると、ここでいうところの暗号資産の交換と、従来からある1号、2号、暗号資産の売買とか、その媒介取り次ぎ、または代理といったところで、取り扱い可能な暗号資産と暗号資産の管理、預かるだけのところで認められる取り扱い暗号資産の範囲は変えてもいいのではないか、というのが我々の提言になります。預かるだけの方が、より幅広く預かれてもいいのではないのかということになります。最後が暗号資産管理業と信託業法、兼営法と名指しになっていますけれども、これも暗号資産の管理のところで他の法律に特別の規定のある場合、念頭に置かれているのは信託さんとかかと思っておりますが、この信託さんと暗号資産の交換業者との間の平仄を取ってくださいというのが四つ目の提言になります。最後にその他の論点となっております・・・

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 最後になりますけれども、外部委託とその管理で言うと、外部委託先が暗号資産の管理の業に該当するのかどうか、業登録をしてないとそこに外部委託できないのか、というところは明確化をしてほしい要望しています。例えば、海外の暗号資産交換業者が日本の交換業登録をします。ただカストディ業務は本国の交換業者相当のところに外部委託という形でアウトソースをしますというときに、外部委託先である本国の親会社も日本の仮想通貨交換業を通っていないと委託してはだめなのかというところで、それをしなきゃいけないとなると、かなり都合の悪いことが起こると思います。なので、そこは例えばグループ会社で連結、グループ内であれば、そもそも業に該当しないとか解釈することによって、外部委託先が交換業登録をする必要がないと、いう形で、適切なバランスのとれた規制とする要望をしております。



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『「セキュリティトークン規制に関する提言書」について』

株式会社ビットポイントジャパン 取締役 COO 朏 仁雄氏(ICO・STO 検討部会部会長)
森・濱田松本法律事務所増島 雅和氏

(朏氏)
 ビットポイントジャパンの朏と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(増島氏)
 増島でございます。今回のセキュリティトークンの提言を少しまとめるお手伝いをさせていただきました。きょうは朏さんから中心に話していただきますが質問等がありましたら適宜お答えしたいと思います。よろしくお願いします。

(朏氏)
 それでは早速始めます。今回JCBAのICO・STO部会からセキュリティトークンの規制についての提言を出しておりまして、ご承知のとおり前回、1月の終わりか2月ぐらいにICOに関する提言を出しております。これは改正資金決済法といいますか、そこをにらんだ上での提言になっております。今回こういうふうにすればICOできるというのをJCBAも規定化してはいるのですけれども、なかなか2017年18年の初頭にかけて活発に行われた時期と比べると、今、日本は閑散としてまして、ICOも非常に難しい状況に来ているというのが実態だと思います。もともとICO部会という名前からICO・STO部会という名前に急遽変えまして、セキュリティトークンが金商法の配下に入って、金商法の配下に入るとまたいろいろとややこしいことが起きるので、この辺りに対してもICO部会から提言していこうという話で変更しました。5月31日の情報通信技術の進展に伴うといういくつかの法改正の中に資金決済法と金商法の改正がございました。その中で大きくインパクトがあったのが、通常であれば仮想通貨として位置付けられるであろう性質のものが、収益の分配を受ける権利が付与されている、いわゆるセキュリティトークンが明確に金商法の配下に入ったことが分かりました。これは個別に電子記録移転権利という名前で呼ばれ、一項有価証券にあてますと書かれておりました。
 JCBAの目的は、ここにいらっしゃる皆さんにはご説明するまでもないと思いますが、ここの資料に今回の提言の目的として、技術の進展、非常に速くてデジタル技術の進化に伴うビジネスの進化と、ビジネスに対する、ファイナンスの形態の進化も、当然ついてくると思っております。この中でこの仮想通貨の性質を持つセキュリティトークンを、どのように発行市場が整備され、どのように流通市場が整理されるべきかを、率直に言えば、性質を生かした利用ができる方向に持って行きたいわけです。けれども、なかなかそうは言ってもICOの詐欺のような案件が一時期続いたわけで、その中でそう簡単にこの市場がぱっと開ける状況にもなっていないとは考えています。ただし、このセキュリティトークンという性質のものが、資本市場の仕組みの一部を変えてていく可能性があることは、部会の中でいつもご意見いただいている、増島先生にも、アンダーソン毛利の河合先生にもお話をいただいており、この辺りは率直に当局さんにもぶつけていこうということで、きょうお話しする内容は先日、金融庁さんにもお話をさせていただいております。・・・

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 最終的に私設取引システム、先ほどから出てるPTSですが、アメリカの場合はATSというのででしょうか、日本よりは柔軟に扱われているようですので、比較的、未公開株の流通ができる仕組みになっているようです。日本のPTSの場合、先ほど申し上げたように取引場で扱われている商品に限定されているので、今、日証協さんが規定されてるような、自主規制の範囲の中にセキュリティトークンを一律には置かないでほしい、ということです。実際に電子記録移転権利の2次流通市場として、金商法の30条以降に定める、認可を受けた一種金融商品取引業者さんが運営できることを前提として、これPTSですが、認可の審査基準、流通市場の運営基準等は整備されるべきであると、今のままだとされなくなります。日証協さんの自主規制をそのまま引用していくと、されなくなる可能性が高いので、ここはそもそもものが違うので、違う規制の規範にしてくださいと言っています。少しハードルの高いことを言っているかもしれませんが、そうしないとセキュリティトークンの良さが生きないかなと考えています。
 次は提言の最後で、先ほど出したこの中で、二項有価証券に残るケースがあるので、この二項有価証券に残るケースの範囲、政令で定める除外事項の範囲を広げると、同じようなセキュリティトークンを扱う中でも(セキュリティトークンに)一定の制限を設けることによって、一項有価証券にならないものを定義してください、と提言しています。これは一項有価証券になると、さきほど申し上げてきたようないろんな規制がかかってきますけれども、そこから外れるように電子記録移転権利の概念の導入の趣旨から始まって、流動性がそもそも高いと言っているのだから、高い流動性は排除すれば一項にしなくてもよい、といった論調で話をしています。それから適用除外要件についての考え方で、物の性質としてはあくまで集団投資スキーム的な二項有価証券と同じものになるので、有価証券に表象される権利そのものは変わらないと考えれば、これが実際に除外されるべきものというのは、流通性が担保されてしまうと投資家のリスクが増えると考えるのであれば、そこに至らないような何らかの制限をかければ二項に該当すると整理できるのではないかとなってます。なのでそうすれば、二項にすると基本、範囲が広がる、50人といいますか、基本500人までは所有者ベースで可能になるので、50人以上募集できないという一項に当たる場合と、だいぶ世界が変わってくるという感じです。それから今二項ですから、流通性を担保するという概念はそもそも持っていないので、そこは議論の余地はありますけれども、二項有価証券として入れるという範囲は、やはり利便性上、確保しておく必要があるのではないかということで、具体的な適用除外の内容ということで書いてるのは、これは読みます。『契約において権利の移転には発行者の承認が必要とされており、かつ、電子情報処理組織を用いて移転することができる範囲が技術的に制約され、権利保有者が一定数を超えないことが確保されている場合』これ、ご承知のとおりブロックチェーンを使って記帳しますので、その中でどのような手法にするにしろ、プライベートチェーンにしろ、コンソーシアムチェーンにしろ、その中で保有者が一定以上広がらないことはあらかじめ技術的に担保することは可能なので、こういった制限を付けておく、もしくは保有する権利者が、少しややこしいですが、特例業務対象投資家、個人で言うと金融資産1億以上ということでしょうか、そういった投資家を対象にする限りにおいては、基本、この電子記録移転権利の範疇、一項有価証券の範囲に含めなくても従前の二項の範囲で扱うことができるのではないかと、そういった提言をしております。
 あとは、この辺りは簡単に電子記録移転権利がどういうものとか、以前もICOの話をさせていただいたことがあったのでICOと、新しくSTOということが出てきたのでSTOについて簡単に記載をしております。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。



(全体のデータは正会員・特別会員のみ公開)