『2020年度の暗号資産業界はどう変わるのか~金商法・資金決済法改正、新型コロナ影響下の活動等~』
カリキュラム及び概要
- 日時:2020年5月28日(木) 14:00〜16:00
- 場所:オンライン配信
- 交換業者パネルディスカッション
『2020年度の暗号資産業界はどう変わるのか~金商法・資金決済法改正、新型コロナ影響下の活動等~』
■ パネリスト
廣末 紀之氏 ビットバンク株式会社 代表取締役(JCBA 会長)
齋藤 亮氏 SBI VC トレード株式会社 代表取締役 CFO(JCBA 理事)
蓮尾 聡氏 コインチェック株式会社 代表取締役 社長執行役員(JCBA 理事)
三根 公博氏 株式会社bitFlyer 代表取締役
山田 達也氏 楽天ウォレット株式会社 代表取締役社長■モデレーター
幸 政司氏 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 理事
※オンデマンド映像については、会員ページよりご視聴いただけます。
『2020年度の暗号資産業界はどう変わるのか~金商法・資金決済法改正、新型コロナ影響下の活動等~』
(幸)
今のご多分に漏れず、日本中、世界中、新型コロナの影響で自粛が続いており、当協会の事務局に関しても3月以降はリモートワーク中心でほとんど集まらないようにしております。各社の社長様から、コロナの影響下でのご自分の会社の態勢とリモートワークをどのように行われているかを一言ずつお願いします。
(廣末)
当社は現状、原則リモートワーク体制です。経緯としては1月の後半辺りからリモートワークの話題がメディアに出だし、我々の社内で私を議長にした対策本部を作り、毎週1回ずつ議論を重ねました。2月の下旬から3月にかけて、いわゆる経路不明感染者が都内にも増えてきました。その時点では相変わらず出勤に関しては密の状態が続いており、これはメンバーを危険にさらす可能性があるため3月3日から原則全員をリモートワーク体制に移行しました。
元々の背景としては、我々はいつかフルでリモートワーク・リモートワークの体制にしたい意向が今に限らず数年前からありました。そのため、いつ何時そのようなことがあったとしても問題ないように、サービスやオペレーションの仕組みを全てクラウドベースで構築をしてありました。基本的にはそのような体制の中で強固なセキュリティー基準を作成し、準備をずっとしていました。
ただ、リモートワークの大きな問題点は、自分達が環境をセット出来たとしても、外部の方達との様々なミーティングがあり、その方達にも環境がセットされてないとワーク出来ない点が問題です。我々自身はずっと準備が出来ていましたが、外部の環境がまだ準備されてないので、基本的には出社の態勢を取っていました。
ところが、図らずもリモートワークが求められる環境になり、まずはメンバーの安全確保を優先し、3月3日での実施を目指し、その直前に何日かテストをしました。結果は何にも問題が起こらなかったため、3月3日にリモートワーク体制に切り替えました。それ以降、3カ月経ちましたが、基本的に私自身は週に1回、1~2時間、押印のために出社する以外は、全ての弊社のメンバーはリモートワークになっています。一部、セキュリティーの都合でなかなか言いにくいですが、コアな部分は発生しますので、そこは出社としています。そういう一部の例外を除いては基本的に在宅勤務です。毎日、朝から晩までZoomやGoogleMeetでコミュニケーションを取っています。夜は新入社員や退職のためにオンラインで送別会や懇談会を行っていて、今はほとんどバーチャル会社みたいになっています。
実はオフィスが2か所ありましたが、このタイミングで既にリモートワークは我々だけでなく外部も含めて環境整備が進んだとして、1か所を解約して最小限の体制にしています。まだ社内のルールやセキュリティー等は議論中ですが、そのあたりを整備した段階で改めて会社の整ったルールの下にリモートワークを定常化させたいと思っています。
(齋藤)
SBIグループ全体でも、やはりリモートワークは積極的に導入しています。当局から求められているとおり7割以下に稼働を抑えるため、基本、オペレーションに関するものはリモートワークを出来るようにしました。
ただ実際、回してみてリモートワーク出来るものと、出来ないものの発見があったと思います。この業界は当然のことながら暗号資産の移動に関するところは非常にセンシティブな部分です。また、意外なところでは顧客管理といった部分の情報が持ち出せない業務もあるので、こういった領域ではリモートワークはなかなか難しいという発見があったのが全体的な所感です。
(蓮尾)
当社も同じような状況でして、当初は基本的には会社に来て一緒に仕事をする方が効率的だという意見が実は強かったです。私は世の中が色々変わっていく中で、早くリモートワークの環境を作った方がいいと思っていましたが、実は社内的にはすんなりといかなかった部分がありました。廣末さんもおっしゃっていましたが、何回か実験的にリモートワークで回す試験を行いました。結果、出来るのではという感触がありました。かつ世の中がリモートワークで働いてくださいという方向に強烈に動いていきましたので、どちらかというと、我々は半ば背中を押される形でリモートワークに移りました。
実際やってみたところ、他社さんと同様、どうしても出社しなくてはいけない個人情報を扱う部署は会社へ来ます。それ以外の部署は、概ね7割以上がリモートワークで働く体制です。緊急事態宣言が開けるにあたって、社員にリモートワークはどうでしたか?仕事に支障がなかったですか?というアンケートを採りました。当然、支障があった方もいましたが、全体の7割ぐらいの人はリモートワークでも変わらないという意見でした。当社としては今後もそのような意見を活かし、リモートワークの良い点を活かして事業を進めていきたいと思っています。議論として、そもそもオフィスは何のためにあるかという議論もされています。
(三根)
弊社もビットバンクさん、コインチェックさんと基本的には同じです。コロナの影響が世間で色々と言われ始めた際に事前準備として議論を始めました。リスク管理部門、IT部門、人事部門等と粗々のパイロットプログラムのプランニングをしました。
特にお客様の情報を取り扱う部門、入出金に関する部門、諸々扱うオペレーティブな部門で何人かの方に在宅勤務していただきました。そしてリモートワークを行う上での不備について実証実験を行いました。恐らくこのようなことは皆様やっていらっしゃると思います。その上で、ノートパソコンの準備やセキュリティー上の準備を整えてきました。
弊社もコインチェックさんと同じかもしれません。なるべくオフィスで業務遂行した方が効率が良いという方針の下で業務をしていたので、なかなかその判断に踏み切ることが出来なかったです。しかし、3月30日に弊社が入っております六本木ミッドタウンにおいて、他社さんに感染者が出たという情報がパブリックに出て、社会情勢諸々を見まして、機は熟したためリモートワークに踏み切りました。
私は3月30日の株主総会で取締役に選任され、その後の臨時取締役会で代表取締役に選任されました。そして代表取締役に選任されて行った最初の仕事が「明日からリモートワークに移行します」という発表でした。ですから私、社長に就任してから、オンラインでは話をしましたが、ただの一度も全社員の前でお話ししていません。そういった非常に貴重な経験をしております。
弊社に関していうと、いわゆるサポートセンターの電話のコールセンターは閉じていましたが、メールのサポートは当然セキュリティーを担保した上で従業員さん、派遣さん、契約社員さんのご自宅で対応いただく運用を行っていました。現状はセキュリティー諸々を含めて事故、不具合は起こっていません。
弊社も3月31日から在宅にして10日程経過してから、まず第1回目のアンケートを採りました。不具合が生じている箇所については、なるべくサポートをしました。社内でオフィスの椅子と全く同じ環境でやることは難しいですが、出来る限り快適に過ごしていただこうと思い、椅子については会社の送料負担で希望者にはご自宅にお送りしました。他には主に通信回線面の負担として毎月幾らかの補助を出させていただきました。また、弊社はリモートワークのことをワーク・フロム・ホームと呼んでおり、ワーク・フロム・ホーム手当ても出しました。
事務局で緊急事態宣言解除をずっと盛り込んでいまして、先々週、第2回のアンケートとしてワーク・フロム・ホームの生産性向上の有無についてアンケートを採りました。そこで「同じ」か「オフィス以上の生産性が確保出来た」という結果が8割採れました。まだワーク・フロム・ホームの制度を恒久化するかどうか結論は出ておりませんが、当然議論しています。
私自身の勤務については、脱はんこを全力でやると宣言しています。家で社長印を押して、場合によっては私がレターパックで送っています。レーザープリンターもスキャナーも全部家にあるので事務手続きは全部出来ます。
どうしても駄目なものがウォレットの管理と専用端末系です。そればかりは事前に準備出来ない状況です。
(山田)
皆さまの会社の対応と弊社は大きく変わりません。楽天グループの中でまず対策本部が立ち上がり、そこで大きな方針が決めらました。そこに従いながら各社で対策を行ってくという流れで進めています。毎日、事前に出社する人数について予定表を出してもらい、それに基づいて先週までは毎日2割以下の出社率に減らしました。どうしてもオフィスでやらなければならない業務に関しては、2割の出社率の中で運用してきました。
今までも、例えば東京が閉鎖されるのではという話があったとき、弊社の中でもどこか東京ではない場所でオペレーションが出来ないかと検討をしていました。
楽天グループが二子玉川の多摩川の横にオフィスがあり、昨年大きい台風が来たときに多摩川の氾濫がありました。当社にはリスクコンプライアンス委員会があり、その際にオフィスに物理的に入れなくなった際に、どのようなオペレーションが出来るのかをBCPの観点で検討・準備をしてきました。オフィス外で出来る業務とオフィスでしか出来ない業務をかなり明確に意識して準備してきた点が今回生かされたと思います。
今も社員の出社は2割程度で運用しており、オフィスが狭いながらもソーシャルディスタンスを取る方針がグループで叫ばれています。そのため社員間でかなりスペースを取りながら運用を行っています。
他には通勤について接触のリスクを減らすため弊社内の自転車通勤のルールを緩和しています。また、オフィスに出社する機会を減らすため、一部の部門について週休3日で会社に来るシフトを組むことでリスクを減らしています。ただ今週、徐々に元の生活に戻りつつある雰囲気に変わり、これからどのように今までの元の状態に戻せるのかグループを通じてスケジュールを組みながら議論を進めています。